特集 2020年8月6日

種類がありすぎる!ルウとレトルトカレーの世界

ふと思ったのだ。カレーの種類ってめちゃくちゃ多い。スーパーの棚に置いてあるだけでも相当な数がある。スーパーに行くたび、増えてるように感じるのは気のせいだろうか。このままだと一生かかっても全制覇できる気がしない。

一体いつのまにこんなことになっていたんだろう………?

思えば「バーモントカレー」でおなじみのハウス食品も、ずいぶんとたくさんの種類を展開している。なぜそんなに種類が多いのだろう。理由を聞いてみた。

1981年群馬県生まれ。ライター兼イラストレーター。飲食物全般がだいたい好きだという、ざっくりとした見解で生きています。とくに好きなのはカレー。(動画インタビュー)

前の記事:「冷たい中華料理+麺」これが本当の冷やし中華だ!

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「ルウ」「レトルト」「レシピ」3つの分野の担当者が答えてくれることに

「カレーについて、いろいろ聞きたいです」とインタビューのお願いをし、かえってきた回答をみて、ささやかにびっくりしたのが、「ルウの担当、レトルトの担当、レシピの担当がそれぞれいるので、別々に回答させてください」ということだった。

大きな会社の大きさを改めて感じ入る。というわけで、各担当のみなさん、ここぞとばかりに色々聞かせてください!

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インタビューはZoomで行った。中段・下段がハウス食品のみなさん(中段右側がルウの担当友原 厚さん。下段がレトルトの担当長江 隆司さん)上段の左から順にデイリーポータルZ編集部藤原さん、橋田さん、筆者。

やっぱり種類が増えていた 

ところでみなさんは、ハウス食品から出ているルウが何種類あるか、ご存知だろうか。

なんと20ブランド(アイテム数は計52)もあるという。思っていた以上に多い。

着々と増えている気がしていたのも、気のせいではなかった。新種が誕生していたのだ。まずはこちら。

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ソテーカレーさん。今年2月生まれ
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フライパンでささっと材料を炒めて、水とペーストタイプのルウを合わせるだけ。短時間でできて、野菜のシャキシャキとした食感やおいしさを楽しんでいただける、新しいタイプのカレーです。

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ひっ!新形態……!調理方法がぜんぜん違うけれど、ルウなんですね。
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これまでは、世帯や年代ごとのニーズに対応できるよう、製品開発を進めていました。しかし、今は同じ世帯や年代であっても、お客様の生活スタイルは同じではなく、ニーズは細分化しています。

そのため、多様化するお客様の生活スタイルや嗜好性を踏まえながらさまざまな調理型カレーを開発しています。

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はつらつとしたパッケージのキーマカレーやタコライスも今年2月に新登場している

パッケージ裏を見ると「たくさん作って冷凍しておくと、忙しい日の食事のお助けに。」と書いてある。 

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公式自らが「ぜひ冷凍を!」と声を上げているのは珍しい

さらに、である。

ロングセラー商品である「バーモントカレー」や「ジャワカレー」にも、ニューカマーが続々登場しており、50%カロリーオフ、食物アレルギー対応製品、減塩タイプの商品などがある。 

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カロリーが気になる時でもカレーを諦めなくて良い時代になった

あらゆる人に食べてもらおうという執念を感じる。そして、その執念はルウという概念を飛び出して「粉」をも誕生させていた。

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バーモントは甘口、ジャワカレーは中辛
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この製品は、新領域開発部という部署で開発した「味付カレーパウダー(バーモントカレー味・ジャワカレー味)」です。

子育て共働き世帯の食卓の実態を調査した際、土日にある程度まとめ買いをして1週間の食事作りをすると、週半ば以降、余った肉や野菜を使った炒め物などのような、名前のつけられない「名も無きメニュー」が多く作られていることがわかりまして。「そういった料理を作る際に、カレーのパウダーがあったら便利なのでは?」と考えました。

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名も無きメニュー、たしかにあります!我が家の食卓の8割強を占めるやつ……!

