特集 2019年9月16日

フレンチトースト自由形

「フレンチトースト」といえば甘いもの。スイーツの一種。というイメージ、一般的かと思います。が、本当にそれだけでいいのか? 基本材料が牛乳、卵、パンであるフレンチトースト、もっと自由な発想で楽しんでいいんじゃないだろうか?

令和は「フレンチトースト自由形」の時代なのではないだろうか?

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

前の記事:あの清瀬の名店「みゆき食堂」の2階がこうなっていたとは


しょっぱいフレンチトーストの可能性

2才になる娘がおり、御多分に洩れず好き嫌いが多いです。というか、食べるものと食べないものの線引きが明確で、知っているものは食べる、知らないものは食べない、というような感じ。なので、知っているもの、食べられるものの範囲をじわじわとでも広げていきたい毎日。

そんな中、子供向けのレシピ本を眺めていたところ、シンプルな「フレンチトースト」の作りかたが載っていました。娘はパンも卵は好きなので、あ、これは、と思い、生まれて初めて作ってみると、嬉しいことによく食べてくれる。

それからたまに作るようになったんですが、あれって簡単にいうと、卵と牛乳を混ぜて砂糖で味つけした液をパンに染み込ませ、バターで焼くだけなんですよね。こだわり派の方には面目ないですが、あくまで簡単にいうと、です。

で、作ったときには味見をしてみたら、これがすごく美味しい。食パンを普通に焼いて食べるのと比べ、プルプルトロトロ度が段違いだし、表面のカリッと香ばしい感じもいい。こんなに簡単な調理工程なのにすごいな~、なんて思いながら食べているときに気づいたんです。

「フレンチトーストの可能性、無限じゃね?」と。

だってフレンチトースト、材料から「甘み」を抜けば、パン、卵、牛乳、バターということになる。これってもはや、朝ごはんじゃないですか。ということは、しょっぱい味付けにしてみてもきっと美味しいはず。

という流れから、SNSにこんな投稿をしたのが数ヶ月前のことでした。

これがもう、抜群に美味しかったんですね。

日本人の大好きな甘じょっぱいすき焼き味が、プルトロのパンからじゅわ~っと染み出してきて、もはや朝ごはんに食べてる場合じゃない。これは晩酌! 酒!

しかも投稿に対し、「すき焼きの新しいシメになるのでは?」とか「しょっぱいフレンチトーストなら、他にこういうのもいいですよ」とか、目からウロコのコメントも多数いただき、そうか、フレンチトーストって、こんなにも自由な料理だったんだ、と気づかされたわけなんです。

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後日あらためて、もう少し気合を入れて作ってみたもの

ここまでやると、もはやご飯が欲しくなってしまうのでした。

そういえば、僕が当サイトに書いたひとつ前の記事に偶然ゲスト出演してもらっていた野島慎一郎さんも、以前こんな投稿で話題になっていた。


バズりかたがえぐい!

というわけで今回は、「フレンチトースト自由形」の可能性を探ってみました。

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朝ごはん風

まずは、あまりにも美味しくて何度か作っている、個人的一押しのフレンチトーストを、基本的な作りかたとともにご紹介。

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卵と同僚くらいの牛乳を器に入れて混ぜる

今回は「朝ごはん風」なので、ここに醤油少々を加えてあります。

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適当にカットした食パン1/2枚によく染み込ませる

カットはしなくてもいいんですが、染み込ませやすいし食べやすいので、僕はそうしています。

ここでよ~く時間をおいたほうがいいという話もあるようですが、僕は面倒なので、5分くらいで焼きはじめてしまてます。それでもじゅうぶん美味しい。

で、これをフライパンでこんがりと焼くだけ。

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今回は普通の油でソーセージを焼く
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そこにパンを投入
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両面焼けたら完成!

これがも~! フレンチトーストならではの香ばしくいプルトロパンにソーセージの旨味が染み込み、そしてこの組み合わせがいいのか、いつも食べているごく普通のソーセージが妙にジューシーで、めちゃくちゃうまい!

ソーセージとスクランブルエッグをパンに乗せて食べるのが好きって方、一度試してみてくださいよ本当。

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魚卵プラス

実は先ほどのSNSへの投稿に、デイリーポータルZの先輩ライターであるべつやくれいさんからも、こんなコメントをいただいていました。

「しょっぱいフレンチトースト、たらことか明太子はさむとうまいのでおすすめです」

なるほどですね。「明太フランス」とかありますもんね。しかしながら、しょっぱいフレンチトーストの話をしたら、さっと知見のストックが出てくるあたり、さすがとしかいいようがありません。

しかもこの記事を書くにあたり、図々しくも「あのレシピ、詳しく教えてもらえませんか?」とお願いしたところ、

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すぐにイラスト入りで教えてくれるという

神様か!

