再来
数日後にまた来た。
この日はカメラマンとしての撮影仕事が朝から夕方まで入っていて、昼ごはんを食べる時間もなく働いたのだ。おかげで冬眠から覚めたばかりのクマくらいのおなかの空きようである。
そういう意味で、今日こそがドラゴンにんにくチャーハンを食べるべき日なのではないだろうか。これまでの人生はすべてこの瞬間につながっていたのだ。
レジ横の本棚にベルセルク(まんが)があったので読みながら待っていたところ、一冊読み終えるかどうかといったところで厨房からなにやら狂暴な香りが近づいてきた。
やつが来たのである。
ドラゴンにんにくチャーハン
ソロ写真だと比較対象がないためにボリューム感が伝わりにくいと思うが、ドラゴンにんにくチャーハンは、ただではおかないぞ、という量だった。そしてなによりにんにくの香りがやばい。
皿の半径5メートルくらいがにんにく畑である。いや、にんにく畑でもこんなににんにくを感じることはないかもしれない。よくぞここまで香りを引き出せたなと思う。
その思いは一口食べたとたん確信に変わる。
ドラゴンにんにくチャーハンの勝ち
一口食べて負けを認めた。
すごい、ドラゴンにんにくチャーハン、すごい。にんにくの香りに押されていたが、一口食べた瞬間に自分自身もドラゴンにんにくチャーハンの一部と化した。
最近よく「優勝」という言葉を耳にするが、それは何と比べての優勝なのかね、とつねづね思っていたのだ。しかし、ドラゴンにんにくチャーハンは優勝である。何と比べるわけではなく優勝。比べる対象が他にないから優勝なのである。
味についても少しだけ書いておこう。具は玉子、ニラ、チャーシュー、野菜、そしてにんにく。
前回食べた洛神チャーハン同様、パラパラ系のチャーハンだが、ピリ辛に負けないよう、旨味のレベルが数段上である。そしてにんにくの香りがこの旨味にまったく負けていない。どれだけ食べても飽きがこない奥行きがある。
半分くらい夢中で食べると、いつのまにか額から汗が落ちていた。それを拭きながらスープに手を付ける。
玉子スープはほんのりとした塩味で、ドラゴンにんにくチャーハンを食べるお客を優しく応援してくれていた。
最強のチャーハンが食べたい人へ
ドラゴンにんにくチャーハンは最強だった。恐竜の中で最強なのがティラノサウルスならば、チャーハンの中で最強なのはドラゴンにんにくチャーハンだろう。
疲れとか悩みとか、いろんなことを全部忘れられるチャーハンだと思います。このあと家に帰ってすぐ寝ました。
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