半年後、2021年8月の自分にプレゼントをする
さて、今回の企画はオンラインで集まって自分へのプレゼントを報告しあい、半年後の8月に再会してそのプレゼントを開封しよう、というものだ。
お集まりいただいたメンバーは以下のとおり。
編集部より林雄司さん、藤原浩一さん、ライターの井上マサキさん、筆者の北向ハナウタ、友人の藤岡みなみさんだ。
藤岡みなみさんはラジオパーソナリティ、文筆家、タレントなど様々な方面で活躍しているが、タイムトラベルを題材とした書籍専門の書店『utouto』の店主としても活動しており、今回のどこかタイムカプセルのような試みにぴったりだと思いお声がけさせていただいた。
わいわいと話すのにぬかりない人選である、もうすでに楽しみだ!
井上さんの予想外の挑戦
トップバッターは井上さん。
半年後を考えるとなるとどうしても「世の中はどうなっているかな」と世間に目が行きがちだけど、井上さんは「半年後の自分の変化」を軸にプレゼントを選び周りを驚かせた。
井上:どうしようかなと考えたときに、半年後の自分が変わっていることを想定してみたんですよ、世の中じゃなくて。
藤岡:ほお!
井上:それならこの機会に不得意なことを得意にしようと思って。で、僕って絵が下手なのでその練習をしよう、と。
北向:えー!練習!
井上:プレゼントは、じゃあ「半年後に上手くなった絵を飾ろう。」と言うことで…
せっかくなら派手な額をと、金色を選んだとのこと。何を描くかはまだ悩んでいるそうだ。いいなあ、ド派手な額縁に何の絵が似合うだろう。
井上:絵が描けるようになるとライターの仕事の幅が広がるなっていうのはずっと思ってて。こういうことでもないと中々やらないので、いい機会だなと。
素敵な考え方だなー。そんな井上さんの現在地を見てみたい、とのことでその場で描いてもらったライオンがこちら。
あの、けっして本人の言うほど下手という訳ではないけど、「絵が描けます!」というライターから届いたイラストがこのライオンだったら「話が違う」ってなる、よな。
林:自分の記事じゃなくてハナウタさんの記事でこれ(絵の上達に半年かける)をやるのがすごいですね。
本当に、スピンオフで井上さんの記事にしてもいいレベルの話だ。まさかの筆者の記事で…恐縮である。
しかも、なんとこのあともう一人、半年かけて挑戦するメンバーが控えているのだ。なんだなんだ、すごいぞみんな。
林さんは半年後の猛暑を見据えたプレゼント
予想以上に大掛かりなプロジェクトからスタートしたこの企画。
続けて編集部の林さんは「ザ・夏」といったプレゼントを披露してくれた。
林:オーソドックスに、半年後を考えた時に…
林:去年の夏にマスクしたまま屋外の取材したら本当に辛かったんですよ。なので、これで快適に過ごせるかなと思って。
空調服、ご存知だろうか。内蔵されたファンの風によって身体の涼しさが保たれる、夏の屋外向けの作業着である。
すっかり忘れていたけど真夏のマスクって相当息苦しいんだった。あのしんどさを思うと空調服がひときわ輝いて見えてくる。
ただ、そんな林さんにも不安があるとのこと。
林:はじめて知ったんですが、空調服ってファンはだいたい別売りなんですね。
藤岡:えっ!
林:純正品のファンがすごい高かったので、Amazonで怪しい安いのを買ったんですよ。
北向:ふんふん。
林:不安なのが、空調服の穴とファンの大きさが合ってるかわからなくて。
井上:笑
ファンの大きさがどうやら標準化されてそう、と購入したが微妙に大きさが違うかもしれないらしい。
このファンが果たしてうまく空調服に合うのか合わないのか、答え合わせは夏にしよう、ということになった。なんてハラハラするんだ。
林:表記が「9cm」と「9.5cm」って少しズレてて…
北向:0.5センチ違ったら空気めちゃ漏れそうですけどね。
井上:いざ使うぞってときに「あっ」って。
藤岡:今年が記録的な冷夏だったりして…
井上:空調服が必要ない、みたいな。
ごく個人的には冷夏はありがたいけど、まあ今年の夏もきっと暑いのだろうな。
筆者は半年かけて美味しい思いをさせていただきます
3人目は筆者、北向である。悩んだ末に、"半年待つ必要のあるもの"を選ぶことにした。
北向:じゃぁおれですが…じゃん!
