特集 2024年7月30日

新アクティビティ「フウリング」であなたの夏は快適になる

最近、風鈴の良さに目覚めてしまった。目覚めてしまったからには、もっと積極的な姿勢で風鈴の可能性を探ってみたい。家の中から飛び出して、野外でも風鈴の音色と涼感を楽しむのはどうだろう?

1980年、東京生まれ。片手袋研究家。町中で見かける片方だけの手袋を研究し続けた結果、この世の中のことがすべて分からなくなってしまった。著書に『片手袋研究入門』(実業之日本社)。

前の記事:自家製のそばつゆでこの暑い夏を乗り切ろう!

> 個人サイト 片手袋大全

こうして「フウリング」は生まれた

「暑い、暑過ぎる」。十万石まんじゅうのリズムでそればかり繰り返してる。

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太陽よ、あなたは手加減というものを知らないのか

今や晴れた日の昼間に外を歩くことは、命がけの行為になってしまった。

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うなだれる鳩達に、日陰の概念を教えてあげたくなった

思い返してみると、昔はもっと積極的に夏を楽しんでいた。

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小学生の頃、高知県の海を満喫する筆者

今より暑さが厳しくなかったせいもあるが、年齢と共に「季節を楽しもう!」という前向きな姿勢を失ってしまったんだとも思う。これじゃいかん。

少しだけ過ごしやすくなった夕方に、重い腰を上げて近所の不忍池でやっているお祭りに出かけてみた。すると良い匂いが漂う屋台エリアの向こう側に、何とも涼し気な光景が見えた。

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無数の風鈴が奏でる、風のハーモニー

風鈴か。なんて爽やかで心地良い音色だろう。こんなに良いものだとは思わなかった。やはり昔から親しまれているものには、日常を楽しむためのヒントが詰まっている。確か我が家の納戸にもあったと思うので、この夏は窓辺に吊るしてみよう。

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エアコンの効果を最大限に上げるため、ここ数年は夏でも厚手のカーテンをかけている

…と、思ったのだが。風鈴を吊るすスペースなどなかった。かといってベランダだと、東京の住宅環境では近隣の迷惑になりかねない。

ここでまた気分が沈みかけるが、この後ろ向きな思考が駄目なのだ。自宅で風鈴を楽しめないなら、気兼ねなく風鈴を楽しめる場所にこちらから出向けば良い。

この前向きな攻めの姿勢を選択したその瞬間、夏の野外でも涼しく楽しめる新しいアクティビティ、「フウリング」が誕生したのである。

・フウリング
夏場、野外で風鈴の音色を楽しむことで涼感を味わう遊び
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①海辺で「フウリング」

というわけで、レンタカーで内房までやってきた。夏といえばやっぱり、海。寄せては返す波、色とりどりのパラソル。写真になってしまうが、皆様にも少し御裾分け。

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えっと…。ちょうど干潮だったみたい。考えてた海の景色とちょっと違う

まあ良い。ここからがフウリング本番。用意してきたフウリングセットを設置しよう。

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園芸用の棒と釣り竿用の支柱。用意するのはたったこれだけ。アウトドアチェアの袋に収納できる

あとはスズキナオさんやパリッコさんが提唱する「チェアリング」と同じ。椅子に座って飲んだり食べたりボンヤリしたりしながら、風鈴の音色を楽しむのだ。

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良いね~。事前に想像してた通りの光景を作り出せた

海沿いということで用意してきた新鮮な魚介類に舌鼓を打つ。

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風鈴の音を聞きながら、新鮮なシーフードに舌鼓を打つ。もはや貴族の遊び
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「…」
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「暑っちぃ‼」

気温約35℃。もろに日差しを浴びていたら、たった10分で滝のように汗が流れてきた。駄目だ。死んでしまう。急いで車に避難した。

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②緑の中で『フウリング』

やっぱり海より緑の方が涼しいのかもしれない。車を走らせていると良さげな原っぱがあったので、立ち寄ることにした。

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今度こそ大丈夫!

夏特有の草の匂い。虫達の鳴き声と風鈴の音色が共鳴し合う。冷やしたシャンパンと洒落込みたいところだが、運転があるので新鮮なフレッシュジュースで乾杯だ。

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大地の恵みの味がする
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「…」
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「暑っちぃ‼」

やっぱり駄目だ。なんならさっきの海辺より暑い。またもや車に緊急避難した。

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何をやっているのか?

これ、おかしくないか?「うんざりするくらい暑い夏を、風鈴で快適に!」っていう趣旨で始めたんだぞ。なんでさっきから、遠出までしてずっと辛い思いしてんだ?

あとさ、俺、事前に林編集長に企画意図を説明した時は、「流木などを利用して、オシャレな風鈴台も開発します!」って宣言してたよな?

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企画会議後に林編集長が送ってきてくれたまとめにも、台がメインの企画であることが書かれている

でも撮影日までにそんなの用意できなくて、持ってきたのがこれだよ?

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家にあるもので済ませたのに「コンパクトで便利!」みたいにしてるのも我ながら腹立つ

オシャレな風鈴台を用意できなかったことを林編集長に指摘されそうな気がして、なんかトンボ柄の布だけ巻いてるのも姑息だよな。

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巻き方も雑だしよ

大体、さっきから車内の空気が重いよ。妻は道の駅に寄りたそうなのにレンタカーの返却時間が迫ってるから無視しちゃったし、炎天下で訳分かんない撮影待たされるから子供は無口になってるし。

俺、どこで間違っちゃったのかな…。

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取り乱しました

いや、ちょっと落ち着きます。企画の出発点は悪くなかったはずだから、ここで匙を投げるのは勿体ない。もう一度ここまでの失敗の原因を考えてみると、私が根本的に風鈴の役目を勘違いしていたことが大きいと思う。つまりこういうことだ。

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そう。風鈴は冷気などを発する道具ではなく、あくまで「涼しげ」を演出する効果しか持っていない。元から涼しい場所をさらに涼しく感じさせるものなのだから、炎天下では力を発揮できないのだ。

それを踏まえて、もう一か所くらい頑張ってみよう。
 

⏩ 今度こそ本当に心地良い!

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