主力選手のバーモントはもうすぐ還暦 

そんなハウス食品の主力選手といえば、りんごとはちみつでおなじみの「バーモントカレー」であろう。バーモントカレーの誕生は1963(昭和38)年。もうすぐ還暦を迎える。

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開発時の社員の方は、当時新入社員だったとしてももう80歳である。歴史の重みがずっしり

バーモントカレーが生まれるまえ、1960年ごろ、徐々に家でカレーが作られるようになっていたものの、子どもたちが気軽に食べられるような「辛くない」商品はまだなかった。

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当時、世の中のカレー製品は「辛いもの」だという常識がありました。しかし、お子様のいるご家族は多い。お子様でも食べられるカレーは、今後市場として拡大するチャンスがあるのではと考えたのがきっかけです。

実際にご家庭で子どもたちにどうカレーを食べさせているのかを、お得意先や社内の人間など、いろいろ確認をしたと聞いています。

そこで出てきたのが「辛さを抑えるために、甘いものを入れている」という話。

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「辛いから牛乳を加えている」とか「フルーツを入れています」とか、そのような話をもとに試行錯誤を重ねて、たどり着いたのが「りんごとはちみつ」でした。

「バーモント」の名前の由来は、アメリカのバーモント州に伝わるりんご酢とはちみつによる健康法だ。

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なおバーモント州の位置はここ。かなりカナダ寄り
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ちなみにりんごというと甘さもありますけど、酸味も大事なポイントなんですよ。

 

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おお……甘さだけじゃなくて、酸味なんですね!

バーモントの「反対側」として登場したジャワカレー 

バーモントカレーは、発売とともに大ヒットを記録し、狙いどおり、子どもたちの心をつかんだ。そんななか、次に作ろうと考えたのがバーモントの「反対側」という。  

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バーモントカレーは、どちらかといえば若い方やお子様をターゲットとしていました。それに対して、大人のカレー、すなわち大人が満足できる味、香り、辛味を目指して発売されたのが「ジャワカレー」です。
 

ジャワカレーは、バーモント誕生の5年後、1968(昭和43)年に販売がスタート。

降り注ぐ太陽の下で、めちゃめちゃ汗かきながら食べることを、ブランドのイメージとして打ち出している。なお辛さが売りのジャワには現在、辛口のさらに先、辛味がぶっとんじゃったやつもある。

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見た目がすでに辛い
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これ、裏のレシピをよくみると、じゃがいもとにんじんが「お好みで」になっていますね。必須じゃない。

 

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辛さを存分に楽しんでいただくために、まろやかさや、煮込みすぎるとでんぷんがでてしまう具材を避けて記載しています。とはいえ、じゃがいもを入れていただいても問題ございません。少し、辛さの感じ方が弱まる…というところはあるかもしれませんが。

そもそも、カレーってどんな具材でもいいというのが、大前提にあります。

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自由に考えてよいのですね
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玉ねぎは入れていただいたほうがよいのですが、基本は、自由に食材を組み合わせていただきたいと思っています。

ルウが一般化したことで誕生した新たなルウ 

ところで、家庭でのルウカレー作りが一般的になるとともに、話題にのぼりはじめた調理法がある。

「いろいろなルウを混ぜて作ると、”こく”と”まろやかさ”がUPする」というものだ。その口コミの広がりは、1996年、新たなルウを誕生させることとなった。

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こくまろさんである
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「こくまろ」は、ルウを混ぜたらおいしいのであれば、最初からブレンドすればよいのではと考え、開発されました。「コクのルウ」と「まろやかなルウ」がブレンドされており、名前もそのまま「こくまろ」です。
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わかりやすい!

辛さはどう作られているのか 

さて。そんな経緯を経て作られたルウカレーには、辛さが「甘口」「中辛」「辛口」と3段階ある。 

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ちなみに「バーモントの辛口」「こくまろの中辛」「ジャワカレーの甘口」は、それぞれ別の味わいだけど、辛さは一緒だったりする

ここで素朴な疑問。辛さって一体どうやって作られているのだろう? 

