特集 2020年10月23日

眉ティントで眉を4つにする

こういうことです

眉を増やして4つにした。今回の記事はそれ以上でもそれ以下でもないものだ。

「北向ハナウタ、眉ティントに挑戦」「メイクに詳しい方々にお話を聞こう」の2章立てでお送りします。

埼玉生まれ、神奈川育ち、東京在住。会社員。好きなキリンはアミメキリンです。右足ばかり靴のかかとがすり減ります。(インタビュー動画)

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どうにか眉4つになる経緯を伝えよう

記事の冒頭では往々にして今回の企画に至った経緯が話されるものだ。「なので、この記事を書いています」という枕があって、読み手は「理解した、それならば読んでみよう」となる。

ただ今回の記事には動機がない。眉ティントで眉を4つにしたい、という突発的な感情が筆者のなかに沸々とあるだけだ。

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原宿駅前の@cosme TOKYOへ来た。大きい

どうにか動機を絞り出すとすれば、”メイクという文化”に興味があったのだ。女性たちがメイクの話をワイワイとしているのを見て、楽しそうだなと思う。

男たちがゲームで「このステージは炎の防具を装備した方がいいよ」と話すような、ミニ四駆で「このモーター、超速ギアと組み合わせたらすげぇ!」と共有するような、そういった、ある種の”自分だけの武器を探す旅”のようなワクワクを感じるのだ。

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いっぱいアイテムがあって何が何やらだな

その中で筆者は「眉ティント」というアイテムがやたら気になっていた。メイク時間を短縮するため、眉まわりの肌を染めることで長時間眉色をキープするアイテムだ。

検索いただくとわかるが、この眉ティントを使う過程で、眉が一時的に芸人のイモトアヤコのように濃くなる。自分の好きな見た目に近づくために一瞬そこからすごい遠ざかる、という振り幅が心に引っかかるのかもしれない。

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眉ティントじゃないけど、眉スタンプというアイテムも見つけた。これなら一瞬じゃんか

一方で、眉を4つにしようと思った理由は、本当にない。

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手に入れた!消えないナチュ眉なら「寝起き」かわいいのだ

ただ、顔のパーツを増やすのは楽しそうだなと思う。

例えば、目が3つのキャラクターは漫画などでそれなりにいると思う。ところが眉が4つのキャラとなると一気に影をひそめる。検索をしても「NG眉メイク4つ」などメイクの記事がサジェストされるばかりである。

眉を増やすと人間の顔の印象はどうなるだろう。前人のいない荒野を歩く。たぶん後にも先にも誰も歩きたがらない四つ眉の荒野である。

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眉ティントを長持ちさせるため、まずクレンジングで肌の油分を落とそう

クレンジング、本来はもっと泡立つらしい。コツがわからない。

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眉のステンシルというものがあるんですね。こんなのもうおれのためのものじゃないか
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眉を増やしたい位置にステンシルを当て、ペンシルで縁取りをする
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そして眉ティントの出番だ、粘り気があるんだな
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塗れた。第一段階クリアだ

まだ、みんな記事についてきていただけますか。駆け足でいきますね。

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2時間たつと自然に剥がれてくる

10分程度でも色づくが、長持ちさせたいなら2時間以上置くといいとのこと。

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剥がれた眉ティントを見て満足そう。我が子の抜けた乳歯を見る親ってこんな感じかしら
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できた!眉が4つになった

思ったよりしっかり色づくのだな、という印象だ。少しティントの方が自分の眉毛より色が薄いだろうか。顔が大きく見える…?気もする。

空にかかる虹には、気象条件によりうっすらとした”副虹”と呼ばれる2本目の虹が上に現れることがあるという。おれの顔に虹がかかった、と思った。

今は”自分の眉毛っぽく見せる”がトレンド

眉ティントがこれだけ流行っているのも眉を増やしたい以外の需要がたくさんあるはずなのだ。ここは一度詳しい方々にお話をお聞きしようと思う。

そういったわけで、冒頭で訪れた「@cosmeTOKYO」やコスメのクチコミや美容の情報サイト「@cosme」を運営しているアイスタイルさんにお伺いした。対応いただいたのは@cosme編集長・篠田さん、野田さん、畢さん。こちらは筆者北向ハナウタと編集部の林さんだ。

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写真は篠田さん(野田さん、畢さんは顔出しナシ)

北向:眉ティントってどういった経緯で生まれたものなんですか?
篠田:そもそも眉メイクを重視している方は多いんですね、眉によって顔の印象が大きく変わるので。ただ眉毛って夕方になると無くなっていったりして…効率よくメイクするには、ってことでまず韓国で人気が出たんです。
北向:日本にはいつ頃入ってきたんですか。
篠田:結構前ですね、3、4年前くらい…上陸したては濃くついてしまうモノが多かったんですが、今では進化して日本にも定着しています。
北向:そうか、3、4年前ってメイク業界では”結構前”になるんですね。
篠田:次々と流行とかも変わるので。
林:ああー。デイリーポータルZも20年くらいやっているメディアなんですけど、2000年代の記事を見ると女性の眉が違いますよね。
篠田:細ーい眉だと、昔のギャルというかちょっと古い印象になりますね。

