特集 2022年5月26日

そうめんの副産物「ふしめん」がうまい!

先日、そうめんを作る際にできる副産物「ふしめん」に出会った。

「まあいったってそうめんの仲間だろう」と思っていたが、食べてみたところ「そうめんだけどそうめんじゃない!」と思うとともに、すっかり信者になってしまった。ふしめんは素敵だ。

というわけで、ふしめんのパッケージの裏に書かれていたアレンジ法をそのまま試した結果、ただただおいしかったですっていう話をさせてください。

1981年群馬県生まれ。ライター兼イラストレーター。飲食物全般がだいたい好きだという、ざっくりとした見解で生きています。とくに好きなのはカレー。(動画インタビュー)

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うどん話から始まるけどふしめん話です

4月、運転免許をとるために香川県に1ヶ月近く滞在していた。香川といえば讃岐うどんである。至るところにうどんがあり、どのうどんもばっちりうまかった。

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今回のメインはふしめんなのだが、おいしさにめんじてうどんの写真も載せさせてほしい

だが、そんなうどん天国でうどんに満たされまくっていたはずが、ある日スーパーでふいに、うどんの隣にひっそりと置かれた「ふしめん」の存在に目を奪われた。

奪われてしまったのだ。

そこだけ違う空気が流れていた
こちらです。ちなみに1袋(160g)で200円しなかったはず

ふしめんとは、そうめんの「端っこ」なのだという。 

ピン留めのような見た目

そうめんを吊るして干す際、棒にかかっていた部分。そこだけを切り分けてまとめて、パック詰めにした状態がこれである。

どうやらそうめんの産地近くに住んでいると、それ相応に目撃経験があるものらしい。なので、いまこれを読んでいる方の中には、「めっちゃ知ってるよ!」いう方もいるかもしれない。「バチ」「かんざし」など、別の名前で呼ばれているケースもある。

当サイトのライター岡本さんは「バチ」と呼んでいた。

だけど、そうめんの産地で暮らした経験のないわたしにとっては、この時が生まれて初めてのふしめんとの対峙だった。

 

は、はじめまして。
よろしくお願いします。

なお、わたしが見た「ふしめん」は香川ではなく、おとなり徳島の半田そうめんのものである。半田そうめんは通常のそうめんよりも麺が太いことで知られている
しかもなんだかいろいろ調理法が書いてあるではないか!

 おし。やってみよう!

①みそ汁

まずはこちらから。

「味噌とよく合い風味豊かなおいしさになります」

麺類と味噌が相性ばつぐんなことを、わたしたちは数多くのメニューから既に教わっている。食べる前から手堅そう、と感じる方法ではある。

が、そうは思ってもやってみるのが大事なのだ。お腹もすいている。

っしゃ! 食おう

妙に落ち着く。昔からずっとあったんだろうなぁっていう味がする。実際、わたしが生まれる前からこういう食べ物はあったんだろうから、この見解は正しいのだろう。誰かの実家っぽい味だ。

初めて食べるふしめんの味は、「麺なのは確かなんだが、なんの麺なのだか一発で当てられない」味がした。とにかくのどごしがいい。つるつるだ。口のなかに入れたかと思えば、スッとあっというまに通り過ぎていく。体感が気持ちいい食べ物である。

結論。もうさっそくファンになりました。

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②すき焼き

つづいてはこちら。

「こってりとしたおいしさになります」とある

ところで主にひとり暮らしの人に聞きたいのだが、すき焼きって日常的に作るものなのでしょうか。今気がついたのだがわたし、すき焼きを作った経験がほぼない。

唯一作ったことがあるのはトマト入りのすき焼きだ。
いわゆるしいたけ、豆腐、牛肉を入れてつくる王道のすき焼きを作るのは初めてである。

なので浮かれていつもよりもいいお肉を買いました
おそるおそる作った。こんな感じで合っているだろうか……?
たぶん合ってるだろう、ということで、たまごを溶いてふしめんを浸してみる

つるっとしたのどごしのふしめんと、つるっとした口当たりの溶き卵。つるっとしたもの同士だもの、合わないわけがなかった。つるつる感が強靭になって迫ってくる。

なお、王道のすき焼きを自宅テーブルに置いたのは生まれてはじめてはずなのに、ふしめんは、もう20年くらい前から顔馴染みだったよねっていう感じで威風堂々とごく自然にそこに存在していらっしゃいました。順応性がものすごく高いです。

③うどん焼風

ところでわたしは「うどん焼」と聞いて、「あ〜あれのことね〜」と即なれない側の人間だ。調べたところ、香川県では「焼きうどん」をこのように呼ぶようだ。

おお、「うどん焼」同様に「そば焼」も聞きなれないぞ。ナチュラルにローカル。味わい深い!

