最近は「平成の〇〇特集」というテレビ番組や記事で溢れかえっている。「同じような内容ばっかりやってるな!」と思ってもやっぱり懐かしくなってつい見てしまう。悔しい。
その特集の中で特に話題になるのはガラケーの話だ。見ていたら昔使っていたガラケーが懐かしくなって、久しぶりに触ってみたくなった。ただしせっかく触るならがっつりガラケーを使ってみて昔を懐かしみたい。ということで、スマホを捨てて一週間ガラケーで生活してみようと思った。
結局はこの記事も「平成の〇〇特集」と同じようなことをやっているのだ。(これをブーメラン発言と人は言ふ)
久しぶりにガラケーを触るだけでワクワクする。『iモード』という文字を見るだけで脳が思い出の洪水に飲まれて爆発しそうになる。「うわ!とりあえずセンター問い合わせしよう!!」「誰かにデコメ送りたくなるな…」「着うたって最初から入ってるのかな?」というような感じで、次々に忘れていた懐かしワードが頭に浮かんでくる。ガラケーは手で持てるタイムマシーンみたいだ。
「好きな女の子に30行以上の長文をメールで送ったら、次の日からその子の態度がよそよそしくなった」というような永遠に忘れていたかった思い出すら蘇ってくるほどだった。携帯を逆パカしたくなるくらい恥ずかしい……
ちなみに僕はSH506is→SH902i→SH904iという感じで、シャープのものをずっと使っていた。しかしSH902iの調子が悪くなったため、母が使わなくなったF905iをもらって使っていた。ドコモのガラケーはFOMAカードというものを入れ替えると簡単に機種変更ができたのだ。
ガラケーを使っていなかった人は、F905iとかSH903とか言われても意味がわからないかもしれないので簡単に説明しよう。ドコモの携帯は「会社名の英文字(例えばSH=シャープ) + バージョン(505や903)」で名前が決まるのだ。ちなみに50x系はmovaの型番で、90x系からはFOMAの型番で分けられている。FOMAとかmovaっていうのは、通信方式などの進化の区切りで名前を変えたような感じだ。
【ガラケーあるある】
・ついついセンター問い合わせしてしまう
・連絡先を赤外線で交換する
・「電波が届かないときは頭にアンテナを刺せばいい」などの謎の民間療法
・着メロを友人によって変える。彼女ができるとわかりやすい。
・「Re:Re:は消すのがマナー」という謎マナー
・好きな子からのメールは保護してあとでみんなで見せ合う
・無駄に光るアンテナ
・「魔法のiらんど」でサイトを作りがち
・使いすぎてバッテリーがパンパンに膨張する
・前略プロフィール、mixi、モバゲー、携帯小説、ストリーミング……etc
『ガラケーあるある』という記事は、世の中に溢れている。なのでこの記事では『僕が実際に一週間ガラケーを使ってわかったこと』を中心に書いていきたい。以前にランドセルを背負って一週間すごすという記事を書いたときと同じように、ガラケーを使ってみてわかったことを10個あげていこうと思う。
(ランドセルを背負って一週間すごす→リンク)
1. カメラの進化がエグい
最初に目につくのはやはりカメラの性能の違いだ。今のスマホはキレイに撮れすぎて素人目には一眼と区別がつかないレベルにまでなっている。インスタなどの流行りもあって誰もがカメラマンみたいな時代になったなとつくづく思う。
そういえばガラケーのときって、今みたいに料理の写真を頻繁に撮っている人って僕の周りにはいなかったような気がする。インスタの影響も大きいが、カメラが進化して簡単にキレイな写真が撮れるようになったからこそ、料理の写真を撮る人が多くなったのだろう。
ガラケーのときは写真って思い出の記録用に撮っているというイメージだったけど、今は写真を撮りにいく目的で行動し、それが結果的に思い出になっているからおもしろい。インスタの流行りで時代は変わったが、それはカメラの進化なくしては起こりえないことだったんだなと改めて実感した。
これはもう歴然の差である。ガラケーの写真は「20年前に下着泥棒として捕まった男の今を追ってみました」というナレーションが流れてきてもおかしくない写真に仕上がった。あと横ピースで撮るのもガラケーとともに減っていったように感じる。
ちなみにF905iと僕の使っているスマホ(HUAWEI P9)のスペックは以下のようになっている。
■F905i(2007年製)
・外側:320万画素
・内側:32万画素
■HUAWEI P9(2016年製)※ 僕が現在使っているスマホ
・外側:1200万画素
・内側:800万画素
数値を見ればその差は歴然で、外側のカメラは約4倍、内側にいたっては約30倍近く画素数に差がある。進化しすぎだろ、ドラゴンボールの戦闘力並のインフレ。私の戦闘力は1200万画素ですよ。
今のスマホはデフォルトでカメラに美肌モードなどが当たり前のようについている。ガラケー時代にタイムスリップしてプリクラ撮ってそうなギャルに「未来では携帯でプリクラ以上の写真が撮れるよ!!!!」と話しても、パラパラに夢中で誰も信じてくれないだろう。
