特集 2021年6月2日

アナログゲーム(将棋)にも盛り上がるゲームエフェクトが必要だ

コンセプトデザインなのでちょっと小規模になっております。

最近のゲームはすごく派手だ。

スマホゲームやテレビゲームにはゲームエフェクトと呼ばれる「視覚効果」がふんだんに使われ、いやが上にも気分は盛り上がる。

しかし将棋などのアナログなゲームには当然ことながらそれはない。

アナログなゲームにもかっこいいゲームエフェクトを追加できないか。

1984年生まれ岡山のど田舎在住。技術的な事を探求するのが趣味。お皿を作って売っていたりもする。思い付いた事はやってみないと気がすまない性格。(動画インタビュー)

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ゲーム機が禁止されていた学生時代

僕は学生の頃には寮に住んでいたのだが、その寮ではゲーム機の持ち込みが禁止されていた。

必然的に将棋とかトランプといったアナログな遊びをせざるを得なかった。

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将棋とかトランプはよく遊んだ。それも今となっては良い思い出だ。

その後、レポートを書くためのパソコンは寮内に持ち込めるようになりパソコンゲームはできるようになる。

それまでの将棋やトランプとは違い、パソコンのゲームは華麗なグラフィックや視覚効果(ゲームエフェクト)で彩られ、とても感動したのを覚えている。

さて時は流れゲームエフェクトがなければ満足できない体になってしまったので、アナログな将棋などのゲームにもエフェクトをつけられないだろうか。

きっかけはワイヤレスLED

「将棋などのアナログな遊びに視覚効果を付ける」はかなり以前から温めていたが、具体的にどうすればいいかまでは思いつかなかった。

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中央の発光ダイオード(LED)と周囲のコイルは繋がっていない。​​​​​

そんな折、近所の電子部品店の店員さんに教えてもらったのがワイヤレスLEDだ。

上の写真の通り中央のLEDは周囲の線とは繋がっていないのに光っている。スマートフォンなどのワイヤレス充電と同じ原理だが、実際に手に取ってみるととても不思議で、まるで魔法のようですらある。

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板を挟んでみた。

しかもこの様にたとえ発光ダイオードとコイルの間に木の板などを挟んでも大丈夫。(磁界を遮断する金属などはNGだった)

これを使えば、最新ゲームのような派手なエフェクトに彩られたアナログなゲームも作れるのではないか。

今回将棋でやってみようと思う。なぜなら材質が木だったのと、光らせると絶対かっこいいからだ。

将棋の駒をフォントから作る

ということで、早速将棋の駒から作ることにした。

まず立ちはだかるのはあの文字である。

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何と書いてあるかすらよく分からない。

表の楷書はともかくとして、裏の草書はフリーハンドは難しそうだ。そこでここからはデジタルの力を借りる事にした。

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同じ文字をずっと見ながら作業しているとゲシュタルト崩壊が起きる。

下書きした文字をスキャンして取込、パソコン上で始筆、止め、跳ね、払いを追加する。これを将棋の駒に使われるすべての文字に対して行う。

勢いのまま作り始めたが、これもしかして滅茶苦茶大変なやつでは?

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将棋に使われいている全文字が完成した(重複する字は省略)。

という予想は残念ながら当たっていて、これだけで一週間くらいかかってしまった。

しかしさすがはデジタル。僕の字はこんなに綺麗じゃないがフリーハンドで字を書くのと違って、いくらでも書き直したり全体を見渡しながら調整することができる。なかなかいい感じになった。

習字が難しいのは一発勝負だからだな。

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ちょっとずつ崩しているように見える。

最初は裏の文字が何かさえ分からなかったが、一週間ずっと将棋の文字とにらめっこしていると「銀」→「桂」→「香」→「歩」に行くに従い、「金」の文字を徐々に崩している様に見えてくる。

調べてみるとそういう説もあるらしく、つまり「歩」の裏の「と」は、「と」ではなくすごく崩した「金」という説もあるそうだ。(諸説あり)