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単純に甘口に唐辛子を足したら中辛や辛口に…という簡単なものづくりではありません。それぞれ別にレシピが存在します。

この話に大きく関わってくるのが、ルウの各パッケージに記載されている「辛味順位」。 

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これは「食べた時に感じられる辛さ」を示す数値である。単純に辛味(カプサイシン)の量だけをベースにしているのではなく「一皿実際に食べてみて、感じられる辛さ」なのだという。 

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たとえば、辛味順位3番なら3番なりの「食後の口の中での感じ方」がありまして。それを作り上げるのは、とうがらし量を増減するだけでは、非常に難しいんです。

ソースの一体感やスパイスのバランス。カレーを食べ始めてから、食べ終わるまでに感じる、味覚のカーブの山の立ち方などを考えます。そうすると、中辛にしか入れない原料が出てきたりします。 

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なんだか複雑です……!

「食べている時の感じ方」で辛味順位を決めているため、生身の人間による評価も行われているという。具体的には、社内にいる味覚のプロたちが実食し、食べたうえで評点をしている(それだけで全てを決めているのではないが)。 

歴史を経て、変化させたものとそうでないもの 

ところでもうひとつ興味深い数字があった。ジャワカレーのお皿の数である。

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4〜5皿分×2で9皿
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こくまろやバーモントは割り切れる皿数だが、ジャワは割り切れない

なぜ中途半端かといえば、ルウは基本、2つに割れる仕組みだからだ。2つに割れるようになったのは2000年のこと。時代とともに家族のかたちが変わってきたことに影響を受けている。

単身世帯や核家族世帯では、一箱を一気に使いきれないことも多いのだ。

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2つに割ったルウを保管しやすいように箱も形を変えた。そして生まれた渾身のだじゃれが「しまえルウ」である

ジャワカレーの「9皿」は、2つに分けた際、割り切れないので「4〜5皿」ずつになる。「だったら、皿数を8とか10に変えればよかったのでは?」と思う人もいるかもしれない。だが、あえてしなかったのだという。 

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ルウカレーの作り方は、それぞれのご家庭でほぼ決まっているんです。裏面を見て「お水はこのくらい入れるのね」と毎回確認される方は………実はあまりいらっしゃらず。多くの方は、レシピは見ずに慣れ親しんだ調理方法で作っていらっしゃいます。
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!! 私たちがちゃんとレシピ見ていないの、ご存知なのですね……。
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実際に、調理工程を見させていただく機会があるんですが、みなさん作り方が実にさまざまでいらっしゃいます。もし我々が皿数を変更した場合、「いつもより濃くなってしまった」「薄くなってしまった」というように、お客様を困らせてしまう可能性があります。

そのため、皿数というのはすごく大事であり、簡単には変えられません。

原料の変更などにより、グラム数が変更になったりはしている。でも、グラム数が減っても「一箱でできる皿数」は変わらないようにしているという。 

とはいえ変えていることもある 

とはいえ、味や見た目はちょっとずつ変わっているという。我々消費者が、違和感を感じないよう、細かくチェックしつつ。そのなかでも一番変わったものは何かというと…… 

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バーモントカレーの「ソースの色」ですね。イギリスから伝来してすぐの日本のカレーは、黄色くて小麦粉の量も多かったのですが、年々、色が茶色くなってきています。その時流に従って、バーモントも少しずつ色が変わっています。
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全然気がついてませんでした…!
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バーモントカレーをご愛顧いただいているお客様に、違和感はないか、食べ続けていただけるかどうかを何度も確認させていただきながら、丁寧に改良を進めているので、変化に気がついている方は多くないと思います。

少しずつ少しずつ変化して、結果的に、昔と比べて変わったという感じです。

とはいえ、すごく久しぶりに食べて「色が変わった!」と気がつく人もいるんだとか。それはそれですごい。 

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レトルトの種類もすごい

さて、次はレトルトである。今や店に行くと「本棚ができているぞ……!」状態なこともあるレトルトカレー売り場。種類の多さに目を見張るばかりなんだが、そんななか、ハウスのレトルトカレーも実はめちゃくちゃ種類が豊富なのだ。

わたしはホームページをみた時に爆発しそうになった。

全25ブランド、アイテム数は計63。ハウス食品のレトルトカレーで一番の売れ筋「咖喱屋カレー」だけですでに12種類もあるという。

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画数や使用しているスパイスの数も多い
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なぜそんなに種類が多いのでしょう……?
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お客様のニーズに応えていこうとしたら、種類がどんどん増えていった、というのが正直なところかもしれません。

カレーと一口にいってもさまざまです。大まかにいうとまず辛さが、甘辛・中辛・辛口とある。欧風カレーなのか、インド風カレーなのかというような、味の違いもあります。そして具材。量目。値段についても、安く抑えたいという人もいれば、高くても美味しい方が良いという人もいます。あと、形態も。箱に入ったものが主流ですけど、最近では、4パック入りなど、袋に複数入っているものもありますし……

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たしかに、カレーってものすごく多様で、枝分かれポイントがいくらでもある……!

