茶色主体の地味和食だって、もっとキラキラしてみたいんじゃないだろうか。
Netflixで配信されてる料理番組「パリスとお料理」がめちゃくちゃ面白い。
最強セレブかつ料理初心者のパリス・ヒルトンが、料理を作ってゲストをもてなすという内容なんだけど…レースの手袋をつけたまま調理するわ、フライ返しなどの器具がスワロフスキー鬼盛り仕様だわと、隅から隅までファビュラス!
で、そんなパリス料理で特に気になったのが、料理をキラキラさせる「食用グリッター」だ。あれ、使ってみたいなー。
料理をきらめかせる食用グリッターとはなにか
番組内では、パリスが雑ながらもがんばって調理してる。それこそヒラヒラしたドレスに肉汁とかホイップクリームが跳ね飛ぶのをまったく気にせず一生懸命だ。
それだけ頑張って作ったからなのか、彼女は出来上がった料理をそれだけで終わらせない。必ずと言っていいほど、キラキラに飾り付けちゃうのである。
中でもすごい頻度で活躍するのが、食用グリッター。つまり食べられるキラキラのラメパウダーなんだけど、これをデザートや七面鳥の丸焼きに親の仇のようにぶっかけるのだ。
このシーンがくると、いつも妻と二人で「キター!」と叫んでしまうほどにテンションが上がる。ほとんど必殺技扱い。
正直、料理番組としてはヒドいが、見るとめちゃくちゃ元気が出る「パリスとお料理」。ちなみに右下隅がキラキラ化した七面鳥。
あのキラキラの粉、高級チョコなんかの上に散らしてあるのはなんとなく見たことあるんだけど、そうか、料理になんでもかけちゃっていいのか!という気付き。
そう思うと俄然、使ってみたくなる。なんならアメリカから取り寄せちゃうかな、とすら考えていたんだけど、探してみたら、なんと国産の食用グリッターなんてのまであるじゃないすか。
キラキラの食用グリッター。小瓶は1個500円前後なので、シャレで買ってもまぁいいか、ぐらい。
作ってるのは食用金箔を作ってるメーカーさんで、なるほど、高級そうな和食に金箔とか乗ってるの、あるよな。方向性としてはパリスも和食もそんなに変わらないんじゃないか。
しかも0.2g入りの小瓶なら、そんなに高価でもない。
成分は90%以上がゼインという“トウモロコシ由来の非水溶性タンパク質”で、これは錠剤のコーティングや髪のツヤ出しコート剤にも使われている。これに食用色素や銀箔で色と輝きをプラスしたものが、食用グリッターの正体のようだ。
粉と言うより、砕いた銀箔の表面に色素で色を付けた的な感じ?光を受けて超キラキラ。
ちょこっと指に乗せてみると、うーん、ウットリするような輝きが。なるほど、セレブなお料理(パリス基準)に使いたくなる気持ちも分かるような。だって、こんなにキラキラだし。
もしかしてこれを使えば、世界的に見てもかなり地味めなルックスの和食も、ファビュラスフードに生まれ変わるのではないだろうか。
そもそも先ほどすでに「金箔の乗った和食とパリス、方向性いっしょ」って気付いちゃったし。ありだろう絶対。
かくしてファビュラス和食は輝いた
さて、どんな和食がキラ映えするだろうか。
今回入手した食用グリッターはピンク・青・緑の3色なので、まずこれに合う食材が望ましいだろう。そしてキラキラの輝きを活かすためには、ベースが黒っぽいか、逆に白でもいいかもしれない。
そういう基準で準備したのが、下記のメニューである。
品数は多いが、身も蓋もなくまとめれば「地味な和食の集合体」だ。
味とか組み合わせ的なものはほぼ考えず、グリッターをかけた際に輝きが映えそうか?だけで選んだので、かなりめちゃくちゃな品揃えだ。
・ほうれん草のごま和え
・筑前煮
・ちくわ天
・刺身盛り合わせ(まぐろ・鯛・サーモン)
・冷や奴
・味噌汁
・ごはん
さらには、これは合うかなーあれも映えるかなー、とはしゃいで用意したせいで、一汁五菜という大ボリューム。土井善晴先生なら「そんなにがんばらんでもよろしいわ」と断言する分量だろう。
そもそも土井先生が食用グリッターをどう思うかという問題もあろうが。
金属製のスプーンは静電気でグリッターが付着するので、竹串の先を削ったものを使うとラク(食用グリッターまめ知識)
で、この準備したお膳に、いよいよグリッターをバッサーといっちゃうのである。
さあ、ファビュラス神パリスの魂よ、今こそわれに降臨せよ!
写真だと伝わりづらいかもだが、見慣れた冷や奴がキラキラしてる違和感はすごい。
……うっわー。これは「やっちゃった」感がある。確実になにか一線を踏み越えたぞ。
しかしそれ以上に、俺の心の奥に潜む野生のセレブ魂が「うーん、いいわ、ファビュラスよ」と叫ぶのも聞こえる。
ならば、よし。
バッサー!バッサー!とぶっかけて、ゴージャスでシャイニーでファビュラスな和食の完成だ。
見よ、これが新世代のファビュラス和食だ!
夕食に出ると嬉しい刺し盛りも、よりいっそう華やかに。
地味和食の代表格こと筑前煮だって輝いている。今のきみたち、すっごくシャイニー!
