談志の抜け殻
30分過ぎたので、ようやく三文字さんに今回の企画趣旨を説明する。正直ホッとした。
「唐沢さんがどうしても談志のコスプレがしてみたかったそうで、この食事会と兼ねてしまいました。彼女、大学時代落研にいたんでね」
すると唐沢さんが意外なことを言い出した。
「いやいや!落研は関係ありませんよ!」
「関係ないのかよっ!」。私だけでなく三文字さんも思わず声をあげた。じゃあ、なんで…。だが、続いて三文字さんまで変なことを言い出した。
「まあ初対面なんで普段の唐沢さんを知らないし、別に違和感ないですよ!」
いや、違和感はあるでしょうよ!メンバーの1人が談志コスプレをしてきても何の問題も起きない。こんなことってあんのかよ…。
「全然集中できないんで脱ぎますね」と唐沢さん。…まあ、そうでしょうね
皆さんは見たことがありますか?談志の抜け殻を
人間の業の肯定
今回の談志コスプレについて唐沢さんに色々聞いてみると、60代以降くらいの談志の普段着がテーマで、シャツやベストはメルカリで探すなど苦労があったようだ。その苦労を語っているうちに盛り上がってきたのか、なぜか眼鏡以外は再び唐沢談志に戻っていた。
「三文字さん、こういうお顔なんですね~」。それすら見えてなかった…
「唐沢さん、その格好で電車に乗ってきたんですか?」と尋ねると、やや強めに「そんな恥ずかしいことしません!店の近くで着替えてきましたよ」と否定された。恥ずかしい、って気持ちはあるから余計不思議なんですよ…。
三文字さんがトイレに立った時、「ガラスに談志が映ってて驚きますね」と語る唐沢談志
しかしなんだろう?結果的にはこの日の食事会、非常に良いグルーヴとケミストリーが生まれ、2人は初対面とは思えないほど打ち解けてしまったのだ。友達に友達を紹介するのって時には上手くいかないこともあるが、「談志コスプレの人がいると良い」というライフハックを得てしまった。
「また絶対飯食いに行きましょう!」と約束した
ここまで敢えて書かなかったが、私は立川談志の熱狂的ファンで、追っかけをやっていた人間である。
所有している談志関連書籍のほんの一部
談志が若い頃から言っていた「落語とは人間の業の肯定である」という有名な言葉って、「やりたいことはどうせやらざるを得なくなるんだから、だったらやっちゃえ!」って意味にも取れるな、と唐沢談志を見ていて思った。
そういえば食事の最中に三文字さんがこんなことを言っていた。
「この企画、意味不明だけどそれでこそDPZでしょ」
実は三文字さん、小学生の頃からのDPZ読者なのであった。DPZも人間の業の肯定なのかもしれない。
私もやりたいことやりました
そもそも唐沢さんがなぜ談志コスプレをしたかったのか、一番肝心な部分が最後まで分からなかったので後日メールで聞いてみた。
| 小さい頃から立川談志を見ていて、「なんか特徴あるファッションやな〜」と気になっていたのですが、ほんと自分でも意味わからないんですが、いつしか「真似できそうやな、着てみたい」になっていました。すぐ真似できそうな格好、やってみたくなるんですよね。月光仮面とか。 |
とのことである。
ちなみに、私が被害者であるかのような書き方をしているが、これは「シャッフル企画」。当然、唐沢さんも私の企画に巻き込まれたのだが、それはまた別のお話。

編集部からのみどころを読む
編集部からのみどころ
………別に私から見どころを説明することもないと思うのですが、全部見どころです。
石井さんはひどい企画に付き合わされると生き生きするのでこの手の組み合わせを増やそうと思います。ライターのみなさんに連絡ですが、自分では書きにくい謎企画があったら石井さんを紹介するので連絡してください。(林)
おしらせ・カルチャーセンターでの講座があります。
「片手袋」の魅力を知ろう!
日時:11/3(月 祝)13:30~15:00
場所:よみうりカルチャー恵比寿
講師出演:石井公二
よみうりカルチャー恵比寿にて、片手袋についての講座を行います。よみうりカルチャー会員でなくても受講できる一般講座です。片手袋研究の初歩からたっぷり楽しく語ります。DPZ読者の方も是非聞きに来てください!
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