この対談に登場する人
できるだけ責任を取りたくない
石川:
FLASHのサポートが12月いっぱいで終了するので、FLASH時代のゲームを振り返るという会です。
おぎわらさんどんな気持ちですか?
おぎわら:
Flashの案件事態が数年前になくなって、すっかりJavaScriptに以降してしまったので、特別な感情は何もなかったんですが、
アンケートを読んだら、めちゃくちゃしんみりしてきました、、、
林:
人に言われるまでなんとも?
おぎわら:
そうですね。Flash版は200本ちょっとあったんですが、別に遊べなくなってもいいやって思ってました。
石川:
淡泊…!
林:
ものすごいドライ。
僕がサーバの代金が大変だから半分消すね、って言われてもOKでしたか?
おぎわら:
OKでしたよ。
もともと、自分が作り終わったものって、あんまり見たくないタイプなんです。
バグとかミスとか、見つけるのが嫌で。
石川:
見つけたら直さないといけないですもんね
一刻も早く無関係になりたいっていう感じ?
おぎわら:
そうなんです。
一時期、アプリ開発してたんですけど、みんなアップデートするじゃないですか?OSが変わった時とか。
あれが、本当に自分には向かないんですよね。昔の自分のソースを見たくないんです。
林:
自作の家はそうじゃないんですか?
※おぎわらさんは最近DIYで小屋を建てました
おぎわら:
自作の家は、バグがあっても直さなくていいじゃないですか。自分さえよければ。
石川:
あー、じゃあ家建ててそれを他人に貸すのは…
おぎわら:
絶対無理ですね!!!!!
林:
納品物で、責任があるのがだめなんだ。
仕事全体に向いてね~
おぎわら:
そうなってしまいますね、、、、、
林:
それがない仕事ってあるかな…
会社員じゃないですか?
おぎわら:
会社員って責任とらなくていいんですか?!
林:
うん
おぎわら:
林さんだけじゃないですかね?
林:
稟議書とかみんなで判子押して責任を曖昧にしているし
石川:
異動なんかしちゃったらもういままでのオールクリアですよね
林:
自分に非がある場合は「組織としての問題として捉えよう」と言えばよい
「構造的な問題ですね」。楽ですよ~
おぎわら:
うらやましくなってきた、、、
人の上に立ちたいという願望
石川:
むかしのゲームの思い出を募集したんです。たくさんご回答いただいたのですが、おぎわらさん印象に残った回答はありました?
おぎわら:
意外なゲームをチョイスしてくれているやつはやっぱり嬉しかったです。
これとか。すっかり忘れてました。
石川:
肉と雷は人口増に影響あるんですか?
おぎわら:
覚えてないんですが……たぶん関係ないとおもいます!
石川:
ないんだ…
「ボタンひとつで人々を喜ばせたり、恐がらせたりすることができます。結構、気持ちいいです。」
人を苦しめたりコントロールするのが気持ちいいというだけの要素ですね。
林:
2005年1月、何があってこれを作ったんでしょうね。
覚えてます?
おぎわら:
29歳ぐらいかな。デジビ(※)を辞める直前か。
なんにも覚えてないです!すみません!
※デジビ…デジタルビイム。ライター住さんのやっていた会社で、当時おぎわらさんの勤務先。
林:
辞めるからって、税金対策の本ばっかり読んでて住さんに注意された頃ですね
おぎわら:
そうそう。人の上にたちたかったのかな……。
林:
一国一城の主になるという心意気が
石川:
願望をわかりやすく反映してますね…
私ゲーム
石川:
そういうパターンって他にもあるんですか?願望からゲームになるという
おぎわら:
願望ではないですけど、「絡まれた思いで」は自分の人生を反映してますね。
おぎわら:
実際に酔っ払いに絡まれたという、実体験のゲーム化です。キャプションみると、「5、6年前、僕が会社員だった頃の話です。」ってなってるので、笑い話にできるまでそれぐらい時間がかかったってことかもですね。
林:
これむちゃくちゃおもしろいですね。
私小説ならぬ「私ゲーム」。
石川:
解説がヒントになってるんですね。
石川:
むかしのPCゲームの違法コピー対策でこういうのありましたよ。付属の説明書見て特定のフレーズ入力しないと進めないみたいな。
おぎわら:
気づいたひといたのかなぁこれ。
みんな意味分からなかったでしょうね。
林:
ゲーム実況で楽しむものですねこれは。
石川:
たしかに
コンナンくんと同じジャンル
おぎわら:
娘はやらんゲームも、自分の感情に近いゲームかもですね。
結婚のあいさつにきた娘の彼氏に対して、「娘はやらん!」と言うゲーム。
「娘はやらん!」と同時に机をたたくとピーナッツが飛び散るので、それを舌でキャッチすると得点になる。
好評のため、後に続編も製作された。(2008/11/23公開)
石川:
あーそうか、実際にお子さんが生まれて。
林:
二十年以上先のことを想像したゲームだったんですね。結婚相手がこのゲーム見たらいやだろうなあ
おぎわら:
確かに!!自分の娘にも見られたくないですね、絶対。
林:
それか、オギーが「娘はやらん!」っていったら、「ゲームと同じ~」って男が言うかもしれない。
おぎわら:
いやですね~
林:
お義父さん、ゲームみたいっすね~
おぎわら:
はやく、FLASH終われ!!!娘に気づかれる前に!!!
