特集 2020年1月21日

ダウンジャケットに花を咲かせた

ポエムを添えたくなる良さ。

ダウンジャケットのモコモコした部分が畑の畝に見えた。ただ「似てるなー」という理由だけで二つをくっつけてみた。つまりダウンジャケットに花を植えてみたのだ。

そうしたらなんだか良いオブジェができた。そしてそれを着たらまた別の、なんだか分からない良い感じになりました。そういうご報告です。

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

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何の関係もない者どうしが似ていたらそれは奇跡ではないか

1月になり、いよいよ寒くなってきてダウンジャケットを着る方をよく見るようになった。ダウンジャケットを見て思うことは、畑の畝(うね)みたいだなー、ということだ。

ダウンジャケットのあのモコモコした部分が、作物を植える土の盛り上がった部分みたいなのだ。さらにダウンって黒くてツヤツヤした素材のものがけっこうあるけど、あれが畝にかぶせる黒いビニールに見える。

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つまり、こういう黒くてツヤツヤしたダウンジャケットが、(写真:写真AC
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こういう風に見える。(写真:写真AC

この黒いビニール、作物によく日を当たるために、そして雑草が生えないようにするためにこうして畝にかぶせているらしい。マルチシートというそうだ。もちろんダウンジャケットとは何の関係もない。

何の関係もない者どうしが似ていたらそれは奇跡ではないか。予備校の合宿で、出身校も部活も得意科目も違うあいつが、自分の好きな深夜ラジオを聴いているところを見つけたらどうしたって気になるだろう。そういう運命的な出会いを感じる。

この奇跡に対する最大の敬意とは何か。勇気を出してラジオの話をしてみることだ。つまりお互いの共通点に寄り添うこと。ダウンジャケットの事例に関してはダウンの盛り上がった部分に草花を植えることになるだろう。よし、やろう。ダウンジャケットに花を植えよう。

メッセージは無いのに「メッセージ性」だけが顔を出す

ダウンジャケットと花(造花)を持って公園に来た。

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黒いダウンジャケット。
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やはり畝に見える。

より畝に見えるように、前面のモコモコにだけ綿を足してよりモコモコにしておいた。モコモコの部分がパンッパンになるとダウンに生命力が与えられた感じがする。生命。生命を育むものといえば畑。畑の作物が育つ部分が畝。そう、つながっている。

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畝に切り込みを入れてまず一輪植えてみる。
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おお…
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メッセージがありそうな何か、に見える。
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写真を撮ってくれていた藤原さんも「アートっていう感じがしますね」と言っていた。

メッセージがありそうな何かに見えるが特にメッセージはない。こんなことあるのか。状況が整理しきれないが、畝みたいにしたいのでもっとたくさん植えてみよう。

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意味のない、なんだか良いものができる

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ダウンジャケットに花を植えていく。
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ダウンジャケット meets 命。
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公園のカラスたちが騒ぎ始める。禁忌に触れたのか。
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遠くから見守る人も現れた。

周囲がざわざわしてきたがまだ大丈夫だ。前に進もう。

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もっと葉っぱがあった方がいいんじゃないかという藤原さんの提案で、グッとリアルになる。

造花を切って、ダウンに穴を開けて、草花を植える、を繰り返した。綿を足していたおかげでサクサクささった。造花はダイソーで買ったのだけど、安くて色々買えたしどれもよくできているので、植える草花を選ぶのが楽しかった。

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できた!

ダウンジャケットと畑の畝、その間の存在。

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なんか良いな。絵になる。

「命」に関してなにか言ってそうなアートができた(言ってないのだけど)。なんだかうっとり見てしまう。見栄えが良い。

花単体の力でもダウン単体の力でもない。二つが組み合わさった時に発揮される良さがあった。

ダウンジャケットは鉢として優秀

ダウンジャケットに花が植わっているのがなんか良い。見栄え重視でさらに過剰にやってみた。

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これは家でやりました。
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もう畝とか関係ないんだけど、なんかおしゃれなオブジェになった。
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めちゃくちゃ花が生えてるんだけど形が人っぽくて迫力がある。

やはり良いものになる。これが飾ってあるカフェは高いコーヒーを出しそうだ。

ジャケットと畝(畝から生える草花)、全然違うものなのに「モコモコしている」という1点だけで結びついている、そのギャップと馴染み方のバランスがいいのだ。

そういう例がマーケティングの世界ではたくさんありそうだけど、特に具体的なことが思いつかないので、そういうことってありそうだよねーという感じに留めておこう。そういうことってありそうですよね。

分かったこと:ダウンジャケットに花を植えるとなんか良い感じになる。

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【余談】着ると分からなくなる

足早に結論めいたものを出したが、そこまでに色々やってよく分からなくなっていた。何かの役に立つかもしれないので、よく分からなくなっている様子も余談として書いておきます。

公園に戻ろう。花をたくさん植えたところからである。

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まず、これは良いものだ。それは間違いない。
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そこから、ジャケットなんだし着てみようということになる。
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着た。花がたくさんついたジャケットを着た人だ。
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ダウンがパンパンで、花が生えていてなんかおもしろい。

おもしろい。おもしろいのだが、最初に花を一輪さした時のキュンとした気持ちとは別の方向に走っている。

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腕にも切り込みを入れて、ツタの造花を植えた。

植えた部分がムズムズした。身体が拡張している。

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そして大きな花を持ってみる。
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笑う。
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手首からたくさん生やして能力者みたいにする。
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頭上でカラス達が騒いでいる。

さっきから遠くで見物している人達が親指を立てて「good!」みたいなジェスチャーをしてくれる。分からなくなってはいるが、これはこれで良いものに見えるみたいだ。良かった。僕も親指をグッとやって返事をした。

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着た状態で畝になってみる。
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なんだか分からないが花は美しい。
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草越しに撮る。
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花束みたいに持つ。

やはり分からなくなっている。ダウンに花を植えてみようと言って始めたのに、いつの間に手に持って写真を撮っている。

何がしたかったんだっけな…、と考えていたら藤原さんが後ずさりながら写真を撮っていた。

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「あ、終わりのやつだ」と思った。ここから先へ進んでも不毛な大地が広がるばかりである。気がつくともうカラスも鳴いていなかったし、遠くで見ていた人たちもいなかった。みんなどこに行っちゃったんだ。

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いかんいかん、一旦最初の発想に戻って考えよう、となりできたのがこちらでした。

以上、余談でした。最後にできたなんか良い感じのオブジェは、今もこの状態で物干しに飾ってある。

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日光を受ける草花の色がとてもきれいです。

ダイソーが楽しかった

使う造花は大きなダイソーで買った。一角が全部造花売り場で、選んでいてすごく楽しかった。

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花はいいですね。
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