新しいおもちゃは心が躍る
知っている人も多いと思いますが一応、これが流行りのビールだ。この缶は特殊な構造をしていて、プルタブを起こすと缶の上部が丸ごと外れる仕組みになっている。
もし普通の缶ビールをこんなふうに楽しみたいと思えば、カンキリ的なもので缶の上部を丸ごと切り取ってしまえばいい。理屈としては誰でも考えつきそうなアイデアだけど、それをちゃんとカタチにする人がいるんだから、えらいものです。
編集部・石川さんから、こんなガジェットがありますが試してみませんかとお話をいただいときは二つ返事だった。そんな楽しそうなもの、お金払ってでもやります。やらせてください!
さてそんな経緯で我が家に届いたDRAFT TOP。せっかくビールを楽しくおいしく遊ぶおもちゃを初めて試すのだから、これはとりあえず「外」だなと直感した。
きっとメーカーとしては、抜けるような青空と照りつける太陽の下でわいわい楽しんでほしいという気持ちで開発されたことと思う。面目ない。せめてもの礼儀として、ビールのほうは全力でトロピカルなやつを選んでおきましたので。
ビールの黄金色がうれしい
使い方はシンプルで、ざっくりいえば「乗せる・捻る・開ける」の3ステップだ。
ここからは黒いハンドルはずっと握り込んでおく必要がある。目一杯の力はいらないが、グレープフルーツを絞るときくらいの握力を込める。
軽くひと捻りするとバシュッと炭酸ガスの抜ける景気のいい音がした。この時点ではまだふたの一点に穴が空いただけなので手を緩めず、そのまま360°ほどツイストを続けよう。
最後にコキンと小さな手ごたえがあるので、ハンドルをリリースして缶から持ち上げる。
すごい。これは楽しい。実に爽快な気分だ。フルオープンになってビールの黄金色が覗いた瞬間、空気がぱぁーっと華やぎ、アロハの風が吹き抜けるのを感じた。心なしか缶ビールの周囲の色温度がじんわり上がったようにさえ見える。
普段は意識していなかったけど、外で缶ビール飲むときって、購入してから飲みきるまで一度もビールの姿を拝まずに済んでしまう。それってさみしいことだ。
わたし決めた。これからは極力、外では缶のふたはパッカーンと全開でビールをいただくことにする。まあ常にDRAFT TOPを持ち歩くほどのマメさはないけど、すくなくともピクニックやバーベキューには必携だ。
ちなみに。このガジェットは使い方も機能もまさに缶切りなんだけど、実際にはふたを「切り落とす」わけではなく、缶の上部のパーツを「外す」よう設計されているのだそう。そのため飲み口にはもちろんギザギザはなく、唇を傷つけることもない。普通の缶切りでは真似しちゃだめだ。
香りが「ぶわわーん!」と来る
さて編集部から送られてきたDRAFT TOPは2タイプであった。いろいろ細かな違いはあるものの、ざっくり言えばさっきのがアメリカ規格版、今から紹介するのが日本規格版ということになる。
実は日本とアメリカでは缶の直径サイズが微妙に異なるため、アメリカ規格版のDRAFT TOPでは日本の缶ビールを開けることができなかった。日本のビールファンの熱い要望を受けて…かどうかはわからないけど、後発で日本規格対応タイプも開発されたのだ。ありがとう、企業努力。
アメリカ版と日本版は、使い方は基本的に同じ。「乗せる・捻る・開ける」だ。
この状態で、ふたと缶は分離完了している。最後にちょっと一手間で、ふたを自分の手で外さないといけない。プルタブをつまんでひっぱり上げてもいいし、そのままぐいっと缶の中に押し込んで底に沈めてもいい。
先ほどはふた全開体験に浮かれて、肝心のビールの味わいをお伝えできていなかったので、今度はこんな比較実験を用意してみました。
このビールはサッポロビールのSORACHI1984といいまして、特別なホップがふんだんに使われ、弾けるような果物香が特徴です。
普通の缶から飲んでも抜群にうまいのは間違いない。しかしふたが全開になっていると、飲むときに鼻が缶のなかに入るため、香りの感じられ方がけっこう違う。擬音でいうと「ふわーん」と「ぶわわーん!」くらい違う。
結論としては、ふた全開の缶ビールは味わいが変わる。特に香りを楽しむビールには、かなりおすすめだ。
持っててよかったかっこいい缶
ここからは番外編となるが、DRAFT TOPで上部を切り取った缶ビールは、小物入れというか、ペン立てとしても使えて楽しい。
おれはアメリカを旅するときは、帰国時にスーツケースいっぱいに現地のクラフトビールを買ってお土産にするのが好きで、中でもデザインの気に入った缶はなんとなく捨てることができずに保管していた。
何に使う訳でもなく、無為にクローゼットの片隅を占拠していたガラクタたちだが、とっておいてよかった。
こうして空き缶のふたを全開にしてやれば、