特集 2024年9月17日

行けなくて悔しかった古い食堂にやっぱりもう一度行ってみた

旅はもう少し続きます

「だるまや」も「ひかり食堂」もやっぱりいいお店で、ついにそれを確かめ終えてしまった。前回は、2軒とも休みであることが来るなりわかって「どうしよう」と思ったが、今回は食べ終わってまだ昼で、これはこれで「どうしよう」である。

ビールを飲んでしまい、もう電動自転車には乗れないが、せっかくなのでヨッピーさんが「他にない風景です」と教えてくれた、川沿いの製材所エリアまで歩いてみることにした。

吉野川にかかる上市橋を南へ渡ったあたりに製材所が集まるエリアがあり、質の高い建材として使用される吉野材を乾燥させるために貯木している様子が見られるようだ。「吉野貯木場」と案内板のある場所に近づいてみると、ヒノキのような、木のいい香りが立ち込めている。

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木がたくさん積まれ過ぎていて鉛筆に見える

辺りを歩くと大きな加工所があったり、産業遺産的な古い建物があったりして迫力があった。月に一度、木材の市場が開かれているようで、それも見にきてみたいなと思った。

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何に使われていたのだろう、かっこいい建物
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掲示板にもいい木が使われている感じがするぞ

そういえば「だるまや」で中華そばを食べている間、常連さんの会話が聞こえた中に「あそこのヒノキはええよ」とか、木の話がたくさん飛び交っていて、それを思い返すと、ここは林業や木材加工が生業になってきた土地でもあるんだなと思った。

木か……あと、石もすごそうだなと思う。吉野川のほとりには石がごろごろしているし、以前、取材で車に乗せてもらって川沿いを移動していた時、石材店の看板を多く見かけた気がする。「そうだ!そうそう。あの石の看板、なんか不思議で気になっていたんだった」と、なんとも奇抜で独特な石材店の看板を、車窓から多く見たのを思い出した。あそこまで、歩いていけないだろうか。

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石材店の看板が見たくてずっと歩く

橋を再び北側へと渡り、吉野川沿いを東へ東へと歩く。9月半ばだが、日差しはかなり強く、まだ全然、夏だ。

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いい景色なんだけど、暑いんだ

今さら遅いが、電動自転車で移動すればよかったと思う。徒歩で長く歩くには危険な暑さなのである。水着を着て川で遊んでいる人もいてうらやましい。

暑い暑い、暑過ぎる……とつぶやきながらとにかく東へと進む。石材店の看板を見かけたのは、取材時に山あいの「ラーメン河」へ向かう車の中からだったから、それが歩いてどの程度の場所にあるのかはよくわかっていない。

途中、ヨッピーさんが教えてくれた「やき餅」の有名な店「こばし」を通った(すでに売り切れてしまっていた)。

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いつも早い時間に売り切れてしまうらしい

そのちょっと手前には、「やたがらす」という地酒で知られる酒蔵「北岡本店」の直売所もあった(後で寄ろうと思って寄れなかった)。

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お酒の試飲もさせてもらえたらしいことを後で知る

汗をかきながらさらに歩く。「笑屋」という無人休憩所があって、そこに入ったら、これもヨッピーさんがおすすめてしてくれていた「平宗」という老舗の柿の葉寿司の自販機があって、それは買うことができた。

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クーラーが効いていて涼しかった「笑屋」
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名物の柿の葉寿司を買った!保冷バッグに入れて持ち運びました

さて、歩けど歩けど、石材店の看板は現れない。だんだん「もうよくね?」と思ってくる。そもそもなんで石材店の看板がそんなに見たいんだっけ。

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「温泉!」と思ったら15㎞以上先だった

歩き出して1時間ほどが経った頃だろうか、石材店の看板が一つあった。

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そうそう!こんなテイストの看板が道沿いにたくさんあったのだ

こういう感じで、なんかもっとすごいものがあったはずなのである。記憶を頼りにさらに歩く。

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もう一か所、色々集まっている場所があった
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気になる雰囲気である

これこれ!この感じ。看板というか、石のオブジェの露天ギャラリーというか、そういう趣きである。ギザギザした円盤に赤く書かれた「石」の文字。巨大な手のひら。すごい。さらに先へと歩く。

すると石のオブジェだらけの広場が見えてきた。

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これだ!

