特集 2019年12月3日

飛行機に乗らなくても空港は楽しい 船乗り場はどうか

船に乗らずに船乗り場は楽しめるか。

空港は、飛行機に乗らなくても楽しめる場所だ。テーマパークのように何でもある。

では船乗り場はどうだろうか。乗り場そのものを楽しめるだろうか。東京の大きなフェリーターミナルである、竹芝客船ターミナルと晴海客船ターミナルを楽しんできました。

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

前の記事:土曜のお便り 〜意味のない図


空港は楽しいところ

飛行機に乗る用事がなくても空港は楽しいところだ。飲食店が充実していてターミナルを一望できるデッキがある。羽田空港にはプラネタリウムまであるらしい。

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当サイトにも飛行機に乗らずに空港を満喫する記事がある(成田空港で日本のお土産「商品名:日本」を買おう
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47都道府県の土産は全て羽田空港で買える説
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成田空港第1~3ターミナルと寿司と

たくさんあった。飛行機にただ乗るための場所ではないぞ、という気持ちが伝わってくる。みんな空港が大好きである。

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記事に影響されて、ビールを飲みに羽田空港に行っことがある。最高だった。

船乗り場はどうか

空港はいいところだ。間違いない。

では、船乗り場はどうだろうか。空への玄関がいい場所なら、海への玄関はどうなのだろうか。船移動に縁遠いので本当にぼんやりしたイメージしかない。

東京の大きなフェリーターミナルである、竹芝客船ターミナルと晴海客船ターミナルに行って船に乗らずに楽しんできました。

アクセスが良すぎる竹芝客船ターミナル

伊豆諸島、小笠原諸島への玄関口である竹芝客センターターミナル。山手線の浜松町駅から少し歩いていくとある。アクセスが良くてなんだか混乱する。

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だって都会を歩いていたと思ったら突然これである。
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海だー…

空港に行くと、空とターミナルの様子を眺めるけど、船の場合は見える限りの海を眺めることになる。気の利いた感想を言おうとすることができなくなり、ひたすら「海だなー…」と思う。

海への感想なんてない。だってレビューサイトに「海」があっても星なんかつけられないだろう。「開放感はあったけど少し匂いがきつかったです。次への期待を込めて星3つ」とか言える人がいたら、その人は相当ハートが強い。

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デッキはこんな感じ。みんな「あー、海だなー…」と思っているはず。
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そもそもデッキが広いので歩いていて気持ちがいい。
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イスの多さ

デッキを堪能したら待合所の中に入ってみる。

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こんな感じ。

船乗り場は空港ほどテーマパーク的ではない。もっと人の生活に寄り添った場所なのだ。併設されているビルにレストランはたくさん入っているけど、待合所はバス停のように朴訥としている。

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そして、すごい数のイスがある。

来たタイミングが船の発着のない時間だったのか、イスに座り放題であった。僕は空いたイスが多い場所が好きだ。デパートでも電車でもイスがたくさん空いていると、いつでも座れるぞ、という安心感から気持ちが落ち着く。

「あー、イスが空いてるなー…」と思うのだ。

海を見る時と似たような気持ちで、たくさんの空いたイスを見た。

べっこう寿司

竹芝のターミナルで楽しみにしていたものがある。べっこう寿司である。

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開店前からお店の前に座って待った。

伊豆諸島の家庭料理で「島唐辛子と醤油で魚を漬け込み、刺身がつややかなべっこう色に染まることからその名前がつきました」とのことである。(お店の箸置きに書いてあった説明より)

立て続けに5回読んだ。こんな隅から隅までおいしそうな説明があるか。

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開店してすぐ入り、注文し、実物がきた。この輝き。

野菜のポトフとトマトの天ぷらがつく。はしゃいでビールも頼んでしまった。

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そしてこれだ。この輝き。

こんなにテリテリながらあっさりした味で、島唐辛子で食欲が刺激されてスイスイ食べられちゃうお寿司だった。魚のおいしさが生ハムみたいにギュッと圧縮されていた。

島唐辛子と醤油なんかに漬け込むからこんなすごいことになったのだな、と思った。

べっこう寿司は本当にいいものでした。

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べっこう寿司とビールの余韻でおみやげを見た。

待合所にはおみやげ屋さんが二つあり、片方には伊豆諸島、小笠原諸島みやげが売っていて、もう片方には東京みやげが売っている。

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小笠原のレモンサイダーを買った。
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しっかり酸っぱくておいしかった。

サイダーを飲む目の前で、老夫婦が海の方を指差しながら穏やかに何かをしゃべっていた。散歩でここに来たのだろう。

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伊豆諸島みやげのあしたば茶も買った。

「すこやかフレーバー」が気になって買った。後日飲んでみたが、香ばしくて優しい香りのするお茶だった。匂いを嗅いで「すこやか!」と思ったことがないので「これがすこやかなフレーバーか!」と学習できた。

