園芸が下手すぎるのでなにがダメなのか教わろう

植物の立場になったら確かにつらい

JUNERAY：
植物を枯らしちゃいがちな人は、自分が置きたいところに植物を置こうとするケースが多いかなと思うんです。

さくらい：
あーー……。（完全にそうだ。）

JUNERAY：
植物も生き物なので、本当は居たい場所があるんですよね。なので、逆に植物のために人間が場所を作ってあげなきゃいけなくて。私のいるこの部屋、本と植物しかない部屋なんですけど、ここが一番日当たりがいいんですよ。人間の日当たりのいい居住空間を植物に明け渡してます。

さくらい：
明け渡してるんですか。すごい……！ 確かにこっちが置き場所を勝手に判断して、どんどんどん！ と置いてただけだったので、まあ勝手ですよね、植物にしてみたら。

JUNERAY：
気持ちはわかるんですけどね。インテリアのカタログによく観葉植物が置いてあるじゃないですか。あれ見ながら、あー、これは枯れるだろうなとかよく思います。

さくらい：
カタログをそういう視点で見てるのか……。

JUNERAY：
窓もないリビングのソファーの後ろに置いてあるとか。あー、枯れるなって。あと、冬はエアコンの風で枯らす人が圧倒的に多いです。

さくらい：
直で当たってます。

JUNERAY：
それは枯れます！ 枯らしRTAです、エアコンは！

さくらい：
もう真ん前にいますね、今。え、どうしよう。色々考えなおさないと……。

JUNERAY：
湿度対策で、霧吹きしてあげたほうがいいです。100均とかで売ってる、ミストが出るやつ。ミストだと粒子が細かいので、空間自体の湿度を上げやすいんですね。植物がある一帯の湿度を上げたいので、全体的にわーーってかけます。

さくらい：
買ってきます……！！

JUNERAY：
あとブラインド、あんまりよくないです。

さくらい：
えっ！

JUNERAY：
ブラインドって日差しを遮るためのものなので。光量は一般的なレースカーテン1枚越しぐらいがベストの状態ではありますね。

石川：
そのブラインド、上がんないんですか？

さくらい：
ここでずっと仕事してるんですけど、上げると眩しいんですよ。……ってことはこの部屋実は日当たりいいんじゃ……！？！？？（今更の気づき）

石川：
じゃあ光を遮る役割を植物にしてもらえばいいんじゃないですかね。

さくらい：
あー、上手い具合にいけば最高ですね、エアコンの当たらない北側の窓もあるんですけど、光が弱いですか？

JUNERAY：
北向きの部屋でも育てられてたことあるので、それでもいいと思いますよ。エアコンが直撃してるほうがヤバいので……。

さくらい：
JUNERAYさんの部屋はエアコンついてないんですか？

JUNERAY：
元々エアコンをつけてない部屋を選んで置いてまして。

さくらい：
エアコンに強い植物ってないんですか……？

JUNERAY：
ないです。

さくらい：
ないのか……。

JUNERAY：
例えば、白菜とかキャベツとか買ってきて、温風のドライヤーを当て続けるとどんどんしなしなしていくのと同じです。

さくらい：
最低じゃないですか。

JUNERAY：
温度の問題ではなく、乾燥した風が当たり続けるのが良くないですね。

さくらい：
人間でも嫌ですもんね、ずっとエアコン浴びてたら。

JUNERAY：
人間の肌みたいなもんだなと思ってていたいだけるとわかりやすいかも。
エアコン付けるのをやめなくても風向きを調整するだけでもいいかもしれないですよ。

花屋ってなに聞かれるの？ なにするの？

さくらい：
園芸屋さん勤務の読者の方から、（初歩的すぎて）「なんでそんな質問してくるんだ…」というお客さんがいるという声をもらったんですが、そういうのってありました？

JUNERAY：
花屋と園芸屋さんって違うじゃないですか。花屋さんで観葉植物を買う人って「ちょっとこれ家に置いたら素敵なんじゃないかしら」みたいな感じの初心者さんが多いんですね。ガチ勢はすぐ園芸屋さんに行っちゃうので。

さくらい：
確かにそうですよね。花屋の植物ってインテリア感覚というか。

JUNERAY：
いちど、観葉植物を買いたい方に「これって成長しますか？」って言われたことがあって……(笑)

さくらい：
えええ……（笑）私でもそれは思わないですよ……！

JUNERAY：
できることならそのままの姿でいて欲しいっていう願望みたいでした。
逆に、意外と運よくそういう人がマンションの日当たりいい場所に住んでたりして、「思ったよりも成長しすぎちゃってどうしよう……」と来る方もいらっしゃいます。

