すごいメイク技術!という写真がインターネットでよく見られる。これはビューティープラスというアプリによるもの
写真を並べると意味が出てくる
メイクのビフォア・アフター写真は「詐欺メイク」で画像検索してもらったほうが話が早いかもしれない。主に女性のノーメイクの写真とガチガチのメイク後の写真が並んでいる。
それをむりやり筆者がやったのが上のようなものである。メイク技術はないのでここではビューティープラスというアプリを使っている。お肌がつるつるですごい変わりようである。
こういったすごい変わりようが「メイクのちから」の一言で許されるのだ。それならいっそのこと別人を並べてみたらどうなるだろう。
アフター写真をデイリーポータルZ編集部古賀さんのビューティープラス加工写真に変えたものがこちらである。
「メイクのちからですごい変わりよう!」全く別人なのにそう見えてもくる。「見えない」という方は「詐欺メイク」で画像検索して目を慣らしてからもう一回見てください
別人でもメイク後のように見えてくる
いやいや、見えないよ、という方の気持ちもわかる。しかし「詐欺メイク」などネット上にあるメイク写真のビフォア・アフターのギャップがそもそもすごすぎる。もはや別人くらいどうってことない。これも「もしかしたらあるかもな…」程度のリアリティがあるんじゃないか。
人にはいいとして、この手法はどこまで有効なのだろうか。
今のところメイクのビフォア・アフター写真風に見せる手法とは「アプリで加工した同じような構図の写真を並べる」ことである。
たとえばこれを人でなく物に適用したらどうなるのだろうか。
メイクですごい変わりよう! こんな真っ黒な車が救急車にドレスアップ!? ……見えるだろうか?
物でもビフォア・アフター写真になる
その辺に駐車してあった黒いバンを救急車と並べてみた。メイクのちからでまるで別人のように返信した黒いバン。とまで見えなくても、車の改造ビフォア・アフター写真としても見えてくる。
物においてもメイクビフォア・アフター写真はある程度有効のようだがもう少し見ていこう
「え、こんな低木の植え込みが…メイクのちからでこんなに大きく!?」となるだろうか。さっきから目の前で5円玉を揺らしているのだがまだそうは見えない。そもそも木はメイクしないしな、という視点は抜きにしてもだ
低木ではなくブロッコリーにしてみたものがこちらだ。ブロッコリーが凄腕のメイクによって大木に…み、見えるかもしれない。信心が強ければ見えるかもしれない。結局のところ信じるか否か、だ。ブロッコリーを信じよう。
つまようじもメイクの力にかかればガードポールに…!? 見え、いや、そもそも形が少し違うし大きさが違う。だけどここを「見える」と言いきれば人間の度量のようなものが大きくなる気がするのだ。見える! そしてガードポールがこんなに美しいことある!?
今度は食材にしてみた。台所にあった食材を適当に集めて撮ったものとお店で食べたものだ。どうだろう。メイクのちからで……ああ、だめだ、これはやっぱり料理人のちからだ。イッコーさんじゃなくて陳建一の方じゃないか
この辺から道を踏み外していったのだが、これはもう「原料」であるし「建材」である。全くメイクのちからに見えなかった。私は信仰の力を失いました、パードレ!
おわかりだろうか。「docomoの携帯電話の利益でドコモタワーが建っている」というどちらかというとメイクというより「風刺」が効いた一枚である。メイクのちからには全然見えなかった。
たまにベンチにこういう注意書きがされている。使用済みカードで作るなんてすごい!と思っていたが…
これを実際にビフォア・アフター写真にしてみた。言わんとしてることはわかるけれどもこれはメイクではなくて「何からできてるでしょうか!?」的なクイズ写真だ。メイクのちからではなく工業の妙である。
ちゃんとメイクをしよう
いつのまにかただの原料当てクイズになってしまっていた。これではいけない。ちゃんとメイクをしなければ。
そうだ、メイクの技術がないとはいっても、人間でなく物であればバレないのではないか。その辺のものにメイクをしてみてビフォア・アフター写真を撮ってみたらどうだろう。
そこで道にあった段差スロープと同じものの新品を買ってきた。
道にあった薄汚れた段差スロープ。近所のホームセンターに同じものがないかと物色しにいったら…
やっぱりあった! この辺の家にある段差スロープはあのホームセンターで買ってきてるものが多いんだ。
百均でメイク道具を買ってきた。一度記事でメイクを習ったことがある。ざっとだけどおれはがんばる! この段差スロープをかわいくしてみせる!
アイライナーで星をふちどっていく。輪郭がはっきりしてきた。ああ、きれいだ。信じろ! 段差よ、おれを信じろ!
緑のアイシャドウを星のふちから広げてトップにホワイトのハイライトを入れる。スラムにいる花売りの女の子を社交界にデビューさせる『マイ・フェア・レディ』の気持ち、これか! なんて反応のないサクセスストーリーなんだ……
そしてチークで子供らしさやかわいさを演出。なんてこった! 段差スロープが今かわいさを宿している…!! 赤文字系は無理でも青文字系の個性的な読者モデルとして段差スロープ出るんじゃないか
仕上げにリップグロスで艶を出してセクシーさを… ああ、赤文字系もいけるよ。立派になったなあ…
え!? これがあの地味だった段差スロープ!?
かわいい! モデルさんじゃないの!? メイクのちからは偉大!
段差スロープかわいい…
ビフォアとアフター風に並べてみる。人間であればメイクのちからのように見えたりもするが、物となってはほとんど見えない。しかしそこは実際にメイクをすることが可能だったのだ。
かわいくするための加工アプリもそうだ。化粧やアプリの「かわいい」の要素を抽出できれば段差スロープでさえもかわいくなれることがわかった。
かといって段差スロープに求婚するかといえばまだまだハードルが高いのだが(※ここで段差にからめてうまいことを言うのは段差スロープにもハードルにも失礼である)それでもちょっとした愛着のようなものはわいてきた。
この段差スロープは外に出さない。家の中で使う。愛玩犬のような段差スロープである。
ライターからのお知らせ
この記事が出た翌日の水曜2019/6/26に恵比寿で『コメディを考える夜』というイベントを開催します。
今まで俳優さんとやってきた「コメディを考えるワークショップ」を本職の芸人さんに説くという恐ろしいイベントです。
お笑いをロジックで考えるのが好きな行き過ぎた人たち、行き過ぎた人たちを見たい方、ただのお笑い好きな方もぜひ。ゲストも謎に豪華でさらに恐ろしいです。
『コメディを考える夜』
出演:大北栄人(明日のアー)、せきしろ、長谷川優貴(クレオパトラ/エンニュイ)、高橋一路、関田育子、田中光、たなしゅう 他
2019/6/26(水) 開場 19:15 開演 19:30
チケット前売り1800円 当日2000円
https://tiget.net/events/59485
アイリスオーヤマ(IRIS OHYAMA)
売り上げランキング: 1,639