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色はコーヒーみたいだった。
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夢の晴海客船ターミナルへ

竹芝を堪能したので、続けて晴海客船ターミナルへ向かう。晴海のターミナルは国内外の豪華客船が行き来する乗り場らしい。

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勝どき駅のバス停から向かったのだが、バスが1時間に1、2本で「おや」と思う。

着くと、赤い棒が何本も立っていて、その奥に大きな階段と建物があった。

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赤い棒が何本も立っていて、
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その奥に大きな階段と建物があった。

文字にすると夢の中の映像みたいだが、実際にそうだったのだ。こちらも混雑のタイミングとうまくずれたのか人が全然いない。パキッとした情報しかない幾何学的な景色が広がっていた。

「バスを降りると赤い棒が何本も立っていて、その奥に大きな階段と建物があります。階段を登ると海が見え、そこにあなたを待っている人がいます。それはどんな人ですか?」そういう心理テストみたいだ。待っている人は、あなたが理想とする人物です。

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なんか小さいビッグサイトみたいなものがある。待っているのは小さいビッグサイトだった。
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中も人気(ひとけ)がない。
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「みんなどこに行っちゃったんだ」と不安になるタイプの人気のなさ。

イスがたくさんある。たくさんの人が座ることを想定したスペースに誰もいない。

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なんだ、ここは。広い。
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どういうことなんだ。
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カメラを床に置いて顔はめパネルをやった。この世界には僕1人しかいないので。

あとで調べたら、イベントがある時や船が発着する際は混雑するらしい。そのタイミングを外して行けば、どくさいスイッチを押しまくったのび太みたいな気持ちになることができる。貴重な経験ができるお出かけスポットである。

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海の向こうに見えるビルの中にも誰もいないんだとか思うとものすごく切ない。海を見ながら、消えてしまった皆を思って泣こう。

小さい東京ビッグサイト

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外にもなんだか分からないものがある。

小さいビッグサイトは近づくとこんなものだった。説明がどこかに書いてあるのかなと思って探すが何もない。ただ四角錐が静かに下を向いている。「なんだこれは」と思うのだが誰もいない。

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真下に行って写真を撮る。小さいビッグサイトのパワーが僕の体に宿った。
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ここからパワーが出ていました。
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本当は最高の撮影スポットです

この日は設備のメンテナンスで行けなかったのだが、この建物から埠頭の方まで行くと「風媒銀乱」というオブジェがある有名な撮影スポットがある。夕暮れ時が狙い目らしい。

人のいなさに動揺して注目し損ねたが、東京オリンピックの選手村の建設の様子も見れたりする。「村」を作っているとは思えない大規模な工事が見られる。

空港では、こんなに広々とした場所で写真を楽しめるところはなかなかないと思う。

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なんと説明していいか分からない形の展望台もある。
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トイレの造形も独特だった。
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展望台からレインボーブリッジが見えた。

「風媒銀乱」見たかった…。人のいなさもすごいけど真正面から写真を撮りに楽しみに来るのがいい。冬の平日は夕方に施設が閉まってしまうので、夜景を撮りたい方は注意してください(施設外なら23時までいられるみたいです)。

空港と比べてどうだったか

まとめると、竹芝客船ターミナルはべっこう寿司がおいしくてデッキが広い船乗り場で、晴海客船ターミナルは(タイミングがよければ)人のいない最高の写真撮影スポットだった。散歩なら竹芝、写真なら晴海がいいと思う。

竹芝客船ターミナル

  • べっこう寿司
  • デッキが広くて快適
  • アクセスがいい(山手線の駅から行ける)
  • → 散歩に最適

晴海客船ターミナル

  • (イベントや船の発着がなければ)人がいない
  • よく分からないオブジェがたくさんある
  • レインボーブリッジやオリンピックの選手村が見える
  • → 写真撮影に最適

家に帰り、空港が楽しいところだと強く認識している妻に船乗り場の良さについて説明してみた。

「珍しさで言ったら晴海はいいけど、無難に楽しみたいと思ったらやっぱり空港がいいよね。でもべっこう寿司おいしそうだね…。」

このあとは自分のスマホでべっこう寿司について黙々と調べていた。写真が趣味でない人の反応はこんな感じである。

確かに空港にはなんでもある。無難に楽しめるだろう。しかしあの心理テストみたいな風景は、晴海客船ターミナルにしかないのだ。

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なんだったんだ、本当に。

竹芝にもよく分からないものがあった

そう言えば竹芝のデッキには、舟へんの漢字のタイルが散らばっているゾーンがあった。

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何がしたいのか分かるようなよく分からないような感じだなあと思った。
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