石川:
娘はやらんゲームにアンケートきてますよ。
石川:
説明文が「分かるけど理解できない」ことでおなじみのおぎわら遊技場
林:
読者のリテラシー高いですね。
石川:
言い得て妙だと思いました
林:
企画書を書いたらできないゲームですよね。
思いついて、即コードじゃないとうまれない。
おぎわら:
たしかに。
石川:
それ系でいうとやっぱりピロートークボブスレイじゃないですか
石川:
こういうのは、林さんがいろいろ口出してこうなったのか、それともおぎわらさんの一人のアイデアなのかどっちなんですか?
おぎわら:
これは、林さん一人のアイデアです!
林:
飲み会で言った気がします。
おぎわら:
いや、普通に会議で言ってましたよ!シラフでした!
林:
シラフか!
すごいな
林:
飲み会で言ったのはアコーディオン刑事だ
石川:
じゃあちゃんと会議の場で決まって、おぎわらさんに発注が来たわけですね。布団の上でピロートークしながらボブスレーのコースを走るゲームの。
林:
そんなピロートークボブスレーにもお便りが来てます。
おぎわら:
ピロートークボブスレーごっこしてそうですね。リアルで。
林:
ピロートークボブスレーがピロートークに使われちょるわけですよ!
石川:
リアルピロートークボブスレーだ。
林:
2040年ぐらいのオリンピックに採用されないですかね。
石川:
そうなったら林さんと荻原さん、第一人者ですね。銅像立ちますよ
林:
ボブスレーでもりあがってしまいました。次行きましょう。
学校のパソコンでできるゲームとしてのおぎわら遊技場
石川:
僕が気に入ってる回答があって。
他のみんなはゲームを遊んでいるだけでしたが、自分だけはなんとなく上にあったZくんの絵をクリックしました。するとそこにはいい大人が全力でくだらないことをしている最高に面白いWebサイトがあるではないですか。私とDPZを「デリタンク」が結んだ瞬間です。
石川:
学校のパソコン室で遊んだっていう回答がかなり多かったですよね
おぎわら:
林さんがいつも言ってた、あの説は本当だったんですね。
林:
嘘じゃないですよ。
なんでおれがそんなごんぎつねみたいなことをしなければならないのか。
おぎわら:
正直うたがってました、すみません!
石川:
自分が考えたピロートークボブスレーやアコーディオン刑事のようなゲームを作らせるために、小学生に人気という嘘を…
林:
ほめてほめて、洗脳して…
おぎわら:
小学校のころ、クラスで何かが一時的に流行るって、みんな経験あるじゃないですか?
まさか、自分のゲームがそれになっていたとは…!
林:
高橋名人みたいなものじゃないですか?その子たちにとって
おぎわら:
デリタンクがシュウォッチ(※)ですね。
デリタンクで距離をみんなで競って。
※シュウォッチ…ハドソンから出ていた、連射の速さを測定できる腕時計
石川:
おぎわらさんに憧れてゲーム会社入った子とかいるんじゃないですか
おぎわら:
すげー!
いたらめちゃくちゃ嬉しいですね。
石川:
いまデスストランディング作ってるかもしれないですよ
おぎわら:
僕のゲームで遊んでた人が、デスストランディング作るとは思えないけど……。
林:
どこかで山菜をとってデリタンクオマージュがあるかもしれない
おぎわら:
ああ、たしかに、山菜繋がりはあるのかも・・・!
林
ゴーストオブツシマにもきっと山菜でてきますよ。
おぎわら
でてきそう!山菜!
実は去年と一昨年、某ゲーム会社の新人研修の講師やったんですよ
林:
なにをおしえたんですか?
おぎわら:
補助講師なんですが、Unityでゲームの作り方を教えたんです。
でも、僕がおぎわら遊技場でゲーム作ってるって恥ずかしくて言えませんでした……。
林:
言った方がいいですよ。
「あ、あなたがあのおぎわらさん……!」って
おぎわら:
ならないでしょ!!
