特集 2026年9月16日

"存在しないゲーム"から学ぶ取扱説明書の楽しみ方

かつてゲームのプレイ前にワクワク感を高めてくれた「取扱説明書」。
しかし今ではゲームに付属すらしていないことが多い。

あの説明書の良さを知らない人に味わってもらうため、自作の「存在しないゲームの取扱説明書」を作った。

何か書いたりつくったりしているフリーランスエンジニア


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ゲームを買ってもらった帰りの車中。
親は途中でスーパーに寄ってしまった。
早く帰って遊びたい私は、そっとパッケージの封を開け、取扱説明書に手を伸ばす。
今すぐ遊べない代わりに、せめてその世界にはいち早く触れたいという想いがあるから。

令和8年現在、ゲームの取扱説明書というものは殆どその姿を消してしまった。
今を生きるちびっ子も上記のような体験をしたことなんてないのではなかろうか。

では今こそ、その文化を絶やさない為にも、説明書の楽しみ方を伝えるべきだ。
ということで架空のゲームの説明書を作成し、その読み解き方・楽しみ方を伝えていこうと思う。

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発案~作成

まずは存在しない架空のゲームを発案する所からだが、そこは問題ない。何しろ幼少期の私の夢は「ゲームクリエイター」であり、いわゆる黒歴史ノートというやつに数々の設定やタイトルを残してきた。そこからアイデアを引っ張りだせば架空のゲームを作り出すことは造作もないことだろう。

改めて見返してみると正直かなり恥ずかしく思うアレコレが載っているが、そんな感情に私の情熱は負けない。使えそうなシナリオ、キャラクター、システム、設定などを寄せ集め、なんとか「存在しないゲーム」のイメージを固めることができた。

何を作るかを決めたら後はもう流れ作業だ。

説明書の構成を決め……

イラストはAIに頼み……

時には自身でドットを打ち……

最後はできあがった素材を元に説明書のページを作成していくだけだ。
(多分イラレとかの方がこういう場合の制作に向いてるんだろうけど私はフォトショの方が慣れてるのでフォトショを使ってます。真似しようと思った方はルビ打ちで地獄を見るので素直に対応ツールを選んだ方がいいです)

本来ならデータが出来上がった段階で本題に移ってもいいはずなんだが、せっかくなので製本をしておこうと思う。

印刷を行い……。

中綴じをして……。

裁断で形成……。

最後に折り畳んだら……。

完成じゃ〜〜!!

やはり現物ができあがるとテンションがブチ上がる。
当記事ではこの紙媒体の出番はここでお終いだが、この取扱説明書はしばらく私のデスクの手元に置き、偶に見返してはニヤニヤする為の役割を与えておこうと思う。

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そして解説へ

さて、表紙から察せられるとおり今回私は「Witch Judge 〜裁きの魔女エルセーン〜」という存在しないゲームの取扱説明書を作った。「シュライクソフト」という存在しないメーカーの「ハイパーコンピュータ」という存在しないハード専用ソフトとして販売された存在しないアクションRPGだ。
(ちなみにお気付きの方もおられるかと思うが、私はスーパーファミコンが大大大好きなので今回は思いっきりオマージュさせて頂いている)

前置きがだいぶ長くなったが、私が作ったこの説明書をもとに「ゲームの取扱説明書の楽しみ方」をお伝えできればと思う。
自作ゆえに全てのリアクションがマッチポンプに思えるかもしれないが、あくまで「初めて説明書を読んだ体」として捉えていただければ幸いだ。

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1.表紙〜目次

すでにお目に触れているが、表紙のデザインはこんな感じである。

ロゴ、ハード名、メーカー名が掲載されたシンプルなデザイン。ものによってはここにキャラクターイラストがデカデカと載ったりすることもあるが、私的には表紙に何もない方がこの先どんな情報が載っているのかワクワクするのだ。
当然、世界観を説明するためにイラストが載っていてもいい。それはそれで雰囲気を楽しめるし、その後ゲームをする際により没入できる栄養素にもなり得る

表紙をめくって一番最初に表示されるご挨拶。なんか怖い
無機質なフォントで無機質なことを淡々と述べられている気がして、思わず読み飛ばしてしまう。しかし今の年齢になって思うのは、これも一企業が提供するプロダクトとして必要な説明だったんだな、ということ。
クレーム対策の側面もあるんだろうが、それ以上にユーザーに対して安全に安心に遊んでもらいたいという気持ちがあるからこそ、書かざるを得ない部分なんだろう。

次に目次。ページをめくって第一のワクワクする箇所

「お、登場人物の他に敵キャラも紹介するんだ!」
「フィールドとダンジョンはどんな違いが……?」
「魔法やアイテムも気になる!」

など、目次だけでも読み取れるものが様々であり、そこからどんな情報が掲載されているのか想像を膨らませることができる。取扱説明書とはいわばシュレーディンガーの猫のようなものであり、観測するまでは内容が確定しないのだ。

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2.あらすじ

フォントが変わった〜!!