ガラケーのときに空の写真を撮る人が多かったのも「手ブレがわかりにくい」「画質低くてもそれなりにキレイに見える」という2点が大きかったのかもしれないなと思った。あと空の写真とポエムは鉄板である。今はバカにされているが、昔はみんな必死になっていいポエム画像を探して保存していた。Twitterで感銘した言葉をRTするのと同じようなものだと思う。
2. フリック入力じゃないのが辛い
スマホになってからフリック入力(上下左右に文字を選択する方法)になったから、ガラケーで文字を打つのにものすごく苦労した。ガラケーで早く文字打てるギャルがテレビに出たり、ボタンを見ないで打つということを利用したトリックのドラマや小説もあったなぁ…
3. 最近のサイトがほとんどみれない
HTTPS通信ができないのでTwitterやFacebookにはログインどころかページを開くことすらできない。LINEも今年の3月にガラケー対応を終了しているので、最近のよく使うサービスがまったく使えないのだ。
HTTPSって言うのは安全に通信できるような仕組みで、なぜサイトが開けないか超超超ざっくりいうと、今の技術にガラケーがついていけていない状態なのだ。(超超超とか言っておかないと後ろから槍で刺されるようなコメントが飛んでくるので)
あとiモード用のサイトも残ってはいるんだけど、優良サイトがほとんど消えて怪しいサイトばかりが生き残っている。というかガラケー用のサイトって簡素すぎて良いサイトなのか怪しいサイトなのか見分けがつかなくて、うかつにクリックできない雰囲気があって怖い。小学生のときにまだ携帯を持っていないけどどうしてもエロいサイトが見たくて、兄が寝ている間に携帯を勝手に使ったときに架空請求が来たのはいい思い出。
4. 充電器を他の人に借りれない
今はiPhoneとAndroidでそれぞれ充電器が共通して使えるが(USBのタイプにもよるが)、もちろんガラケーでそれらを使うことはできない。もし旅行なんかに行って充電器を忘れたら一巻の終わりだ。
というかガラケーは機種ごとに充電器がまったく違うので、自分で充電器持っていくのが当たり前だったな。電池パックをみんなが2つ持ちしていたしね。そしてカップルは電池パックにプリクラを貼るのも定番中の定番。
5. ガラケーを使っている人にシンパシーを覚える
やはり今はスマホ全盛期なので、電車や街中でガラケーを使っている人を見かけることが少ない。しかしそれゆえに同じようにガラケーを使っている人を見ると「おお、同士よ…!!」と駆け寄って握手したくなるほどシンパシーを受ける。もし合コンとかで男女でそれぞれガラケー持っている人がいたら、話がめちゃくちゃ盛り上がって付き合うと思う。ガラ婚。
6. ブラウザを複数同時に開けないからブックマークと画面メモを多用する
これが地味に辛かった。今のスマホのブラウザはタブで複数ページを同時に開くことができるが、ガラケーではそれができなかった。なので今開いているサイトに戻ってきたいときはBookmarkか画面メモをして残す必要がある。
知らない人のために説明しておくと、『画面メモ』とは気に入ったWebページをオフラインでも見られるように保存しておくことができる機能のことだ。
完全に余談であるが、僕が中学生のときは画面メモという機能はエロいページを保存しておくためにみんな使っていた。「画面メモ見られる=ベッド下のエロ本見つかる」という式が成り立つくらいみんな画面メモがエロかった。むしろいかに画面メモにエロくするかにみんな必死だった。
部活の先輩に「時東ぁみの特集ページ」を僕が画面メモしているのを見られたときは、口に手を突っ込んで心臓を取りだそうか迷ったレベルに死にたくなった。そういえば僕が眼鏡好きになったのも時東ぁみと涼宮ハルヒの憂鬱の長門有希あたりからだったな…とどうでもいいことも思いだした。
7. 画面サイズの小ささはそこまで気にならない
久しぶりにガラケーを触り始めた直後は画面の小ささに笑ってしまうほどだったが、住めば都というもので一週間もたてば気にならなくなる。むしろスマホに戻ったときに「画面デカすぎる!!」と逆に違和感を覚えたくらいだ。ゲームをやったり動画を見たりしない人であればそんなに画面って大きくなくても不便しないのかもしれない。
ただ、視力が落ちてきたり老眼が始まったりするとスマホの画面の大きさはありがたいんだろうなとは思う。母が老眼鏡をかけて目を細めてスマホを操作しているのを見ると、歳をとったなぁ…と寂しく感じるときがある。
8. アプリがないことに不便を感じることが多い
すぐに不便だと思ったのは電車の乗り換え検索だ。いつもはスマホの乗り換えアプリを使っているので検索も一瞬で済むが、ガラケーではブックマークから電車乗り換えサイトを開いてから検索しないといけない。ワンタップでアプリを起動できるって本当に便利だ。通信も今のスマホより遅いから「調べる時間が早かったらもう一本早いのに乗れたのに…!!!」ということが何度かあった。(「事前に調べておけよ!!」って苦情は一切受け入れない)
