デジタルリマスター 2024年2月12日

利きオブラートに挑戦! (デジタルリマスター)

オブラート。
それは主に子供や老人が粉薬を飲みやすくするために包む、デンプンでできた半透明の食用シート。

両親が健康に生んでくれたお陰で今まで縁のなかったこのオブラート。風味や柔らかさの違いがあるなんて知りませんでしたよ!

今回はオブラートを「おやつ」として食している友人に、メーカーによる味の違いを聞いてきました。

できるのかなあ、利きオブラート。

2010年8月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

東京葛飾生まれ。江戸っ子ぽいとよく言われますが、新潟と茨城のハーフです。
好きなものは犬と酸っぱいもの全般。そこらへんの人にすぐに話しかけてしまう癖がある。上野・浅草が庭。(動画インタビュー)

前の記事:クリップから始める、商店街わらしべ長者(デジタルリマスター)

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数多くあるオブラートメーカー

今回利きオブラートのために1週間ほどで用意できたのは11種類。こんなに種類があったとは!全国で探したらもっとあるかと思われます。

1ケースに入っている枚数は50枚、100枚、200枚のいずれか。値段は枚数とメーカーにより、100円から450円とマチマチ。
形は袋型、丸型がほとんど。
袋型は粉を包みやすいので人気があるみたいです。

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1店舗に1メーカーしか置いてないので、手当たり次第お店を回りました
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小さい頃にオブラートにハマってしまったナベさん

今回利きオブラートに協力してくれるのは、元同僚であり友人の渡辺さんことナベさん。

小さい頃、家にあったオブラートの優しい香りとほんのりとした甘みが好きになり、以来「おやつ」代わりにしているのだそう。
ちなみに粉薬を飲む時にはオブラートは使わないとか。
(・・・そこ使えよ!)

この日も待ち合わせ直後、行きつけらしきドラッグストアに寄り「四角型が面積的にお得」と言いながらオブラートを購入。

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角型は最近出てきたとか。食べるのにお得感あり。

利きオブラート会場までの道すがら、オブラートが安く手に入る店を教えてくれたり、オブラートの会社に入りたかったという夢を語ってくれた。

この記事を読んでいるオブラート会社関係者の方がいたら是非彼女を推薦したい。たぶんツマミ食いするけど。

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ナベさんコレクションを見せてもらう

そんなオブラート好きが高じて、定番からレアモノまでオブラートのパッケージ(に入っている紙)を密かにコレクションしていたナベさん。
利きオブラートの前にナベさんコレクションをお披露目したいと思います!

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1. 基本デザインパターン

 文字の配列が似ているものが5種類あり。それぞれフォントにこだわりを感じます。

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「ト」の文字に特徴あり。太陽の配色がニクイ
製造:国光オブラート(静岡)
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名前だけでなくデザインも国光に似てる
製造:旭光(愛知)
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美味しそうなネーミング
製造:新潟オブラート(新潟)
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純真なお嬢様を連想させるネーミング
製造:白百合オブラート
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「愛である」という駄洒落を連想させるネーミング
製造:旭光(愛知)
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2. シンプルパターン

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メロンぽい
製造:伊井化学工業(北海道)
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カルピスぽい
製造:瀧川オブラート(愛知)
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変わった形の名刺っぽい
製造:伊井化学工業(北海道)
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BUMP OF CHICKENの略ではないぽい
製造:瀧川オブラート(愛知)

 

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3. 陽気で可愛いキャラパターン

思わずジャケ買いしちゃうような可愛いキャラたち。私が買った中にはキャラものは無かったので、これは貴重!?

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るんるるーん♪あの見慣れたキリン
製造:不明

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よく見ると左右の模様が違うライオンズ
製造:瀧川オブラート(愛知)

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どうやら薬が効いてきたようすの子供
製造:瀧川オブラート(愛知)

 

と色々なパターンがあってパッケージも楽しめるオブラート。下にいちいち製造元を書きましたがこれには訳があるのです。

ナベさん「製造元が一緒なら同じ味だよ」

そう。色々な会社から販売されているオブラート、実はどうやら製造工場は限られているようで、パッケージが違えど同じ工場で作っているものは味も一緒とのこと。
利きオブラートをやる際には気をつけて!