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北向:太い眉が流行った時期もありましたよね…?今はどういう眉が流行りなんですか?
篠田:今は”自分の眉毛っぽく見せる”というのがトレンドです。
北向:はー、ナチュラルメイク的な。
篠田:ナチュラルっぽくというか、自分の肌そのものがきれいに見えるようツヤをどう出すかとか、チークは塗り過ぎないけど血色を出したい、とか。
野田:”もともと顔色がいい人”みたいな…
北向:あぁ!

篠田:先ほどの「ナチュラルメイク」という言葉だとちょっと古いかもしれなくて、最近よく使われるのは「仕込む」という言葉です。
北向:仕込む!へえー、おもしろい…
篠田:”肌の下に血色を仕込む”とか。
林:おれとか何もわからない男性が見ると訳も分からず「なんだか良い」と思っちゃうんですね。
篠田:そうです、作る側は”仕込んでる”んですが…たとえば耳にチークを入れる子とかもいます、血色感が出る。
野田:湯上がりみたいな、色っぽい雰囲気になりますね。

眉は寝グセがつくらしい

北向:眉のメイクとなると、ティントの前はアイブロウ?とかになるんですか?
篠田:そうですね、昔はペンシルで描くのが主流でしたね。
野田:色鉛筆みたいなものですね。
篠田:あとは太いチップというのがあって、ペンシルでラインを描いて、チップでそのラインをナチュラルに見えるようぼかすんです。

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左がペンシル、右がチップ。ペンシルだけだと不自然なのでチップでぼかすそうです

野田:さらに眉マスカラでコーティングして落ちないようにします。
篠田:眉マスカラは色のつかないクリアなものもあるので、そこから始めてみるのはありかも。毛並みを整えてあげるだけでも印象はだいぶ変わるんですよ。

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普段メイクをする方にとっては説明不要かもですが、眉マスカラこんなのです

北向:眉毛の毛流れとか気にしたことなかったですね…
篠田:眉毛って寝グセがつくらしいんですよ。
北向:え!
篠田:朝起きたら梳かしてあげるだけでも印象が変わるかもしれません。

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眉毛を梳かすとか考えたことなかったなー

北向:友人がアートメイク(ざっくり言うと眉の浅めのタトゥー)をしてました。
篠田:あれはもっと長持ちすると思います。
野田:ただ先にお伝えしたとおり眉毛には流行があるので、リスクもありますよね。
北向:そうか、流行遅れになったときに対応できないですもんね。
篠田:もし眉4つが流行になったらすごいメイク時間かかりますね、どうしよう。
北向:アートメイクで増やすしかないですね…

四つ眉改善会議

篠田:私が4つ眉にするのだったら自眉(自分の眉)そっくりに作ってだまし絵みたいにしますね。今はどうしても上の眉毛が平面的なので。
北向:あ〜、取材前に知り合いの女性何人かに聞いた話でも”眉ティントはのっぺりしがちなので解決法が知りたい”と言われました。

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「上の眉毛」「下の眉毛」という聞き馴染みのない言葉たちがいま産声をあげた

野田:今後は毛感をどう出すか、だと思いますよ。
林:毛感を出すってどうすればいいんですか?
篠田:パウダーというのがあって、グラデーションでふんわりさせることはできますね〜。
あとは眉マスカラ…何も毛が生えてないところには難しいかな。それと足りないところがあればペンシルで描くイメージです。

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確かに上の眉がのっぺりしてる。昨日より薄いし

篠田:人生初ティントですよね、何使いました?
北向:Fujikoです。
篠田:あーFujiko!
北向:モカブラウンです。
全員:あ〜、モカブラウン!

あ、なんか(こんな出で立ちであっても)メイクの話するのって楽しいものだな。

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事前にオススメいただいたFujikoの眉ティント

野田:自眉に合わせるならもっと上の眉毛が濃い方がいいですよね。
北向:そうですね、4つとも揃えたいです…昨日はもっと濃かったんですよ。

出来るだけ眉の色を長持ちさせるには眉マスカラ眉コートといったアイテムが良いとのこと。眉は皮脂や汗(特に夏場)、前髪のこすれなどでも落ちやすい。しっかりガードするためのアイテムがいろいろあるとのことだ。ははー。

普段メイクをする方々にとってはごく当たり前の知識なのかもしれないけど、我々にとっては全ての話が新鮮で楽しい。
「マニアックな分野だから今まで知らなかった」というニッチな世界を知ることの楽しさもあるけど、メイクに関しては「世の中の半数は知っている」だろう身近な場所に、まったく知らない世界が深く広がっていたことに気づかされる。