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そんな神様のレシピは、それはもう
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夢のような美味しさでした……

べつやくさん、ありがとうございました。

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タピオカミルクティー風

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タピオカミルクティー風

やらないわけにはいかないでしょう。令和元年ですからねぇ。

作りかたは、牛乳の代わりにコンビニで買ってきたタピオカミルクティーを使うだけ。ほんのりと甘くティーフレーバー香るトーストは上品でとてもいいです。が、フライパンで炒めたタピオカは、もちもちというよりプリプリ。まるでコンニャク。普通に、ミルクティーだけで作ったほうがいいかもしれない。

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塩ラーメン風

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塩ラーメン風

味つけに「サッポロ一番塩ラーメン」の粉末スープを1/4ほど加え、仕上げに付属のゴマを1/2ほどぱらり。

食べてみると、慣れ親しんだあの味がして、実におもしろい。美味しいけど、ちょっと塩気に特化しすぎかな。フレンチトーストにはもうちょっとこう、甘じょっぱいテイストが合うような気がしますね。

ちなみに残った具材で、

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普通にラーメンも作れました

味が薄くなるのにびびって極端にお湯の量が少ないですが、ここまでしなくても良かった。

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グリーンカレー風

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このような出来合いのグリーンカレー

を、牛乳の代わりに使うだけ。

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グリーンカレー風

これは間違いないだろうと踏んでいたんですが、なんだろう? ほんの少しだけ、パンの雑味が引き出されてしまったような感じ。いやいや、パンに「雑味」なんてある? なんだろうこれは。とにかく「若干ノイズが乗っている味」というような感想に。

とはいえ、ぜんぜん美味しく食べられましたけどね。

ナポリタン風

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ナポリタン風

これ最高。

いくつかのフレンチトーストを食べ比べて忘れかけていた、「フレンチトーストってパンだったんだよな」という事実が思い出されたのは、ピザトーストを連想したからか。とはいえ、もちろんピザトーストとは違うし、スパゲティとも違う。「あれ? こんな洋食、昔からあったっけ? なかったっけ?」というような、違和感が楽しい美味しさ。

「イェー!」って、言うじゃないですか? テンション上がったとき。突然ですけど。

僕、昔からたまに、ア、イ、ウ、エ、オみたいに、「イェ」単体の文字が存在したっけ? しなかったっけ? 「ヱ」とか「ゑ」がそれだっけ? 違うっけ? と混乱してしまうことがあるんですが(酔っぱらうと)、そんな味。そんな味です。

もんじゃ焼き風

この記事を書くにあたり、当サイトのライターでもあるスズキナオさんと雑談していて、「今こんなことやってるんですよ~なんかおもしろげな組み合わせないですかね~」と聞いてみたところ「私はとにかく何にでもベビースターラーメンをかけたいタイプだ。で、あるからして、『もんじゃ焼き風』というのはどうか?」というような案をいただきました。

美味しそう!

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もんじゃ焼き風

おぉ、なんだろうこれは。

美味しいのは間違いない。そしてこれまた、もんじゃ焼きでもお好み焼きでもたこ焼きでもいか焼きでもない、「こういう粉もんって、もとからあったっけ?」って違和感の味。そもそも、フライパンでパンを焼くとジュワーっとソースの香りが漂ってくる時点で頭が混乱する。ただ、ナポリタンと比べ、味を楽しむより違和感のほうが若干まさってしまうのは、個人的にパスタよりも親しんできた、粉もん文化の強力なすりこみゆえでしょうか。

刺身風

同様に、「コンビニかけ合わせグルメ」という本も出していてこういうの好きそうな、お友達のミュージシャン、ディスク百合おんさんにも聞いてみました。

すると「牛乳ではなく豆乳で作り、冷やしてわさび醤油で食べるのはどうか?」とのこと。変態?

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刺身風
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いまだかつてこんな仕打ちを受けたフレンチトーストがいただろうか

これがびっくりなことに、美味しかったんですよ……。

一度プルトロにされてから冷蔵庫で冷やされ、ミシッとした食感に変わったフレンチトーストは、強いていえばなんらかの「ねりもの」のよう。目隠しされてこれを食べさせられたら、材料をパンだと答えられる人はいないんじゃないかなぁ? 僕なら「う~ん……『魚河岸揚げ』の新しい味?」とか言っちゃいそう。

そしてなるほど、牛乳ではなく豆乳で作ることにより、例えば豆腐やゆば刺しの味を知っている我々日本人へ向けてのハードルが下げられている。さすがかけ合わせグルメのプリンスだな。

大葉に包んで食べてもうまく、お酒のつまみにもぴったり。本当いいですよこれ。ただひとつだけネックなのは、これだけの手間をかけるならば、素直に魚河岸揚げを買ってきたほうがいいんじゃないか? という点。


今回は一品一品の方向性がバラバラなこともあり、採点方式やランクづけはしなかったのですが、「魚卵IN」「朝ごはん風」「すき焼き風(シンプルなほう)」は殿堂入り。あと特に気に入ったのは、「ナポリタン風」かな~、といったところでした。

食パンって、買ってきても1枚2枚余らせちゃうことけっこうあるじゃないですか? そんなときに気分を変えて「フレンチトースト自由形」、あると思います。

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後日百合おんさんから送られてきた「杏仁風フレンチトーストのマンゴーソスがけ」の写真

どうやらかけ合わせ熱に火をつけてしまったようです。

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