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「これはオブラートではありません」(中に入っていた注意の紙)

こちらにも気をつけて!

利きの前に味を確かめます

そういえばナベさんはドラッグストアを見つけると「ここのオブラート美味しいから買ってきていい?」といつも製造元を気にして購入していた。どうやら好きな味とそうでもない味というものがあるらしい。

本当にそんなに違いがあるのかな・・・という訳でひと通り味わって比較表に違いを書き出す事にした。

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それでは食べてみます!
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美味しそうには見えないよね
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うーん、、まあ味はちょっとするけど・・
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もう食べなくてもだいたい分かってるナベさん
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「贅沢な食べ方」と言われた両手食い

ナベさんレベルになると、もう味をみなくても分かっているものがあるらしく、早速紙に書き出す。一方私はいくら食べても味の違いがピンとこない。

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キメの細やかさが違う!ほんのちょっと!

味の違いが分からないので視覚で違いを見つける。
でも後で目隠しするの忘れてた。

ナベさんの手が止まった

このように各々食べ比べていたのだが、ある時ナベさんの手が止まった。「これ・・・もしかして古い?」

実はそのオブラート、買った時にちょっとホコリかぶっていてしかも50円ほど負けてくれた代物でした。今思えば古いから負けてくれたのかな・・・?

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新鮮なオブラートは柔らかい
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古いと思われるオブラートは固くなっちゃってる

そうか古いのかこれ、と思いながら食べてみる。口に入れた瞬間に「古い感じ」がフワっとした。「やっぱオブラートも新鮮なのがいいですね」と言ってみたが味や食感はそんなに変わらない。

今回の味くらべオブラート

「古い感じ」とか言ってるけど他は正直よく分からなくて焦る私。評価も何も、唯一味のしっかりとついている「イチゴ味オブラート」が美味しいという事以外何も浮かばない。
なので評価はナベさんに託しつつ、今回私が用意したオブラートを見ていただきましょう。

1. 基本デザインパターン

ナベさんコレクションにもあった基本デザインに近いパターン。

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200枚入りはアズキ色だったけど100枚入りは青
製造:旭光オブラート(愛知)

評価:★★★
感想:風味はあるが、少し物足りない

 

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出ました東京ブランド
製造:東京オブラート製造所

評価:★★★
感想:風味はあるが何かが違う

 

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わざわざメーカーに送ってもらいました
製造:不明

評価:★★★★★
感想:実家で食べていた思い出のオブラート。
風味が強くきめ細かい。

 

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ナベコレのと全然違うデザインの白玉
製造:新潟オブラート(新潟)

評価:★★★★★
感想:口当たりが柔らかい。甘め。

2. 袋の方にデザインが入ってるパターン

大概が透明の袋の中にデザインのあるパッケージが入っているのだが、こちらは袋にデザインがあり中に説明書き。

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ナベさん曰く「都内で一番見かける」という白十字オブラート。
(白十字→瀧川→国光→伊井化学の順でよく見るらしい。)

 

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製造:不明
評価:★★★
感想:スルッと溶ける感じ。風味が無い。

 

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ダイソーに売っていたもの。
ちなみに国光オブラートには薬を入れやすくする補助具というのが入っています。

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製造:国光オブラート(静岡)
評価:★★★★★
感想:山元オブラートより風味は弱いが美味しい

3. シンプルパターン

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基本水につけて飲むんですね。
この絵で初めて知った・・・

製造:不明
評価:★★★
感想:白十字よりは固いが溶けやすい。無味。

 

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写真では分からないけど紙パッケージ

製造:伊井科学工業(北海道)
評価:★★★
感想:無味。固め。

 