朝専用のカレーもある 

たとえばこのような商品もある。 

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「めざめるカラダ朝カレー」なんと温め不要で常温のまま食べられる
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イチローさんが毎朝カレーを食べていることをうけて、弊社も何かできないかと思いまして。
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(やはり「朝カレー=イチロー」の浸透率は高いのだな…!)
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通常動物油脂を使うところを、常温でも固まりにくい植物油脂に変え、スパイス感も抑えています。朝は、どうしても香りを強く感じやすいですし、においがつくのを嫌と感じる人もいるので、おさえめにしています。

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……朝はにおいを感じやすいんですか?
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はい。朝がだんぜん感じやすくて、夜になるに従って味覚がにぶくなっていきます。
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そうなんですね…!(朝と夜との感じ方の違いに)まったく気がついてなかったです…

宇宙のカレー 

さらにである。宇宙向けのカレーも作られている。スーパーには売っておらず、通信販売もしくは博物館で手に入れられるカレーである。 

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「スペースカレー」上野の国立科学博物館のおみやげコーナーにあった
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若田さんが宇宙に行かれたころ、JAXAさんから「宇宙にカレーを持っていきたいから」とお話があって。それで、なんとか宇宙に持っていけないかと開発しました。5年くらいかけてやっています。当時研究所におりまして、担当していました。
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担当していたんですね!
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宇宙って味を感じにくいらしいんですよ。なので、味が濃いめに作られています。地球上で食べると「うわ、味濃いな!」って感じられるかもしれません。あと、宇宙にいると骨のカルシウムが少なくなってしまうので、カルシウムがたっぷり入っています。
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見た目はごく一般的なカレー。味はたしかにちょっと濃いけどふつうにうまい。きのこも入っている
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日本人の宇宙飛行士さんが「宇宙にカレーを持っていきたい!」というくらい、カレーが国民食として愛されているってすごいですね。
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ありがたいことです。
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ところで、作り方のところの「電子レンジ不可」の注意書きが気になったのですが。宇宙食だからなのでしょうか。
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宇宙には宇宙の作り方があることを彷彿とさせる「地上での作り方」の文字
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いえ。これは宇宙に限った話ではないんです。電子レンジで加熱できる具材とそうでない具材があるんですよ。パッケージから出して、ラップをして加熱しても、破裂する食材ってありまして。たとえばマッシュルームやじゃがいもは特別な加工をしないと破裂しやすいです。

カレーマルシェも、以前は電子レンジNGだったんですが、2015年から破裂しない仕様になりました。

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はっ。そういえば、昔よく電子レンジから爆発音が聞こえていたのですが、理由がいまやっとわかりました……。

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レトルトの立ち位置が変わりつつある

そんなレトルトカレー、近年変化がおきているそうだ。

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前は、基本的に「ひとりの時に食べるもの」「自分のために食べるもの」だったのが、最近では「家族に出しても良いもの」というように意識が変わってきていまして。夕食での登場頻度も上がってきています。

たとえば2015年。名前からすでに高級感雰囲気ただようレトルトカレーが誕生している。 

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カレーマルシェスペシャリテ「イベリコ豚とマッシュルームのカレー」である
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2015年ごろは、高価格帯のレトルトカレーが売れ出した時期で。「高くてもいいから、おいしいものが食べたい」という人が増えはじめていました。
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たしかに。近年、レトルトに求める要素が「安い」ではなくなっている体感、すごくあります。
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高価格帯カレーに期待されているのは「高級感」と「安心感」。高級な具材ってなんだろうといろいろ考えたところ、イベリコ豚じゃないかと。都内のフランス料理店の料理人の方に監修をいただいて、その方と一緒に具材を選定しました。

