木幡山
なんでよりによってわざわざ山を突っ切るのだろう?さしてショートカットになるわけでもないのに。
という気がしないでもないが、ともかくここからは山道に入る。
上の写真の道はまだ平らな方で、先へ行くにしたがって人一人がやっと通れるくらいの本格的な山道に突入していった。牛車で通るのは不可能だ。
ひょっとしたら、貴族たちも牛車を降りる口実が欲しくてこんなルートを選択したのかもしれない、と思った。牛車の移動スピードは、人間が歩く速さよりも遅い。揺れる上に圧迫感もある。そんなものにずっと乗っているのは、徒歩で移動する以上に苦痛だっただろう。それに、竹林の中は涼しくて、この道は歩いていて気持ちがいい。
林が途切れて、目の前に突然、石造りのエキセントリックな鳥居が出現した。さっきまでの爽やかな雰囲気が一気に暗転したような気がして驚いた。なんなんだこれは。
密教めいた雰囲気があるな。
調べてみたところ、この鳥居は芸術家の堂本印象によってデザイン、寄進されたものだということがわかった。
密教ではなく、作風だった。寄進にかこつけて自己顕示欲を出し過ぎな気もするが、一目見て鳥居だとわかる形に収まっている分、むしろ抑えたともいえる。
たくさん張り紙がしてある。何が書いてあるんだろう、という気軽な気持ちで読んでみた。いろいろな国の言葉で、スピリチュアルな内容のコメントが書かれていた。世界、再度暗転。Google翻訳のたどたどしい訳文だから正確なところはわからないが、ここがある種のパワースポットとみなされているのは間違いないようだった。
遠くへ来たな、という気がした。