機械で木を削る

閑話休題、次にデジタルの世界から再びアナログの世界へ。作った文字を木材に削って駒を作る。

それにはこのCNCフライス盤という機械を使用する。

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回転する刃が木材を正確に削り出してくれる。

ハンコ屋さんなどで名前を彫る時もこういった機械が活躍しているらしい。

3Dプリンタも便利だが、この機械も一家に一台あればご家庭で将棋の駒を削る時やハンコに名前を彫る時に便利である。

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ささくれが出来ているができあがり。

ものの数十分ほど待つと将棋の駒(らしきもの)が完成。

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軽く紙やすりをかけてささくれを取ったところ。

紙やすりで軽くなでるとささくれが取れてとてもいい感じに。

ちなみにこの「玉将」の文字の凹みのところは本当にギリギリまで薄い状態だ。

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レジンを流し込む。

そこに乳白色のレジンを流し入れる。

このレジンは紫外線をあてると固まる性質があり、太陽光をあてるとものの数秒でカッチコチに固まった。

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ヤスリでみがくと文字が現れた。​​

反対側から表面の薄皮をヤスリで少し削ると「玉将」の文字が現れる。

文字が現れる瞬間はまるで化石の発掘のようで、なんとも感動的だ。

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窓の光にかざしてみると光が漏れてくる。

文字の所だけ光を透過する将棋の駒の完成である。

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再びレジンを流し入れ、ワイヤレスLEDを投入する。
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ハサミで切れるほどの薄い板を切って貼る。

裏面は木工用ボンドで薄い板をはってふさぐ。

思ったよりいいものが出来たんじゃなかろうか。でも本来将棋の駒は先(上)に行くに従って薄くなっている。そこまでやるのは難しかったので勘弁していただくと言う事で。

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玉将の文字が光るだけでこんなにかっこいいのか!

完成した駒をコイルに近づけた瞬間、ピカーーーン!と文字の部分が光りだし覚醒する。

たぶんかっこ良くなるだろうと見込んではいたが、目の前で文字が光る玉将は想像以上のかっこよさである。「漢字」と「光る」組み合わせはすごくいい。

将棋盤を作る

駒のめどが立ったので、つづいては将棋盤を作っていく。 当然将棋盤もかっこいいエフェクトが使われるべきである。ということでテープ型の発光ダイオードも用意した。

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途中でハサミで切って使うこともできる。

しかしここでちょっと想定外だったのは将棋の駒がコイルから少しでもずれると一気に暗くなってしまうことだ。

ちゃんと将棋盤がすべて光るようにつくるには将棋盤9×9マスの81個のコイルが必要になる。そこまで用意していなかったので、あくまでもコンセプトデザインということにして2×2マスのみ作る事にした。

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テープ型の発光ダイオードとコイルを配置する。

配置を変えながら試行錯誤していく。

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駒と同じ様に穴にレジンを流し込んで固める。
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完成した将棋盤がこちら。

まるで魔法陣のような光をまとうちょっと小さい将棋盤が完成した。 

完成、ゲーミング将棋

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完成した将棋盤に駒を置く。

置いた瞬間にピカーンと文字部分が光る。

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アニメーションGIFでも

思った通りのものができたが、アナログゲームにゲームエフェクトを追加したというより…なんか、これゲーミング将棋?と思ってしまった。

ゲームをするための専用パソコンのことをゲーミングパソコンといい、ゲーミングパソコンの多くがカラフルに光るイルミネーションを搭載していることから転じてカラフルに光るものを「ゲーミング〇〇」と呼ぶミームがある。

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僕のパソコンもゲーミングパソコン。ゲーミングの名に恥じぬ光っぷりだ。

結局僕が作ったのはゲーミング将棋ではないか。アナログな将棋をテレビゲームやスマホゲームの様にしたかったのだからゲーミング将棋で合っているものの、将棋自体がそもそもゲームの一種と考えればでゲーミング将棋とは奇妙な言葉である。


ベーゴマを現代風にアレンジしたベイブレードというおもちゃがあるが、最近のベイブレードには本物の火花が出るようなギミックが搭載されているそうだ。

ゲーム的な視覚効果が確実に現実世界を侵食しているのではないか。

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マトリックスLED(発光ダイオードが格子状に並んだ部品)でも将棋できないかと思ったが難しいな。

 

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