一気に世界観や雰囲気に引き込まれる作りになった。
そして嬉しいことにマップも載っている。
これが第二のワクワク箇所である。

このマップの有無はとても重要で、例えば北の方を見れば「あっ、絶対火山ステージがあるな」と分かるし、大陸中央から少し西には船が浮かんでいるので「ひょっとしたら船上のステージもあるのか……?」と様々な想像を膨らますことができる。

そして何より重要なのはあらすじ。
ふむふむ、何の理由もなく魔女復活の旅に出た友人を追いかけるってことか……?」とある程度推測できる。まぁ人によっては事前にネットやゲーム雑誌とかで情報を知った上で買った人もいるんだろうが、初見には初見なりの楽しさがあるってもんよ。

ここまでのポイント
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3.登場人物〜敵キャラクター紹介

正直、このページが取扱説明書の最大の旨みだと思っている。
いや、だってよ、ここでしか書いていない情報があったりするんだぜ?
主人公であるエルセーンも、事前情報には「ルギスを追う旅に出る」みたいな情報しか書いてなかったりするんだぜ?
しかし取説には「活発な少女」と性格まで書いてあったりする。これだけでキャラに対する解像度が違ってくるってもんだ。当然、ゲームを進めていくあいだにもパーソナリティを理解していくことはあるんだが、事前にこれがあるかないだけでだいぶ感情移入の度合いが違ってくると私は思うんだよな。

あとヴァルプの説明もほぼ謎に包まれてるけど、「災厄の魔女」なんて呼ばれ方、あらすじにも書いてなかったぜ? よほど危険な奴なんだろう。
そんでルギスとシルエットがそっくり。絶対生まれ変わりかなんかだ。

だってヴァルプとルギス……。ヴァルプルギス……。絶対そうじゃん……。

いやしかし、これはミスリードの可能性がある。
そもそもルギスは「この世界を救う」と書き置きを残してるんだ。数百年前に世界を滅ぼそうとした魔女を復活させることが救いに繋がるのか?
疑問は絶えない。

こういうことを考えられるのが登場人物ページの良さなんだよなぁ。

そんで次は敵キャラクター。
これから冒険を進めるに当たって、避けて通れない悪役の数々。
ファンタジーな世界観の作品だけあって、スライムやワイト、オークなどオーソドックスなモンスターが並んでいる。
しかしまず真っ先に思うのは、

マンドラゴラ、キモッ!!

たまにいるんだよな。
マンドラゴラ自体は超有名な架空の生き物だけど、それをキャラクターにした時になんでこんなデザインにしたん? みたいなやつ。

しかしそれも取説の面白みのひとつ。
特に今回はスーファミベースであるため、プレイ中に出会う敵キャラは全てドット絵なのだ。「Witch Judge 〜裁きの魔女エルセーン〜」というゲームにおいて、キャラクターの全身絵を拝見できる機会は取扱説明書にしかない。たぶん攻略本とかだったらさらに多くの敵キャラの全身絵を見ることができるんだろうが、取説において御身を見せていただけるのはとても栄誉なことだろう。
そんで多分メインキャラクターと敵キャラクターのデザイナーが違うんだろうなというのもここで分かる。同じ業種でもスタッフワークの担当が分かれているのは別に珍しいことではない。

そんで更に、

こういうワンポイントアドバイスみたいなの、あるよね〜〜

「デザインの余白を埋める」という意味合いもあるかもしれないが、これだけで「モリじい」というキャラクターのパーソナリティが垣間見える。
多分このゲームにはコウモリ型のモンスターは出ないんだろうな、というのもなんとなく分かる。
あとこういう隅のアドバイスにこそ重要なことが書いてあったりするんだよな。

ここまでのポイント

⏩ 4.操作説明〜ゲームの始め方

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