茹で時間も少ない
ところでさまざまな調理法を提示してくれていたふしめん先輩のパッケージだが、なぜか茹で時間の記載がどこにも見当らなかった。
茹で時間、短めで大丈夫そうだ。その点も含めてなんと扱いやすい麺なんだろう。好きになる理由しかない。もうすっかり信者である。
先日、そうめんを作る際にできる副産物「ふしめん」に出会った。
「まあいったってそうめんの仲間だろう」と思っていたが、食べてみたところ「そうめんだけどそうめんじゃない!」と思うとともに、すっかり信者になってしまった。ふしめんは素敵だ。
というわけで、ふしめんのパッケージの裏に書かれていたアレンジ法をそのまま試した結果、ただただおいしかったですっていう話をさせてください。
4月、運転免許をとるために香川県に1ヶ月近く滞在していた。香川といえば讃岐うどんである。至るところにうどんがあり、どのうどんもばっちりうまかった。
だが、そんなうどん天国でうどんに満たされまくっていたはずが、ある日スーパーでふいに、うどんの隣にひっそりと置かれた「ふしめん」の存在に目を奪われた。
奪われてしまったのだ。
ふしめんとは、そうめんの「端っこ」なのだという。
そうめんを吊るして干す際、棒にかかっていた部分。そこだけを切り分けてまとめて、パック詰めにした状態がこれである。
どうやらそうめんの産地近くに住んでいると、それ相応に目撃経験があるものらしい。なので、いまこれを読んでいる方の中には、「めっちゃ知ってるよ!」いう方もいるかもしれない。「バチ」「かんざし」など、別の名前で呼ばれているケースもある。
だけど、そうめんの産地で暮らした経験のないわたしにとっては、この時が生まれて初めてのふしめんとの対峙だった。
は、はじめまして。
よろしくお願いします。
おし。やってみよう!
まずはこちらから。
麺類と味噌が相性ばつぐんなことを、わたしたちは数多くのメニューから既に教わっている。食べる前から手堅そう、と感じる方法ではある。
が、そうは思ってもやってみるのが大事なのだ。お腹もすいている。
妙に落ち着く。昔からずっとあったんだろうなぁっていう味がする。実際、わたしが生まれる前からこういう食べ物はあったんだろうから、この見解は正しいのだろう。誰かの実家っぽい味だ。
初めて食べるふしめんの味は、「麺なのは確かなんだが、なんの麺なのだか一発で当てられない」味がした。とにかくのどごしがいい。つるつるだ。口のなかに入れたかと思えば、スッとあっというまに通り過ぎていく。体感が気持ちいい食べ物である。
結論。もうさっそくファンになりました。
つづいてはこちら。
ところで主にひとり暮らしの人に聞きたいのだが、すき焼きって日常的に作るものなのでしょうか。今気がついたのだがわたし、すき焼きを作った経験がほぼない。
唯一作ったことがあるのはトマト入りのすき焼きだ。
いわゆるしいたけ、豆腐、牛肉を入れてつくる王道のすき焼きを作るのは初めてである。
つるっとしたのどごしのふしめんと、つるっとした口当たりの溶き卵。つるっとしたもの同士だもの、合わないわけがなかった。つるつる感が強靭になって迫ってくる。
なお、王道のすき焼きを自宅テーブルに置いたのは生まれてはじめてはずなのに、ふしめんは、もう20年くらい前から顔馴染みだったよねっていう感じで威風堂々とごく自然にそこに存在していらっしゃいました。順応性がものすごく高いです。
ところでわたしは「うどん焼」と聞いて、「あ〜あれのことね〜」と即なれない側の人間だ。調べたところ、香川県では「焼きうどん」をこのように呼ぶようだ。
とりあえず焼きそばっぽいものを作ってみることにした。ソースで味付けをしている。
と、ここでひとつ大切なことに気づいた。
短い麺はものすごく食べやすい。「すする」という動作なしで食べられる麺はめっちゃ食べやすいのである。
となれば、スパゲティも食べやすいに違いない。
やっぱり短い麺は食べやすい。
スパゲティってなんであんなに長いんだろう……? という気持ちがよぎってしまうくらい短さのとりこになっている。
と、
ここでひとつ仮説が浮かんだので検証してみてもいいでしょうか。
まずは、めんたいこソースをふしめんに絡ませてみることに。
……めんたいこはスパゲティの方が好きっぽいな。
あらためて。イタリアの食べ物に明太子を絡めてみようと思った人すごいなという感想に落ち着いた。スパゲティにはスパゲティの役割があるのだ。
で、こちらなんですけど、
食べる前からおいしそうじゃないですか。
急におもてなしの席でこれを出しても、「これ何?」ってことにはまずならなそうだし、居酒屋のメニューにもありそうだ。安定感。
ふしめん、もはやつい最近会った気がしない。
さて。そんなふしめん、
「麺を揚げるとうまい」というのは、想像に難しくない。
問題は別にある。
主にひとり暮らしの人々に聞きたいのだが、かき揚げを自宅で作ったことはあるだろうか。わたしは一度も作ったことがない。
だってスーパーや蕎麦屋に行けば、即おいしいかき揚げに巡りあえるんだもの。あえて自分で作らなくてもいい。生きていける。餅は餅屋。ずっとそう思っていた。
だけど今日は検証のために作らねばならぬ。
かき揚げの作り方はよくわからない。でもきっと粉と具材を混ぜればどうにかなるはずだ。見よう見まねで進めていこう。
想像以上の仕上がりに思わず叫んだ。物理的に。
「わたしすごい!」「おいしい!」などと声を上げていたのだ。窓を開けっぱなしにしていたので、外に聞こえていた可能性が高いが、それどころではなかった。
揚げてさくさくになったふしめんは、カリカリでおいしい。コツのいらない天ぷら粉はまじでコツがいらなかった。
それにしても、手順に従って作ろうと思った時に急に登場する「生まれてはじめて」ってあるのだなぁ。急にかき揚げが作れるようになってほくほくだ。
つまりふしめんとはこういう存在なのである。
………ってもしかしてつまりそれって最高ってことじゃないか。
近いうちにあなたを数袋、まとめ買いしたいと思います。
ところでさまざまな調理法を提示してくれていたふしめん先輩のパッケージだが、なぜか茹で時間の記載がどこにも見当らなかった。
茹で時間、短めで大丈夫そうだ。その点も含めてなんと扱いやすい麺なんだろう。好きになる理由しかない。もうすっかり信者である。
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