ほうれん草のごま和え、意外と赤グリッターが映えなかったので、アラザン(版コーティングされた砂糖粒)を足してクリスマスっぽく。
改めて見ると、青グリッターがかなりすごい仕事をしているのが分かる。
青くキラキラしたマグロとか、普通に見かけることはないだろう。筑前煮のコンニャクの黒にも、青キラキラがとても映える。
これを「やだ、ステキ!」と言いきるには多少の度胸がいるかもしれない。だがもし可能なら、そこは和食の新たな道のひとつとして捉えてみてほしい。
食用グリッターは軽くて水に浮くので、このようにキラキラドリンク(味噌汁)だって作れるのだ。
よく炊きたてごはんに対して「粒が輝いてる」なんて言うが、真の輝きってこういうものだろう。
あと、個人的にやったみたかったのが、ちくわ天。
ここに青のり代わりに緑のグリッターをかけることで、輝くちくわ天…「シャイニー磯辺揚げ」になるのではないか、と思ったのだ。
(青のりが映える料理としてお好み焼きとも迷ったが、最終的にカロリーと糖質の面で日和った)
史上最キラの磯辺揚げが爆誕!
わー、シャイニー磯辺揚げ、想像通りの荒ぶるファビュラスっぷり。
スーパーのお総菜なら100円ほどのちくわ磯辺揚げが、一気に250円ぐらいのセレブさに跳ね上がったのではないか。微妙な数字だけど、正直なとこで。
食事後半ともなると、醤油までキラキラしてくるぞ!
ちなみに食用グリッター自体は完全に無味無臭なので、味はまったく変わらずお馴染みのやつだ。
普通に美味くて、それに加えて「キラキラできれーい」という楽しみがあるので、トータルとしてはプラス収支と言えるはず。
あと、最初にグリッターかけたときは確かに「やっちゃった…」と思ったんだけど、後半は見知った食事がどんどんキラキラ輝いていくのが、もう楽しくて楽しくて。
なにかこう、カラスがガラスとか輝くものを集めちゃうような、生物の本能的なキラキラへの渇望が満たされていく感じ。
ファビュラスな食事をいただきつつ、パリスがキラキラなデザートを作るのを眺める。俺たちシャイニーメイトだね、パリス。
このキラキラ感の楽しさって、なんなんだろう。
キラキラを追加することで、視覚ノイズが増える→S/N比が悪くなって全体の解像性が低下→ぼんやりとした夢夢しい雰囲気になってウットリ、という流れなんだろうか。
食用グリッター、自作もできるらしいぞ
この時点でわりと満足しちゃったんだけど、実はあとから「食用グリッターは自作もできるぞ」という情報を見つけてしまった。
見つけちゃったら、そりゃ作らないわけにもいくまい。
当然ながら、ゼインだの銀箔だの、入手や加工が面倒くさそうなものは抜き。手軽そうなレシピで試してみよう。
以前の記事で使ったゲル化剤を再利用。あれ以来、使い途に困っていたから。
使うのは、スーパーで売ってる食用色素と、ゲル化剤。
ゲル化剤は、以前に「チューブ薬味の自由さに挑む」記事で大袋を購入してから持て余していた、誤嚥防止用のとろみ剤である。これもわりと簡単に買えるので大丈夫。
分量は、ゲル化剤と水をそれぞれ大さじ1ずつ。あと食用色素をほんの少量(少量ですごい色が付く)入れて、しっかり攪拌する。
この時はゲル化剤と水を混ぜてから色素を入れたので、やや色ムラがある。色素は水より先に入れておくのが正解。
なんかスライムみたいなぶんにょりした物体になったら、それをシリコンベラなどでクッキングシートなどにできるだけ薄く塗り広げる。
あとはオーブンで130度20分ぐらい加熱して乾燥させれば、わりとパールっぽい光沢のパリッとしたベースが焼き上がり。
できるだけ薄く均等になるよう、ヘラで塗り広げる。
オーブンで乾燥させると、おっ、なかなかキラキラ感あるんじゃないか、これ。
あとは適度に砕いてからコーヒーミルで細かくすれば、手作り食用グリッターの完成だ。
残念ながら、銀箔などの光沢素材を使ってないので、キラキラした輝きは既製品からだいぶ落ちる。
とはいえ手軽にパリス気分を味わってみたいというなら、これでも充分だと思う。
粉砕すると、キラキラした粒になる。あまり細かくしすぎると輝きが弱くなるので、なんならすり鉢か何かで加減しながら砕く方がいいかも。
ひとつ注意しておきたいのは、この自作食用グリッターは、水気にめちゃ弱いということ。
水分がつくと即効でゲル化剤が元のねっとりした状態に戻ってしまうので、乾いたお菓子とかその辺りに使うのがいいだろう。
いつものおやつも手軽に輝くよ!
ふりかけるだけで、ポテチやサラダせんべいがファビュラス菓子(もしくは、毒っぽい菓子)に早変わりだ。
ぜひセレブリティなティータイムに供してみてほしい。
今回なかなかにセレブなお食事を楽しんだわけだけど、最後にひとつ大きな落とし穴があったことも述べておきたい。というか、大事な注意事項。
ファビュラス和食を食べたあとは、必ずすぐに歯を磨くこと、だ。
でないと、ほら、焼きそばとか食べたあとに青のりが、あの、べったりと。歯に。
あれのキラキラバージョンが発生すると思ってもらえれば、分かるだろう。
(しかも、やたらと残って取れにくい)
おそらくパリスも、収録が終わった瞬間に歯磨きしてたんだろうな。でないと、かなり困ったことになってたはずだ。
いや、もしかしてセレブは歯もキラキラでいいのかな。やはりファビュラス道は奥が深い。
妻に「歯、すごいことなってんぞ」と指摘されて気が付いた。