林:明日ハナウタ(筆者)さん、後輩の結婚式に出るらしいんですよ。
篠田:そのまんま出るんですか?
北向:そうなんですよ、どうしましょう。
篠田:どうしましょうかね。
北向:めでたい感はあると思うんですが…

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最悪「インドでは婚姻の神様の眉が4本あるので祝福の象徴とされ…」みたいな眉唾で乗り切ろうかなと

北向:手っ取り早く落とす方法とかありますかね…?
篠田:そうですねー、ティントは「落ちにくい」という特長がある商品なので…
林:
篠田:しっかり落ちるクレンジングオイルとかでゴシゴシこするとかしか…が、残りそう。

これについては眉ティントで眉を増やした自分が全面的に悪いので受け入れます。

革新的だったハイライトの進化

北向:眉4本じゃないですけど、化粧界で「今までにないな、革新だな」と思ったこととかってありますか?
篠田:うーん、ハイライトとか…?去年とか本当に流行りました。

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篠田さん曰く、出っ張ったところにハイライトを入れるとイキイキと輝いて見えるそうです

篠田:アイテムも進化して、昔は白いパウダーとかだったんですが、今は濡れたようなツヤをプラスしてくれるようなアイテムなんかもあります。
林:ニスみたいなイメージですか。
篠田:あ、そういう感じです。塗りすぎるとただ膨張して見えちゃったりするんですが…私はアイシャドウをハイライトとして使っていたりします。
林:上級者感ありますね。

「そのリップ、マスクにつきますか?」

林:最近ずっとZoomで打ち合わせをしてて、(美肌の)フィルターかけられるじゃないですか。リアルで外に出た時に自分のボサボサ加減に驚くんですよね。
篠田:そうそう、もうセルフィーってスマホでフィルターかけて自分を撮るじゃないですか。なので「フィルターの中の私になりたい」って、近づけるためにメイクをしたりするそうです。
北向:そうかー、最近はそんなことに…本物の自分に違和感が出てくるんですね。

林:マスクをするようになってメイクって変わったんですかね。
篠田:変わりましたね〜。ライトになってきた。
野田:マスクにファンデーションの肌色が付きづらいメイクとか、 顔上半分しか見えないから目元を強くしよう、とか。
篠田:マスクに付きにくいリップとかすごい人気です。今リップを薦めると「それマスクに付きますか?」ってすごい訊かれる。

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篠田:オンラインのミーティングが増えたので意外と家で濃くできるっていう楽しさもあります。
北向:逆に!
篠田:今まで使ってなかったリップ使ってみよう、みたいな。webカメラだとそこまでわからないし、いろいろ遊べるんです。
林:メイクしなくなったっていう声もありますけど、そういうのもあるんですね。
北向:そういえば、私も今日眉四つでしたけど会社にバレませんでした(この日は午前中働いてから取材だった)
林:それはでも、他人は注意しづらいよ。
北向:「こら!眉が四つじゃないか!」って。

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上の眉毛を前髪で隠せば、強風さえ吹かなければどうにかなります

メイクはいかに自分が楽しむか、FunとJoyが大切だ

篠田:ファッションもそうですが、美容の世界って”かわいくなるため”とか”モテるため”とかはもうよくて、” いかに自分が楽しむか ”で良いと私は思ってます。
美しさなんて人と比べられないじゃないですか。だったら自分の顔を思い切り楽しむ、とかでいいんじゃないかなと思って。だから(眉を4つにしてみるのも)すごい良いなぁと思ったんですよ。
北向:ありがとうございます、眉を増やすのすごい楽しかったです。
篠田:私がやれって言われたらやりませんけど笑

篠田:特に今は通り一辺倒の美を追求するような時代でもないので、より楽しいです。己の好きなようにやるぜ!という感じで。
林:それは時代とリンクしてますね。
篠田:いい時代になったなあと思います。

「美容には、ルールは何もない」という心強い言葉もいただいた。お話をお伺いできてよかった。


眉4つのメリットとは

篠田:せっかく眉4つにするんだったら何らかの効果を考えたいなぁ〜と思います。「小顔」「彫りを深くする」「おでこのシワ隠し」「最先端のおしゃれです!」なのか…
畢:でも面長に見えてしまうかもですね。
篠田:じゃあ小顔は逆効果か。眉毛を横に伸ばして一本にしてみるとか!
北向:顔を横断させるんですか!やってみようかな、プロに聞くもんですね。
篠田:プロっていうか。
篠田:後はアイシャドウとかでカラフルに好きな色に書いてみるのもいいかも。
野田:必然性はゼロですけど。
林:簡単にできる変身体験としてはアリですかね。
篠田:日常を忘れて変身しようみたいな、ハロウィンも近いですし。

突然眉を4つにして現れた筆者に対し、みんな本当にやさしかった。ありがとうございました。

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翌日の結婚式はめちゃくちゃな毛量のおかげでどうにかなりました
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