林:
「やってましたよ!カニテング!!」
石川:
新人研修って22才とかですよね。デリタンクが13年前だから9歳の頃ですよ。
まさにビンゴじゃないですか
林:
「僕もデリタンクみたいなゲームを作りたい……」
まんが道の手塚先生みたいに描かれるオギー
おぎわら:
あの子たちが中心になって…
石川:
デリタンクのTシャツ作って、さりげなく着ていくのはどうですか
おぎわら:
来年も研修あるっぽいので、Tシャツ作ろうかな……。
林:
「それデリタンクじゃないですか~………え、まさか…」
ざわざわ
おぎわら:
あれ…なんか…ちょっとバカにされてる……?
林:
藤原がたまにコミケで「コンナンくんですか?」って言われてますよ
おぎわら:
うらやましい!のか…?
100万人がプレイしたゲーム
石川:
もういっこいい話、いいですか
妹がPC教室の先生でした。
おじいちゃんおばあちゃんに電源の入れ方から教えるような教室でしたが、そこでマウスの練習に大活躍したのがタッチーナちゃんとぶら下がりサンタです。
特にタッチーナちゃんは泣き顔が本当に悲しそうなので、皆さんタッチーナちゃんを泣かせないために上達していったそうです。
ご夫婦で受講されていた方は、旦那さんが奥様に「上手にやらんとまた泣いちゃうぞ」と応援しながら見守ったり、大人気でした。
今は教室もなくなってしまいましたが、妹も受講生さんも同じ町内なので出先で遭遇してます。(鳩の親族 さん)
石川:
確かにこれはうってつけですね
おぎわら:
このコメント最高ですね!
ただマウスでキャラクターをタッチし続けるゲームなんですが、まさかこんな風に遊ばれているなんて。
林:
マイクロソフトがマウス操作に慣れさせるためにソリティアを作ったという噂がありますが、それじゃないですか。
これスマホ対応してらくらくホンに入れたいですね。タッチスクリーンに慣れるために。
しかし、いかんせんFlash。
おぎわら:
ああ、確かに作り直せばスマホ版も作れますね!いいかも!
林:
しかし、コメントがすごくいいですね。
おぎわら:
すんごいほっこりしました。
石川:
絵が浮かぶんですよね
おぎわら:
まさか年配の方々が遊んでくれてたなんて、まったく想像していませんでしたよ。
石川:
なんかこう、人の思い出の中に生き続けているゲームがたくさんあるというのはすごいことですよね
林:
僕らは作ってるところしか見えないですが、その先のゲームを楽しんでいる世界が見えるのがうれしいですねえ。
石川:
200本作った甲斐がありましたね
林:
1本をざっくり5000人が遊んだとすると、
のべ100万人が
おぎわら:
!!!!
すごい人数
林:
パソコン教室とか学校とか、彼氏と遊んだとか、が100万通り
石川:
100万の人生におぎわら遊技場が
おぎわら:
そう考えると本当にすごいです!
林:
それが今消えようとしているんですよ!
おぎわら:
今まで、そういったこをまったく想像できていませんでした……。
だから、消えようとしているのに何も感じていなかったんですね……。
僕はバカだ!なんで今までそんな当たり前のことに気づけなかったんだろう……。
林:
いろんな人がオギーと同じように絡まれて
理不尽な思いをして
石川:
同じように絡まれて、もしかして…と思って「ただ通りがかっただけじゃないですか」って言ったら解放された人もいるかもしれないですよね。100万人のうち一人くらいは。
林:
おぎわら遊技場でやったやつだ!(進研ゼミでやったやつだ!的に)
それでもっと殴られてたらおもしろい。
石川:
あはは
林:
さようならドラえもんみたいに
おぎわら:
こらこらー!
いい感じにしんみりしかけてたのにー!!
石川:
さようならFLASHですね。
「僕が強くならないと、FLASHが安心してサポート終了できないんだ!」って、おぎわらさんが酔っ払いにボコボコにされながら耐える話。
林:
セキュリティホールの恐ろしさを可視化(※)
※FLASHがサポート終了となるのはセキュリティ上の理由といわれています
おぎわら:
ちょっとちょっとー
結局、僕が絡まれたのを面白がってるだけじゃないか~!
あの大作のパロディたち
石川:
アンケートに戻ると、いろんなゲームがありましたが、一番多かったのがやはりRPG(ロールケーキプレイングゲーム)。これはあとで触れるとして、2番目がなぜかファイナルファンタ汁なんです。
林:
「元ネタのFFもファイナルファンタ汁の影響でプレイし始め」
逆だろう。
おぎわら:
そっちのパターンがあるとは思いませんでしたね。
石川:
ほんとだ。あと、本物のFFを買ってもらえない代わりにやっていたっていう人もいますね。
林:
かわいそう…
石川:
おぎわらさん、これが2位って意外じゃないですか?