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マツキヨに置いてあるのはこれ

製造:瀧川オブラート(愛知)
評価:★★★★
感想:甘みが強い。新潟オブラートより柔らかめ。

4. 利きオブラートには不向きパターン

形の違うものや味のしっかりついているものは利きオブラートには不向き。そりゃそうだ。

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人気のあるフクロタイプ。枚数に対してちょっとお高め。

製造:瀧川オブラート(愛知)

 

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イチゴ味のオブラート。一枚一枚ピンク色がついてます。

製造:不明
評価:できない
感想:甘酸っぱいです。ケミカルな甘みが残ります。
二度と食べません。
(小堺感想:他に比べたら俄然美味しい。星5つ。)

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実は元々イチゴフレーバーが嫌いなナベさん、固まる。 ショックが強かったか感想が丁寧語に。

要するにオブラートの違いというのは「甘み」「溶けやすさ」「風味」の違いによるものらしい。そういう風に分類してくれて改めて口に含むと私にも何となく分かってきたような気がする。

それでは利きオブラートやってみます

最初はイチゴ味と袋型以外の9種類で利きオブラートをしようと思ったけれど、流石にそれは無理という事になり(分類分けまでは可能だがどの販売元かまで当てるのは困難とのこと)、ナベさんチョイスで4種類に絞ってもらった。

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「甘み」「溶けやすさ(固さ)」「風味」+「古い」。果たしてこの違いが分かるのか?!

ルール

・プレーヤーは目隠しをする
・相手は4メーカーの中から一枚ずつ渡す
・判断がつくまで何枚食べてもいい
・10回勝負

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余裕の表情?のナベさん
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自信ないけど頑張ります!
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口に運び
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舌に神経を集中させて
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「ええとこれはね・・・」
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全然分からなくて笑う
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オブラートを渡される図

私「もう一枚いいですかね」

口に入れた時の風味の第一印象(なんだそれ)が大事なのだが固さなどに気を取られてしまい忘れてしまう事がある。
なので同じオブラートをもう一枚、と手を伸ばすと

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ナベさん「談志みたいになってるよ」

目隠しをし髪が乱れた私の姿が立川談志さんのようだと言われる。この一言で動揺してさらに集中力が無くなったのか結果ハズしまくる。

最終的にはカン

「古いのだけはさすがに分かる気がする」

そう思っていたのに、目隠ししたら何も分からない。
さっき古いのを食べた時は確かに「古い感じ」がしたと思ったのだが・・・気のせいだったみたい!

しかしながら何となく「固さ(溶けやすさ)」の違いが分かり確率は50%に。初心者にしてはまあまあ?ただし甘みだの風味だのといった繊細な違いは見抜けなかった。

固さで分類した後の最後の判断はカンだ。

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逆にナベさんは1回間違えただけで他は全て当てていた。流石だ。もしオブラート会社に転職活動する時は特技に書くべきだと思う。

普段味の強い(特に酸っぱい)ものばかり食べている私の舌はオブラートには不向きのようだ。家に帰ってからも食べ比べたがもっと分からなくなっていた。

ナベさんの舌の凄さにリスペクトしつつ、利きオブラートこれにて終了!

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「私には無理ですわ」 (キレ気味の談志のモノマネではない。)

イチゴ味しか分からない

自分の舌の不甲斐なさを知る事のできた利きオブラート。結果「繊細な舌の持ち主かどうか対決」に向いていると思いました。普段濃い味を食べてばかりの人や煙草を吸う人なんかの味覚の訓練にいいかも。

という味気ない感想をしたら「そんな目的で食べるな」とナベさんに怒られそうだ。でもそもそも「おやつとして食べるな」とこれを読むほとんどの人が思っていると思う。

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おやつとしてならやっぱりイチゴ味がいいな


<最後にナベさんから食べ方アドバイス>
「最初に舌などの水分が多いところで湿らせてしまえば、唇や上あごにくっつきません。2,3枚一緒に食べると風味が増して美味しいですよ。」

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