あとはメモ書きなどがパソコンと同期されないのも不便だった。いつもはEvernoteやグーグルドキュメントを利用して、スマホとパソコンのメモを共有しているのだが、携帯だとそれができない。思いついたアイディアなどをメモ書きで毎日なにしら必ず残すようにしているので、これが一番自分にとっては不便かもしれない。
「人間って便利が増えた瞬間に不便も増えるんだな」と携帯を触りながら思った。今のセリフかっこよかったからあとで空の写真を撮ってポエムにしようと思う。
懐かしいゲームをやりつくしてやろうと思っていたのだけど、アプリストアが閉鎖していたし、個人でやっているようなゲームサイトもほとんどなくなっていたので、好きだったゲームがダウンロードできなくなっていた。今だに「モンスターメイトEX」が現役だったのは笑った。懐かしすぎる。
「糸通し」、「がちんこテニス」、「モナーのビーチバレー」は特にハマってやっていた。あとハンマーヘッドロップというサイトで公開されていたゲームが個人的には特に好きだった。
2000年代半ばになるとアプリゲームの動きも変わってきて「怪盗ロワイヤル」や「ドリランド」といったオンラインゲームが流行っていた。怪盗ロワイヤルはスタミナ制を導入しており、一日にできるゲーム数が決まっていて、それが朝の4時になると全回復する仕組みだった。サッカー部の友人がハマりすぎていて「怪盗ロワイヤルのために毎日3時50分に起きてるから寝不足なんだよ…」と狂気じみたことを言っていたのが懐かしい。完全に時間を怪盗されている。
9. メールの打ち方がわからなくなっている
仕事関係のメールは問題ないのだが、いつもLINEやFacebookメッセンジャーでのチャット形式で連絡をしている友人や知人にメールするときが大変だった。試しに友人にメールで連絡してみると「え?なに?なんでメールなの?なんかあった?」とものすごく心配された。
友人よりもメール文面を考えるのが難しかったのは、いつもチャットでやり取りしている仕事関係の人たちだ。文面をどう打っていいいのかわからないのだ。チャット形式であれば砕けた会話ができるが、メールとなると急にかしこまってしまう。
「最初に〇〇様ってつけた方がいいのかな…」「でもいつもチャットでやり取りしているのに急に固くしすぎじゃないのか?」「文章ってですますの方がいいのか?」「(笑)ってメールでつけたら失礼になるかもしれない」と急に色々と考えこんでしまう。ツールによってコミュニケーションの距離ってこんなにも変わるんだなとわかった。
10. 画質が荒いとエロい
これは僕的に新発見だったのだけど、粗い画像でグラビアアイドルなどをみるとなんかエロいのだ。わからない。試しに時東ぁみの画像を調べてみたらいつもよりなんかエロい。なんかエロいのだ。中学生に戻ったような気分になれる。粗い画像と興奮というのは相関関係にあり、どこかしらに最高の粗さがあってそれを超えると一気にエロくなくなる。いつかこの分野を研究してノーベル平和賞を狙いたいと思う。
【使ってみたわかったことまとめ】
■良かったところ
・懐かしくてとにかく感動する
・昔を思い出すのでしばらく会っていない友人に連絡がとりたくなる
・余計な機能がないから携帯を見る時間がいつもより短くなる。電車で本を読む時間が増える。
・スマホにこだわっていたけど自分の生活リズム的にはガラケー or ガラホ(ガラケー+スマホ)で充分生活できる
・時東ぁみは最高だということを再確認できた
■悪かったところ
・アプリがないのはやっぱり不便
・パソコンとデータを連動できないのは痛い
・TwitterやFacebook、LINEが開けないので急な連絡に対応できない
・カメラのシャッター音が大きいので恥ずかしい(おそらく盗撮対策のために音を大きくしている)
・荒い画像を探してしまう身体になってしまった
不便なことも多いけど、昔の機種のガラケーを使ってみて「生活にものすごく困る!!!」ということはそんなになかった。僕の場合はニュースが見れたり、調べ物がちょろっとできればいいので「危機的に困る」ということはなかった。友達少なくてほとんどLINEとかに連絡がこないというのもあるかもしれないが……
困らない理由としてパソコンを触っている時間が長いというのも関係していると思う。スマホでできることはほとんどパソコンで出来るので、困るのは移動のときだけだ。というか、この記事で使っていたガラケーは僕が学生時代のときに発売された古い機種なので、最新のものを使えばTwitterやFacebookも見ることができる。当たり前だけどガラケー使ってるからって困ることは本当に少ないと思う。
スマホ依存症の人は一週間くらいガラケーで生活してみるといいかもしれない。心が安らかになると同時に昔を懐かしめる。不便をたまには味わってみるというのも意外に悪くない。あと時東ぁみの素晴らしさも思い出せるからぜひガラケーを使ってみてほしい。