藤岡:わーー!いい!
北向:半年後、これを飲みながらこの会に参加したいと思ってます。
林:あー、いいなあ。
梅酒は”3ヶ月くらいから飲めるようになるが、半年、1年でよりコクが出る”とのことらしい。作るなら今だ!と思い、時期ではない梅の実を冷凍で取り寄せたのだ。
藤岡:私も前に果実酒をつくろうと思って瓶を買ったんですよ。ただ、消毒しようといきなり熱湯を注いだら瓶がバンッって割れちゃって。
井上:あーあー。
藤岡:それ以来作ってないんでめちゃ憧れてるんですよね。
林:すごい終わり方ですねそれ。
北向:爆発オチだ。
藤岡:泣きながら瓶の破片を拾いました。
林:瓶を消毒しないと良くないんですか?
北向:カビが生えたりするみたいなんですよ。
藤岡さんの行なった煮沸消毒は、少しずつお湯の温度をあげていくといいそうだ。筆者はキッチン用アルコールで丹念に消毒しました。絶対にカビ生えて欲しくないなー。
井上:最悪、半年後に梅酒が失敗してる可能性もあるんですね。
北向:参加者全員バッドエンドもあり得ますね。
おれの梅酒はカビだらけ、井上さんの絵はうまくならず、林さんの空調服もファンのサイズが合わない最悪の未来。
はじめての梅酒づくり。不安もあるけれどとてもワクワクしている。
井上:本当は半年後に(オンラインではなく)みんなで集まって飲みたいですよね、その梅酒。
藤岡:すごいハッピーエンド!
未開封の藤原さんと、待つ楽しみ
4人目の藤原さんでは、半年待つことによる期待感の話をした。
藤原:僕はまだ開けてません。開封を半年後にしたいと思っています。
藤岡:えー!
箱の中身は財布、しかも今使っているものと同じものを選んだらしい。果たしてその真意は?
藤原:古くなって財布の皮が黒くなってしまったんですけど、買い替えるタイミングがなくて。ちょうどいい機会だと思って新たに買い直したんです。
半年後に開封し、ふたつ並べて色を比べたいのだそうだ。
井上さん然り、今まで踏ん切りがつかなかったことに挑んだり購入したりと、今回をきっかけにしてくれたことが企画者としてなんだか嬉しい。
井上:開封するとまったく違う財布だった、ってオチはないですよね。
林:半年後だったら返品もできないですね。
井上さんと林さんはバッドエンドを期待しがちである。
藤原さんといえばネットで33万分円の一眼レフを買ったらなぜか中国からボールペンが1本だけ届いた、というエピソードが思い起こされる(Amazonでカメラを買ったらペンが届いた話)。
林:箱の中身がペンの可能性もあるからね。
北向:いま箱の中で「ペンである状態」と「ペンではない状態」が同居してる訳ですね。
井上:シュレディンガーの猫だ。笑
新しい財布は、いつかは欲しいがなんだか今ではない、という気持ちだそうだ。受け取る日にちまでカウントダウンしていくと「今だ!」という気になるかも。
井上さんの「Amazonもお急ぎ便の逆で、3ヶ月後に届く便とかあればいいですよね。お急がない便。」という言葉に皆がうなずく。そういえば人気のパンやコロッケが予約数年待ち、みたいな話も聞いたことがある。待っているあいだのワクワク感というのはあるよなぁ。
北向:藤原さんのバッドエンドはペン1本ってことですね。
藤岡:ペンであってほしいな。
参加者みんな意地が悪い。
藤岡さんは半年後、スーパーヒーローになる
ラストの藤岡さんはなんと、井上さんと同じく半年での新たなチャレンジを用意していた。
藤岡:去年の目標が「Y字バランス」だったのですが、それはできるようになったんですよ。なので今年は股関節をやわらかくしたいなと思って…
藤岡:半年後に身体が柔らかくなってこの衣装を着たらすごい格好いいポーズが取れるんじゃないかと思って。
林:ああ!確かにスパイダーマンって足広げてポーズしているイメージありますよね。
股関節が柔らかいと言ったらスパイダーマン、とのこと。そうか、確かにあの決めポーズは身体が硬いと格好がつかない。※思い出せない方は各自検索ください
藤岡:前回のY字バランスは1年かけたんですけど、中だるみしてサボったりしてしまったんで…半年ってちょうど良くて。うまくいけば良いスパイダーマンになれる。
北向:良いスパイダーマン。
半年という期間は挑戦するにはちょうどいいスパン、というのは他の方も言っていた。モチベーションを保てる、かつ結果が現れはじめる良い塩梅なのだろう。なるほどなー。
他にもあったプレゼント候補
藤岡:スパイダーマンの他に迷ったプレゼントがあって、「株」なんですけど。
全員:あー!