さくらい：
そういう場合ってどうするんですか？

JUNERAY：
植物が健康な証なので特にアドバイスできることはないんですけど、困っておられたら剪定の仕方はお伝えします。

さくらい：
そういう知識や植物の育て方はどうやって覚えたんですか？

JUNERAY：
切り花についてはお店で学んだのが多いんですけど、鉢植えの花については育てて覚えました。「このタイプの葉っぱの植物って、ここに置いとくとこうなるんだ」とか、 「この植物はベランダで冬が越せなかったな」とか、結構トライアンドエラーしました。たくさん育てて覚えるのが1番手っ取り早くはあるかな。植物に申し訳ないな、と思いつつ。

さくらい：
じゃあ、最初はみんなこんな感じなんですか？

JUNERAY：
最初はやっぱこうやって枯らす人が多いと思いますね。

さくらい：
そうなんだ。それで共感してくれる人も多いんだ……。

最後に、育てやすい植物を教えてもらおう

さくらい：
なにか育てやすい植物ってありますか？

JUNERAY：
オススメとしては、「テーブルヤシ」です。テーブルに置けるサイズのヤシなんですけど、日陰に対してちょっと強めなんですよ。逆に日向に置くと、どんどん葉っぱが黄色くなっちゃう。

さくらい：
冬でも売ってますか？

JUNERAY：
売ってます。ホームセンターとかにもあるので。あと、育てる練習でアボカドやパイナップルを増やしてみるといいと思います。パイナップル、今育てかけがいるので持ってきますね。

JUNERAY：
果肉のところを落として、葉っぱは水に浸かってるとカビちゃうので下の方の葉をもぐんですよ。今ちょっと根っこが生えてきてるんですよね。

さくらい：
わーー、わーーー本当だ！！

JUNERAY：
これで春になったら土に植え替えるんですけど、これが成長したらこうなります。これは、夏に一回水切れさせてしまったのでビヨビヨですけど……。

さくらい：
へぇ～～、すごい！

石川：
実がなるんですか？

JUNERAY：
なります、なりますよ！ ちっちゃいパイナップルができます。

さくらい：
食べられるんですか？

JUNERAY：
食べられますよ。けど、食べてみようと思ってためしに育て始めたのがこれなので、まだ収穫できてないですね。何年かかかるみたいなので気長に待ってます。

さくらい：
すごい……楽しそう……。植物を育てること自体、「もう無理にすることないかな……」っていうモードだったんですけど、ちょっとやる気が出てきました。

JUNERAY：
意外と楽しいのでぜひやってみてください。

さくらい：
ほんと色々教えてもらったので、できるところから試してみます！

教わったことを取り入れ始めたその後

インタビューから2カ月が経った。まずは植物を置く位置から変えてみようと思ったが、別の窓際には電子機器を置いているため、移動させるとなると大掛かりな配置変えが必要になる。すぐには難しい。とりあえずエアコンの風向きを調整して湿度を上げるようにして、しばらく様子を見ることにしよう。

ブラインドも仕事に支障がない範囲で上げてみることにしたら、思いのほか明るくてびっくりした。

オススメされた「テーブルヤシ」は100均とホームセンターで探してみたが、見つけられなかった。今後見つけたときに買ってみようと思っている。代わりに100均の雑然とした日も当たらない商品棚に置かれていて強そうに見えた「パキラ」を買ってきた（写真右）。最近、植物の購入動機が「強そう」に変わった。

多肉植物は全部ベランダに移動させた。ただ、寒いからか様子はまったく変わらない。春になったらなにか変化があるだろうか。今後もうちょっと種類も増やしてみたい。

しばらくは多肉植物と強そうな植物をメインで育てていくつもりだ。それが上手くできるようになったら育てる種類も増やすようにして、「ダメな園芸」の続編なんて出せない！！ と言えるぐらいダメじゃなくなりたい。

「ダメな園芸」を多くの人に読んでもらえますようにと、だるまに字を入れてもらった。
植物に因んで選んだ緑のだるまだが、本来は健康長寿祈願の意味があるらしい。
それならどちらも叶えてくださいなんて荷が重いかもしれないが、どちらも願っておこう。

 

「ダメな園芸」販売先一覧

（通販）
・BOOTH
・はちみせ
・シカク

（店舗）
・シカク　大阪市此花区梅香1-6-13
・草舟あんとす号　東京都小平市小川町2-2051
・本屋UNLEARN　広島県福山市東深津町6-3-58
・１００３　兵庫県神戸市中央区栄町通1-1-9 東方ビル504号