エスカレーターのパントマイム
エスカレーターのパントマイム、分かりますか?見たほうが早いので動画を載せます。こういうやつです。
やり方はわからないけど、板の後ろでとんでもない体勢になっていることは想像がつく。板の後ろを見たい。
エスカレーターのパントマイム、周りの人に聞くと、多くの人が子供のころやったことあるらしい。しまった、僕はやらずに大人になってしまった。
Twitterで聞くと、「やったことある」が69%。思ったより多い。これはもはや義務教育だったのかもしれない。再履修しなきゃ…。
大人の再履修
エスカレーターのパントマイムをするためにDPZ編集部の会議室にお邪魔した。
Webマスターの林さんが「こういうのいいですね、子供の頃やり忘れたことを大人になってからやるの。」と言っていた。
そう。これは大人の再履修である。いままでやってこなかった「エスカレーターのパントマイム」を今日ここで成功させることで、明日から「エスカレーターのパントマイムをやったことがある人」として、胸を張って生きていける。
だからこそ、やるからには絶対成功させたい。ズルをしてもいいから…。
やります。人生初のエスカレーターのパントマイム
「ほりさん今日はエスカレーターのパントマイムやるらしいですけど、昔そういうのやってたんですか?」
「いや、全然初心者なんですけど、が~まるちょばの映像見て予習してきたので大丈夫です。」
「なるほど、動画にやり方が載ってるんですか?」
「いや、プロは板の向こう側を見せてくれないので、なんとなく自分の想像でやってみます。」
会議室に「コイツ大丈夫か?」という空気が漂う中、記念すべき人生初のエスカレーターのパントマイムをやる。
「あー…」「なるほど…笑」やばい。会議室の空気が重い。大の大人がエスカレーターのパントマイムに失敗すると空気が重くなる。やはりこういうのは子供の頃にやっておくべきだったのだ。大人には変なプライドがあるからやっかいだ。
それから20回ほど練習して、だいぶマシになった。
ただしきつい。リングフィットアドベンチャーのスクワットのやつよりきつい。今日はリングフィットアドベンチャーはやめておこう。
ここで編集部の石川さんから提案が。「僕、昔やったことあるんですよ。」
「僕が成功しちゃうと記事的にまずいですかね?」と言いながら堂々と一発成功する石川さん。え、うまい。ふつうにうまい。大事なのは背中を徐々に丸めることらしい。なるほど。僕はもともと猫背なのでこれは都合がいい。
うーん。序盤はいいんだけど、後半、すごい勢いで下がってしまう。失敗だ。
林さん「人類の進化の図を逆再生してるみたいだね。」
背中を丸める作戦は丸めすぎると変な感じになる。ちょうどいい塩梅が難しい。
ここまで正攻法でエスカレーターのパントマイムをやってきたが、早くも限界を迎えつつある。特に難しいのは一定速度を保つことだ。前向きのムーンウォークのような滑らかさが求められる。なんとかせねば。
ズルをします。
前述の通り、ここからはズルをします。板の向こう側でズルをしてもいいじゃないですか。どうせ見えないんだし。僕にはいろいろ策がある。
まずはキャスター付きの椅子を用意した。座面の下にあるレバーを引くことで背の高さを調整することができる。キャスターで動きつつ、レバーを引いて徐々に背を低くすればエスカレータっぽく見えるのではないかという見立てだ。
うーん。足で移動しながらレバーを引くのが難しい。一定速度で移動することに集中するあまり、レバーがおろそかになって急降下してしまう。しかしこれは想定済みだ。一定速度で動くために、紐で引っ張ってもらえばよい。
椅子に紐を括り付け、石川さんに引っ張ってもらう。こういう企画に嫌な顔一つせず付き合ってくれる石川さんはとても優しい大人だ…。
うーん。そもそも背の高さ調整はそんなに上下に移動しないのですぐに限界を迎えてしまう。椅子が下がりきった後は自力で姿勢を低く見せる必要があるのだが、椅子に座っているせいで腰より上でやりくりするしかなく、不自然になってしまう。もっといい方法はないか…。
スケボーに乗る
こうなったらもう、スケートボードに乗ります。危ないのでできれば乗りたくなかった。人生で一度もスケボーに乗ったことがないが、それは「あぶなそう」と思っていたからだ。いい年して、こんなことで怪我をしたくない。でもまぁ今回は床がカーペットなのでスケボーがつるっと滑ることもない。たぶん大丈夫。
いまから人生で初めてスケボーに乗る。エスカレーターのパントマイムとスケボー。今日は人生初めてを2個もやったことになる。子供の頃って毎日何らかの「人生初めて」があったと思う。なんだかなつかしい。
スケボーに乗ってしゃがむの、客観的に見てあまりに滑稽すぎる。だが椅子作戦よりは可能性を感じる。でも現状、下がカーペットなので減速が早くていまいちだ。となると、やはり紐だ。スケボーの裏に紐を括り付けて引っ張ればいいと思う。
最後の作戦。スケボーに乗り紐で引っ張る。
いよいよ、最後の作戦だ。スケボーを紐で引っ張る。
さて、事前に用意してきた作戦はこの「スケボーに乗り紐で引っ張る作戦」が最後だ。これで失敗するともう術がない。弾切れだ。なんとかここで成功させたい。
高校物理の授業で出てきそうなシチュエーションだ。台に乗った人間を紐で引っ張るシチュエーションは、本当に存在する。
いよいよやります!
お、これ結構よくないですか?若干降下のタイミングが遅かったかもしれませんが、成功といってもいいんじゃないでしょうか?いままでで一番よい。やったー!成功!!終わりです!!!
ちなみに板の向こう側はこんな感じ。
というわけで、大人の再履修「エスカレーターのパントマイム」は無事修了とさせてください。ズルかったけど成功したので満足。
先ほどの道具無しバージョンと比べてみる。
未履修科目はまだある。
今回、「誰もが子供のころやったはずのエスカレーターのパントマイムをしてこなかった」というコンプレックスを解消できてよかった。でもそういう未履修科目はまだ他にもある。僕はピカピカの泥だんごを作ることなく大人になってしまった。そういえば妻は「新聞紙をぎちぎちに丸めて細長い剣を作るのをやらずに大人になってしまった」と言っていた。(僕は作ったことがある。)
このように、人それぞれ未履修科目が一個か二個はあると思う。大人になった今こそやってみると案外楽しいかもしれないです。次は泥だんごです。