井上:半年後に価値が変わっている訳ですね!なるほどなぁ。
林:そうか株か〜、ビットコインでもよかったなぁ。
確かに、半年という期間で有数の動くものかもしれない。いい考えだなー。
林:あとでビットコイン買おう。
藤原:その前に「売りたい時期」が来たらつらいですね。
ちなみに各々いろいろ候補があったとのこと。参考まで、いくつか列挙しておこう。
ちょうど半年後、8月頭はぴったり東京オリンピックの開催予定時期なのだ。…開催されればだけど。
2021年1月を忘れないように記しておく
プレゼント発表のあとは「2021年1月」についてみんなで話をした。
半年後に集まったときにこの記事を見返しながら、そうか、こんな時期だったね、と振り返ることができればと思ったのだ。
北向:いくつか事前にトピックを拾ったのですが、まずはやっぱり"招待制の音声SNS、Clubhouseブーム"ですかね。
井上:あーー、これ半年後どうなってるんだろうなー!マストドンみたいになる…?
林:「Clubhouseあったなー!」ってなってそうじゃないですか?
(中略:各自、様々な意見)
北向:まあでもInstagramも最初はここまで流行るとは思いませんでしたからね。
井上:やってみると楽しいは楽しいんですよね。
北向:あとは『PUIPUI モルカー』。
藤岡:あ〜。このまま行ったら『モルカー THE MOVIE』とかになってそうですね。劇場版。
林:モルカー カフェとか。
井上:あれ、急に流行りだしましたよね。
林:何が流行るかわからないですよね、半年後に井上さんが描いたライオンブームが来る可能性もある。
北向:めちゃめちゃなハッピーエンドですね。
他にもいろいろ話した2021年1月のこと。
半年後どうなってるかなー。半年後に集まってみんなで答え合わせをしよう。
ちょっと格好つけて太宰治の話で締めますが、
太宰治は『葉』の冒頭で、
「死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。(中略)これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。」
と記していた。
実は今回の催しはこの一節に着想を得て企てたものだ。
半年先の夏に向けて希望があるのはいいことだな、と思う。なにせ半年後、世界がどうなっているか想像もつかない日々が今も続いているのだ。
2021年8月の再会を約束して、会はお開きになった。
梅酒が失敗したら泣いてしまう
改めて、半年後のハッピーエンドとバッドエンドをまとめると以下の通り。
最高のハッピーエンド
・空調服をまとい涼しげな林さんが現れ
・藤原さんは新しい財布で晴れやかに
・股関節がやわからい藤岡さんのポーズがキマり
・井上さんの上手な絵を飾った額縁をバックに
・筆者のおいしい梅酒をみんなで一堂に会し楽しく飲む
最悪のバッドエンド
・空調服がうまく作動せず林さんが汗だくで
・藤原さんのペンが増えており
・股関節がかたい藤岡さんのスパイダーマンが披露され
・井上さんの上達しなかった絵を見ながら
・カビが生えた梅酒を筆者が飲むか隠蔽するか迷っている
みなさん、最高のハッピーエンドを願っていてください。半年後、また。