そう!あの時、自分は車窓からこれを見て「なんだあれ!」と思ったのだった。しかし、その時は取材のために移動していたから「ちょっと停めてください!」とは言うことはできなかったのだ。やっとじっくり見ることができる!

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なんだかすごいな
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バラエティー豊かだなー
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石ファミリーの仲間に入れてもらって、と

で、これは帰宅後の話なのだが、この「石」の字、どれも点が打ってあるのが気になって調べてみたところ、なんとデイリーポータルZに小堀友樹さんが取材している記事があるではないか!

小堀さんはまさにこの「米谷石材」をたずねてインタビューしている。これがすごく不思議でいい記事なのでぜひ!なんだか色々とつながるなー。

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この「石」の字に点が入っている謎に迫る記事です
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ご褒美のような温泉にたどり着く

目当ての石材店看板を堪能できたのはいいが、体力はもうほとんど残っていない。すごく暑くて、ずっと歩いてきて、疲れ果ててしまった。歩いてきた道を大和上市駅まで引き返すバスがあるようなので、それに乗ってとりあえず駅まで戻ろうと思っていたところ……

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「喫茶とお食事 里」という店が

ここ、前回、大和上市駅前の案内所で「個人店なのにファミレスみたいな面白いお店があって」と教わったところなのだ。この日はあいにくの臨時休業中だったのだが、案内所ではそれと一緒に「その近くに温泉があって」と教わっていた。ということは!

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ジャーン!
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最高の看板

中荘温泉という温泉があって、吉野町立の老人福祉センターを兼ねた建物なのだが、一般の利用も可能なのだそう。ありがたい。

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新しい感じの建物である

冷たいシャワーを浴び、温泉に浸かり、それを何度も繰り返していくうちにどんどん体力が回復していった。

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いただいたパンフレットより。こんな風に綺麗な温泉でした

館内には無料で使用できるマッサージチェアがあったり、ランニングマシンなどのトレーニング用具もあり。さすがにトレーニングはしなかったが、しっかり休ませてもらえた。

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すっかり元気になれるエリア

石の導きで素晴らしい場所にたどり着いたなー!これは、ご褒美だ。ちなみにこの施設、レストランも併設されているのだが、どうやらそのレストランはシェフが日替わり制になっていて、地元の60歳以上の方々が日を決めて料理を振る舞っているらしい。

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素晴らしい試みだな。この日は残念ながらレストランはお休みの日だった

すぐ近くの「喫茶とお食事 里」にも来たいし、どんどん課題が増えていくな。

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また来ます、大和上市!

温泉を出て、近くのバス停の時刻表を見ると、大和上市駅行きのバスが来るまでまだ時間があった。ちょっと歩くとまた石材店の新たなオブジェコーナーが見つかった。

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こっちもまた色々あるなー!
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ガラス張りの小屋の中に置かれた様々なオブジェ
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「STONEs」って、バンドみたいだ

温泉の近くから吉野川の川べりに出られるようになっていたのでそっちへも歩いてみる。

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素晴らしい景色だ。ストーンズだらけ
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木もいいけど石も最高だよな

いい時間を過ごし、やってきたバスに乗って駅へと戻る。駅前を眺めると、「ひかり食堂」も「だるまや」もすでにのれんをしまっていた。

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今日も日が暮れていく
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今度は「だるまや」でもゆっくり飲みたいな

特急電車の車内は涼しくて快適。乗車前に近所の酒屋で発泡酒を買っておいたので文句なし。

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今回もいい旅ができました

帰り道、ヨッピーさんに「ひかり食堂の巻き寿司、美味しかったです!」みたいな報告をした際、また他のおすすめ店をたくさん教わった。大和上市の課題、どんどん増えて嬉しい限りだ。

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帰宅して食べた柿の葉寿司も、とても美味しかった

近いうちにまた行きます!

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