料理人の監修が入ることも少なくない。たとえば「スープカレー」も、人気店「札幌らっきょ」が監修している。 

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にしてもすごいぞ。辞典のような分厚さだぞ……
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スープカレーの魅力って具材の大きさなんですよね。お店で食べていただけるとわかりますが、あの、ごろっとした食材を食べるのがスープカレーの醍醐味ですので、それをお届けしようとした結果……こうなりました(笑)。


一方、具が一切入っていないレトルトカレーもある。

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4袋入りの「プロクオリティ」。具をどうしようというのは、各社が長年悩んできた部分なのだとか
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お客様にレトルトカレーの不満を聞くと「具材がちっちゃい」「具材が少ない」など、具材に関する意見が多く聞かれます。それで、どうやっていこう…というのを長年考えてきていたのですが、プロクオリティはそこをもう、逆の発想といいますか。具材をなくすことによって、なにか自分で一手間かけられるように、あえて具材をなくしているんです。
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逆転の発想!
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たしかに、最初から「ない」といわれると納得がいきます。
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「夕食にレトルトを出すことに罪悪感がある」という料理者の方が、一手間加えることで、罪悪感なく、夜でもつかっているという状況が広がっているようです。
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(個人的にはレトルトで全然OKだけど)罪悪感を持ってしまう…というのはわからなくもないです。それが払拭できるのはよいことですね。
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ほかにも、「咖喱屋カレー小盛サイズ」という、150グラムの小盛パックが4袋入った商品なども作っています。
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咖喱屋カレー小盛

 

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調整できるのはいいですね!

今後も、増えそうだぞ 

……とカレーが随分とたくさん種類があるぞというのはよくわかったのだが、今後はどうなっていくんだろう。 

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お店の棚のスペースは決まっていて、そこを無限にとはいきませんが、今は、ネットで買える時代なので、ネットであれば「棚」という考え方はないわけで。それであれば、できるだけ多様化といいますか、お客様一人ひとりのニーズに応えたものを作っていきたいという思いがあります。
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楽しみです。でも、開発の方大変じゃないですか?
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はい(笑)でも、お客様のニーズは本当に多様化していますので。応えられるかぎり、応えていきたいです。
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ちなみに……カレーの作り方そのものが多様化しているように思うのですが、今後、ルウという形状はなくなったり……なんてこと、あるのでしょうか。
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何度か新しい形にチャレンジしてはいるんですが、「ルウでカレーを作るものだ」という認識は非常に強いものであられますし、私どもも、ルウで作るカレーがジャパニーズカレーの王道であると思っているところもあります。

カレーの価値を拡げるチャレンジを続けながら、王道のカレーをさらに追及していく。「進化」と「深化」。この両輪でカレーの魅力を、今後もご家庭に届け続けていきたいと思っています。

 

なんと力強いことか。

やばいぞこれは。カレーの未来がますます楽しみになってしまった。


公式ページのレシピもすごいことになっている

ところで。本文に入れきれなかったのだが、ここで公式ホームページのカレーレシピについても触れておきたい。ぜひ一度見てほしい。気合がすごいのだ。

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カレーのレシピだけで800以上ある(2020年8月6日現在)。毎日食っても2年半くらいかかる計算だ

スパイスで作るレシピものっている。ルウとスパイス、両方を使って作るレシピもだ。

スパイスを使用したカレーも、気軽にスパイスを使いこなしていただければと思い、掲載しています。カレーを作る上で大事な要素は「香り」と「辛味」と「色」。当社のレシピでは「クミン(主に香り)」「レッドペパー(唐辛子・主に辛味)」「ターメリック(ウコン・主に色づけ)」の3種類のスパイスからカレーが作れるようにしています」(レシピ担当者)

おすすめを聞いてみたところ「今年のイチオシはリメイクカレー」だそうだ。 

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彩り夏野菜のキーマカレーをリメイクしてジャージャー麺にのせるなど

網羅性おそるべし。あらためて。カレー愛好者の一人として、ずいぶんと恵まれた状況に生まれ落ちているんだなぁときゃあきゃあせざるをえないだろう。

問題は、わたしには胃袋がひとつしかないこと。これに尽きるんじゃないだろうか。

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