とりあえず焼きそばっぽいものを作ってみることにした。ソースで味付けをしている。 

うまい!!

と、ここでひとつ大切なことに気づいた。

短い麺はものすごく食べやすい。「すする」という動作なしで食べられる麺はめっちゃ食べやすいのである。 

④スパゲティ風

となれば、スパゲティも食べやすいに違いない。

「ケチャップとミートソースで仕上げます」どっちかじゃなく、両刀使いなのか
なんとなくナポリタンっぽい具材を入れることに。玉ねぎは、高くなる前に買ったやつが奇跡的にご存命だったので使う
ミートソースと……
ケチャップの二本立て
うまい! ミートソースとケチャップの合わせ技、とてもいい。それぞれの味がかけあわさり、旨味が増している気がする

やっぱり短い麺は食べやすい。

スパゲティってなんであんなに長いんだろう……? という気持ちがよぎってしまうくらい短さのとりこになっている。

 

と、
ここでひとつ仮説が浮かんだので検証してみてもいいでしょうか。

もしかしたら、スパゲティはすべてふしめんに代替可能なのでは? 

まずは、めんたいこソースをふしめんに絡ませてみることに。 

さてどうか

……めんたいこはスパゲティの方が好きっぽいな。 

あらためて。イタリアの食べ物に明太子を絡めてみようと思った人すごいなという感想に落ち着いた。スパゲティにはスパゲティの役割があるのだ。 

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⑤サラダ

で、こちらなんですけど、

「サラダ」

食べる前からおいしそうじゃないですか。 

食べてみてもやっぱりおいしいです。見た目も違和感なし

急におもてなしの席でこれを出しても、「これ何?」ってことにはまずならなそうだし、居酒屋のメニューにもありそうだ。安定感。

ふしめん、もはやつい最近会った気がしない。

⑥天ぷら

さて。そんなふしめん、

かき揚げ天ぷらにしても良いのだという

「麺を揚げるとうまい」というのは、想像に難しくない。

問題は別にある。

主にひとり暮らしの人々に聞きたいのだが、かき揚げを自宅で作ったことはあるだろうか。わたしは一度も作ったことがない。

だってスーパーや蕎麦屋に行けば、即おいしいかき揚げに巡りあえるんだもの。あえて自分で作らなくてもいい。生きていける。餅は餅屋。ずっとそう思っていた。

だけど今日は検証のために作らねばならぬ。

そしてこのパッケージを見たとき、初心者にとって「コツのいらない」は天の声ですね……って思った

 

かき揚げの作り方はよくわからない。でもきっと粉と具材を混ぜればどうにかなるはずだ。見よう見まねで進めていこう。 

家にあった「かき揚げっぽい具材」と天ぷら粉とふしめんをまぜ……
フライパンに油を注いで揚げた
間違ってなさそうな気がする
ちょっと待って。むしろ大正解な気がする
え、ちょっと待って。ものすごくちゃんとかき揚げが作れた気がする……!

想像以上の仕上がりに思わず叫んだ。物理的に。

「わたしすごい!」「おいしい!」などと声を上げていたのだ。窓を開けっぱなしにしていたので、外に聞こえていた可能性が高いが、それどころではなかった。

揚げてさくさくになったふしめんは、カリカリでおいしい。コツのいらない天ぷら粉はまじでコツがいらなかった。

それにしても、手順に従って作ろうと思った時に急に登場する「生まれてはじめて」ってあるのだなぁ。急にかき揚げが作れるようになってほくほくだ。

調子にのってちくわ天ぷらも作ってみることに
お、いい感じに揚がっている
今日の幸せは後生忘れません、って気持ちになる色。茶色は正義
カリカリとふわふわの共存。夢の国よりも夢の国である

結論

つまりふしめんとはこういう存在なのである。

・いろんなものになれる
・食べやすい
・扱いやすい
・おいしい

………ってもしかしてつまりそれって最高ってことじゃないか。

近いうちにあなたを数袋、まとめ買いしたいと思います。

 


茹で時間も少ない

ところでさまざまな調理法を提示してくれていたふしめん先輩のパッケージだが、なぜか茹で時間の記載がどこにも見当らなかった。

ググってみたところ、半田そうめんの茹で時間は6分と出てきたので、タイマーを6分にセットして茹で始め……
4分でだいぶやわらかくなっていることに気づき、茹でるのをやめてみた

茹で時間、短めで大丈夫そうだ。その点も含めてなんと扱いやすい麺なんだろう。好きになる理由しかない。もうすっかり信者である。 

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