れんさい企画「小出し記事」 2020年8月5日

富士そばは街ごとに味が違うらしい その1

「富士そばは、街ごとに味が違う」

こんな話を聞いた。

チェーン店でそんなことが。気になったので、いろいろな店舗をめぐって調べることにした。

私が各地の富士そばを歩いて街に想いを馳せた、その記録である。

編集部よりあらすじ:
5回連載の記事枠を担当することになったライター谷頭は以前から気になっていた富士そばの味の違いを確かめることに決めた。手始めに訪れたのは五反田そして自由が丘。味はどうだ。

1997年生まれ。大学院で教育学を勉強しつつ、チェーン店やテーマパーク、街の噂について書いてます。教育関係の記事についても書きたいと思っているが今まで書いてきた記事との接点が見つからなくて途方に暮れている。

前の記事:ドンキから街を想う

> 個人サイト Note

食べ比べてみよう

調べてみたら、富士そばは関東近郊圏を中心に130店舗ほどがあるらしい。海外にも店舗がある。そんな規模のチェーンで、街ごとに味が違う、とはどういうことだろう。

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だったら食べ比べるしかない

やってきたのは、富士そば五反田店。

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都内有数の歓楽街、五反田遊楽街の近くにある
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食べ比べるのは、かけそば。出汁の味もそばの味もわかる、最もオーソドックスなメニューだからだ

出汁が体に染みる。夜に食べたのだが、この出汁の濃さが、疲れた体にいい。

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周りを見渡せば、仕事帰りのサラリーマンに、遊楽街で働いていると思しき人の姿もちらほら

夜のかけそばは、きっとどんな人の五臓六腑にも染みている。
ああ、だからこの出汁の濃さなのか、と一人納得する。

そばを食べていると聞こえてくるのが、おなじみの演歌。何の曲だと思って耳を傾ける。

藤圭子の「圭子の夢は夜開く」だった。

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静かな店内に響く藤圭子の声

夜の五反田によく似合う。歌詞が耳に入る。

「夜咲くネオンは 嘘の花 嘘を肴に酒をくみゃ 夢は夜開く」

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店の外で、遊楽街のネオンがきらきら輝いている

嘘を肴に酒を飲む。

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富士そば五反田店では、アルコールの提供も。嘘を肴に飲むためだ

そばの出汁が、酒のアテになる。ここは、五反田にいる人びとの心を癒してくれる、オアシスだ。

五反田の夜に花開く一杯のかけそばは、五反田の人々の姿を映し出している。

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たしかに違う

次の日、私はたまたま自由が丘にいた。せっかくだから富士そばに行こう。食べ比べよう。

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富士そば自由が丘店

都内屈指のお洒落タウン。住みたい街ランキング上位の常連。
ある種のいかがわしさに包まれた五反田とは、対照的だ。

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自由が丘のかけそば。五反田と違うのか

五反田と比べると出汁があっさりしている。店内は圧倒的に女性客が多い。もしや、女性客に合わせて、出汁の濃さをあっさりめにしているのか?

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それと、演歌がほとんど聞こえない

流れているには流れているが、ずいぶん音量が小さい。もしかしたら、これも女性客の多さに配慮してのことかもしれない。
演歌が流れていないだけで、かけそばの味もあっさりに感じるから不思議だ。

たしかに違う。五反田と、自由が丘では、かけそばの味が違うのだ。たぶんそれは、出汁の濃さと演歌の有無だろう。そしてそれらは、2つの街の雰囲気を映し出している。

かけそばとの対話

今まで富士そばの街ごとの差なんて、ほとんど意識したことがなかった。でも、富士そばを全身で、五感で、じっくり感じると、ずいぶん違いがある。

富士そばの一杯のかけそばは、街を写す鏡なのかもしれない。

どんぶりの中には、どんな街の姿が映っているのだろうか。
富士そばとの対話は始まったばかりだ。


今回の街

五反田店
・出汁が濃い(気がした)
・演歌の音量が大きい
・総じて、歓楽街向けなのではないか

自由が丘店
・出汁はあっさり
・女性客が多め
・演歌の音量が小さい
・自由が丘という街の特性上そうなっている?

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