特集 2021年8月22日

「ニュートン」のように表現する(デジタルリマスター)

久しぶりに科学雑誌「ニュートン」を買ったら面白かった。

昔と変わらず精緻なイラストがたくさん載っていた。ゴルジ体、二重らせん、宇宙のはじまり、グロテスクなほど美しいイラストは見ているだけでどきどきする。

あのすばらしいイラストは説得力がある。ふつうの状況でもあのニュートン風イラストで書けばなんだかものすごいことに見えるのではないだろうか。

2007年5月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載しました。

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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ニュートン風に酔っぱらいを表現する

ひどい写真で恐縮だが、まずはこの写真を見ていただきたい。先日、飲みすぎたときのようすである。ゴールデン街の人んちみたいな店だった。午前4時。悪酔いしないようにホッピーを飲んでいるが、もうそんなこと関係ない状況である。

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すいません。

気分はよかったが、目を閉じると頭がクラクラした。家が揺れているような気もした。簡単に言えば泥酔である。

このフラフラの状態をニュートンの扉絵風にしてみるとどうだろう。

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ニュートンの特集の扉ページ風

青か紫のバックにうっすらと化学式。ニュートンの場合は偉大な発見をした科学者が描かれているが、今回は僭越ながら自分にした。

気分の悪さは、遺伝子風のぐるぐるしたものと玉で表現した。化学式はアルコールである。あくまでも遺伝子風なので、遺伝子ってのはそういうことじゃねえんだよ、という的確な指摘はご遠慮ください。

ニュートン風に待つ犬を表現する

犬は好きではないが(きっぱり)、スーパーの前でつながれて主人を待っている犬はいい。心細さオーラが体中から出ているようすは味わい深い。

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なぜ三角のあいだから見てるのか。

三角の看板を自分の小屋と勘違いしているのだろうか。ってことはおれ一生ここ? と焦っていたりして。そんな想像力を刺激してくれるたたずまいだが、この犬もニュートン風に描いてみたい。

どうぞ。

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あの犬がニュートンに載っているとこうなる

飛んでくる玉は犬の不安である。壁があれば守ってくれるかもしれない(たまに突き抜ける)。赤い矢印は犬の「もしかしておれこのまま?」という将来の不安。 白い矢印の先にいるシルエットは解放された犬のイメージである(願望)。

拡大図と宇宙は雰囲気で入れてみたので特に意味はない。

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犬を正面から見たら笑ってた

 

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エイプリルフールの記事をニュートン風に

次はこの写真だ。エイプリルフール企画でパンの町があるといううそ記事を書いたときの写真である。パンが刺さっているやきとりがあるという設定で、自分で作ったパン入りやきとりを食べている。

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うつろな目でへんな焼き鳥を食べている

記事では「うまいよ」なんて書いたが正直に言おう。おいしくない。鶏肉のジューシーさをパンが全て吸い取っていた。

視線の先にはサブウェイがあってはやく撮影を終えてふつうの食事をしたいと思っているところである。この状況、ニュートンでだったらどう表現するだろう。

どーん。

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バイオな感じでまとめてみました

今回はイラストのなかに説明を入れてみた。企画を完遂しなくてはという義務感と、拒否する脳の葛藤を描いた。

あと単細胞から細胞分裂しているかつての自分の様子も入れてみた。なつかしいですね。記憶ないけど。

脳は難しいよ

しかし、この脳のイラストが大変だったのだ。前ページの物理みたいなイラストはつるっとしてまるっとしてればいいのでコンピューター向きだが、生物のうねうねしているのは大変だ。脳だけで4時間かかった。

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こいつのせいで

もったいないので今後は考えているときの写真にはすべて脳を入れておくのはどうだろうか。

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「あれ、こわれてるのかな…」
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「次はなににしようかな」

ぜんぜんだめだ。

考えると脳が透けて見える人なんていない。まんがでも見たことがない。ニュートンから遠ざかってしまったのでまたもとにもどります。

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メンタルをニュートンで

急に自分がこの世でひとりにみたいに感じるときがあるだろう。見えるものすべてが作り物だったりして……! 子どものころはそんなことを考えて不安になるものである。

大人になるとあまりそう思わないものだが、たまにそう感じるときがある。こんなときだ。

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とある宴会で

写真右端が僕である。マイクを持っているが誰も僕の声に耳を貸そうとしない。ウェブに載せるのを躊躇するぐらいのかわいそう写真だ。人望ゼロ。まあ、人とのつきあいってこんなものよね。早く帰ってミクシィ日記に嫌味でも書いて寝てしまいたい。

そんなメンタルな状況もニュートンの出番だ。

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吐き気がよく書けた

寂しさがでるように比較的シンプルにおさめてみた。背景にもっと球とか小宇宙を描きたかったが我慢だ。

つかめそうでつかめない話すきっかけは不規則な周期。吐き気にも遺伝情報が入っているかもしれないのでそんな雰囲気にしてみた。実際入ってるかどうか知らない。

でも、入ってたところでそれをもとにクローン人間だけは作らないでください。


おわり

子どものころ、ニュートンが毎月家に届いていた。父が定期購読していたのだ。僕もぼんやりいっしょに読んでいたはずなのだが、こんなことになってしまった。ザ・表層である。父も草葉の陰でがっかりしているだろう。

理科への憧れがあるかたはぜひこのニュートン風イラストに挑戦してみてくださいなんてことはなくて、1枚につき3~4時間かかるのでやめたほうがいいですよ。買って眺めたほうが早いです。

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大きさ間違えたらパーマみたいになった
2021年からあとがき
ここで14年経ちまして現在は2021年です。
やってることも文章も変わってないですね。ただ14年前の僕はニュートン風の画像を最初から小さいサイズ(400ピクセル)で作っていました。大きくできないじゃん。なので今回はAIを使っているという画像拡大ツールを使って無理やり拡大しました。
14年前の自分に言いたいのは、「ウェブの解像度はどんどんあがっていくからイラストとか元画像はでっかく作っておけ」でしょうか。
書籍にすることもあるので、使うサイズの2~3倍、300dpiで作っておくといいですよ。
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