失踪じゃなくてサボってるだけか
バスは岬までの直行便ではなく、途中の営業所で乗り換え。営業所の近くのイオンは日本ではないようなだだっ広さだった。
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バスの時間までマクドナルドに入る。おれ、失踪中!と興奮気味に自分撮りをしてみたが、サボっているサラリーマンにしか見えなかった。
「にしか見えない」ではなくてまさにサボっているサラリーマンそのものであった。サボりも失踪も同じだと、今回の企画が「日帰りサボり」になってしまって新奇性に乏しいので失踪で通すことにする。
マクドナルドで思い出したが、掛川には10年以上前に来たことがあった。前に働いていた会社の社員旅行だ。僕はそのとき社員旅行の会計係で、毎月、全社員から積立金3000円を現金で集めていた。お金は銀行に預けないといけないのだが、銀行に行くのが面倒で引き出しに入れておいた。あるとき数えてみたら引き出しに100万以上のお金が入っていて、あの時は焦った。引き出しがお札くさいのだ。粘土のような独特の油臭さがした。
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スーツだとどこでも仕事っぽい
海に来てみたものの、仕事できている風の雰囲気は否めない。不動産業、旅行代理店、ホテルに製氷機をおさめている会社の営業、いくらでも思いつく。
スーツはどんなところにでも馴染んでしまう。その適応能力の高さに驚く。
岩場ならどうか。
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岩場にはさすがにスーツは似合わない(ちょっと密輸っぽいけど)。1組のカップルがいたのだが、スーツの男が防波堤を乗り越えてやってきたらいなくなってしまった。
しかしこの時点でまだ16時である。会社に行かないと1日が長い。
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海を静かに眺めて、将来などについて思いをはせようかと思ったが1分もじっとしていられなかった。
・でかい波が来そうで落ち着かない
・さっきよりも潮が満ちてきた
・フナムシ
・顔が潮でべったべた
・強い風にずっと当たるだけで疲れる
・革靴は岩場を歩きにくい
快適さで言えば断然オフィスだ。こういう環境を避けるために風雨をしのげる建物を造ったんだっけ。祖先は。次回から失踪はまんが喫茶にしよう。
物語で失踪とか駆け落ちの労苦みたいなものが描かれることがあるが、これがそれかと思うとひとまわりしてまた楽しい気分になった。
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