おぎわら:
でも、僕もこれは気に入ってるんですよね。めちゃくちゃ気合入れてつくりましたし。
石川:
確かにかなり凝ってます。エンディングもあるし。
おぎわら:
工数的には一番時間かけてますよ。
おぎわら遊技場でもっとも力を入れた作品だと思います。
石川:
読者はちゃんと見てくれてましたね
おぎわら:
ありがたいことです。
石川:
そういえば同じRPGのパロディでデイリークエストがありますよね。こっちは6まで出てる
6作あるデイリークエストシリーズの完結編。王様に話しかけるたびに冒険を中断し、ふっかつのじゅもんを覚えて入力するゲーム。同シリーズにはほかに町の人になって勇者を案内するゲームや、仲間がどんどん増えていくスネークゲームなどがある。(2010/10/24公開)
おぎわら:
ドラクエのパロディっぽいやつでシリーズ化してました。
石川:
復活の呪文のやつが好きでした。
おぎわら:
今のこどもたちが遊んだらなんのこっちゃですね
石川:
たしかに、これ通じないのか…
名作、RPG(ロールケーキプレイングゲーム)
林:
遊んでるシーンがわかる投稿を集めてみました。
みんなRPGですね。
林:
エピソードが、みんなどこか寂しいんです。
おぎわら:
なぜかロールケーキが心を癒したんですね。
林:
深夜ラジオみたいですね。BGMは荒井由実の卒業写真で。
おぎわら遊技場が人生に食い込んでいるのが見えて嬉しくなりました。
石川:
すごい名作だったなーという気持ちになってきました。
事実めちゃくちゃ良いゲームでしたからね。
林:
制限時間がないのがよかった。
僕も実の母から言われました。あのゲームだけは消さないでくれと。
石川:
みんな「徹夜で」とか「延々と」「ずっと」とか書いてて。時間が止まってる感じがするんですよね
林:
時間を止めましたね
おぎわら:
すごいゲームですね!
自分が作ったものとは思えないです。
なにひとつ狙っていなかったので。
林:
時間制限がないのは意図的じゃなくて間にあわなかったからなんですよね?
おぎわら:
そうです。
林:
衝撃の告白
おぎわら:
難易度調整とかも、時間がなくて全然やらずに出しました。
だから、絶妙なゲームバランスというか、ゲーム性がいい意味で低いんですよね。
石川:
あきらめが生んだ名作
おぎわら:
へんに追及しないほうがいいのかな、
林:
誕生秘話、ですね
社会を学ぶ
おぎわら:
小学生2年の女の子が家でゲームしてるって姿が、なんか、ちょっとせつなくて好きです。
石川:
「働くって大変なんだなと思いながら黙々と品出しを」
おぎわら:
自分の子供にも遊ばせたいって、めちゃくちゃ嬉しいです。
林:
コンビニゲームって、住さん発案じゃなかったっけ?
おぎわら:
いや、これは僕発案なんですけど、住さんがけっこう遊んでくれて、嬉しかったのをよく覚えてます。
林:
あ、そうなんだ。住さんが楽しそうに話してたのを覚えてます
石川:
社会勉強になってる子供がいるとは
林:
深夜にコンビニによく行くんですが、オギーのゲームみたいだなって思いますもん
おぎわら:
ぼくもコンビニバイト長かったんで、頑張って作りました。
林:
これも私ゲームだったんですね
おぎわら:
私ゲームですね。私ゲームやっぱいいですね。思い出になって。
どんどん作ってこ。
林:
おぎわらさんの人生を追体験できるわけですから。
家づくりもゲームに
石川:
消えてしまうぶんの私ゲームは新作で埋めましょう
おぎわら:
そうですね!死ぬまで作りつづけます!
おぎわら遊技場の今後について
編集部 石川です。今後のおぎわら遊技場についてお知らせします。
まず、2016年以降、かえってきたカニテング以降のゲームは、Flashを使用していませんのでこれまでと変わらず遊んでいただけます。また、新作も月に1本のペースで公開していきます。
それ以前のゲームについては、移植も困難なため、現在は救出のめどが立っておりません。年が明けた時点で遊べなくなります。思い出のゲームがある方は、どうか今のうちにもう一度遊んでみてください!
なお、有志によりFlashの代替ツールが開発されていますが、いまのところおぎわら遊技場のゲームが動作するものは見つかりませんでした。しかしそれらのツールの完成度が高まり、いつかゲームが動かせるようになったら、あらためて組み込んで復活させたいと思います!
というわけで新作を楽しみにしつつ、過去のゲームは年内に遊び倒していただけると幸いです。
この記事を楽しんでいただいた方へ
今年の7月、おぎわら遊技場の18年の歴史と、なにかと路上で絡まれがちな荻原さんの半生を振り返る生放送を行いました。こちらからアーカイブをご覧いただけます!