クラスメイトのご紹介
というわけで、まずは今回集まった生徒と学校工芸の出席を取ります。
さあ、皆さんの学校工芸、じっくり見ていきましょう。
蘇る記憶
それぞれの作品の来歴を語ってもらおうと思ったのですが、みんな「記憶がない」「特に思い出がない」と消極的です。ところが作品を前に記憶をたどってみると、様々なエピソードが溢れ出してきました。
学校工芸の記憶に付随して、当時の自分がはまっていたものや先生の思い出まで鮮明に蘇ってきます。
ただ何となく生き残ってしまった
正直言って、どれも職人が作ったような素晴らしい出来栄えの代物ではないわけです。それなのになぜ、何十年も生き残ってきたのでしょう?
つまり「めちゃくちゃ大切にしてもないし、処分しようとも思わなかった」という消極的理由で生き残ったんですね。ただ、べつやくさんだけは湯呑みを一度捨てようとしたことがあるそうです。
思わず止めてしまった林さんの気持ち、分かります。実はこの日私が着てきたセーターも、妻が高校の家庭科で編んだ学校工芸なのです。
「え!勿体ないよ!」。あの時、私も慌てて妻を止めました。作った本人は特に思い入れがないのに、周囲の人の方が価値を見出してしまう。学校工芸には「手作り」が纏う、不思議な力が宿っているようです。
数十年越しで褒められる
その不思議な力のせいなのか、みんなめちゃくちゃ褒めてくれるんです。「石井さん、これ結構細工ちゃんとしてるね」とか言って。
まさか30年前の自分の作業を今褒められるなんて。引き出しに入れたまま忘れてたお年玉を今見つけたような、ラッキー褒められを経験できました。

