特集 2026年8月4日

【大調査】現代人は普通に生活していると一日に何曲聞くことになるのか?

私は音楽が好きだし、ラジオやPodcastなどの音声コンテンツも頻繁に視聴している。しかし外出時にそれらを聞く習慣はない。つまりイヤホンやヘッドホンをしながら町を歩くことがない。

そうすると気付くのだが、商業施設、飲食店、普通の歩道、あらゆる場所に何かしらの音楽が流れている。能動的に摂取する音楽は大好きなのに、強制的に聞こえてくるのは正直ちょっと嫌だ。「普通に生きてたら一日で何曲くらい聞くことになるのかな?ちゃんと数えてみよ」。ただの軽い思い付きだった。

「都内在住、映画好き自営業者の休日のデータ」としてご覧下さい。頭がおかしくなるかと思ったよ。

1980年、東京生まれ。片手袋研究家。町中で見かける片方だけの手袋を研究し続けた結果、この世の中のことがすべて分からなくなってしまった。著書に『片手袋研究入門』(実業之日本社)。

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9:00 音楽と共に目覚める

2026年7月27日、仕事が休みの月曜日。朝9時過ぎ。私はiphoneのアラームと共に目を覚ました。

いつもアラームは時間をずらして2つ設定してます
はい、早速2カウント

こうやって今日一日、曲が聞こえたらひたすらカウントしていく。「そもそも“曲”の定義とは?」等、ややこしい問題も浮上したが、独断と偏見で今回は以下のようにルールを設定した。

・わざと音楽が流れてそうな場所に行ったりせず、あくまでいつもの1日を過ごす
・曲が聞こえたらカウンターを押す。長くても短くても1曲は1曲
・メロディの抑揚があって少なくとも1小節以上あるものを曲とする(あくまで今回は)
・よって「ピピピッ」「チーン」などの効果音はカウントしない

私はiphoneのアラームに効果音ではなく不穏なメロディを選択しているので、曲としてカウントしたわけだ。 

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10:15 テレビという名のジュークボックス

だが見事に二度寝してしまい、いつの間にか10時15分になっていた。まずい。11時から映画を予約してるのに。慌てて布団から飛び出る。

リビングでは妻がテレビを見ていた。これが大問題だった

番組もCMもほんの数秒で目まぐるしく曲が変わる。映画に遅刻しそうなのに、カウントに忙殺され身支度ができない。「頼む!」。妻にカウンターを託した。

しかし、妻は曲が変わっているのにボーっとテレビを見ていて全然気付かない。服にアイロンかけながら「ほら!曲変わってるじゃん!カウンター押して!」と指示していたら、「なんでこんなことやらなきゃいけないの!」と不機嫌になってしまった。

「ギャーッ!」。不穏な空気が流れるリビングに、突然妻の叫び声が響いた。何故か彼女の首元にてんとう虫が止まっていたのだ。振り払われて転がり落ちたてんとう虫を外に逃がしたりしているうちに、2曲くらいカウントし忘れたっぽい。この調査、厳密にやろうとすると相当大変だ。

結局家を出る時点で既に43曲になっていた
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10:50 地下鉄

最寄り駅まで走っていくと、幸いちょうど電車が来た。映画館のある日比谷駅までは5駅。駅に着くたびに発車メロディが聞こえてくるので自動的に5曲追加、と思ったのだが、駅によっては反対のホームの発車メロディも聞こえてきて2カウントになることもある。やはり気が抜けない。

ちなみに近くの人のヘッドフォンから音漏れなど聞こえてきたらそれもカウントしようと思っていたがそういうこともなく、発車メロディ以外は静かだった。

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11:10 曲の洪水

日比谷駅に到着したのが10時59分。予告編があるので映画本編は11時15分くらいに始まるはず。ギリ間に合うぞ。駅構内を急ぐ。

意外にも構内はとっても静かで一曲も聞こえない
目的地の角川シネマ有楽町はビックカメラの8階にある。まだ6分程余裕がある

しかしビックカメラに入店した途端、驚いた。

音の洪水!

店内のBGMや商品の宣伝用モニターから聞こえてくる曲が音の塊となって襲い掛かってきた。多分15曲くらい同時に流れてるのではないか?しかし個別には認識できないので、曲として“聞こえて”はいない。はっきり認識できたものだけをカウントしたら意外に数は伸びなかった。

売り場でのカウントは6くらいに留まった
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11:15 映画

『デッド・マンズ・ワイヤー』という作品を見に来ました

映画館に飛び込むとまだ予告編を上映していた。良かった。間に合った。

着席した途端、角川映画祭の予告編と共に『セーラー服と機関銃』『Woman "Wの悲劇"より』などが矢継ぎ早に流れてきた。(そっか。映画音楽もカウントしなきゃいけないんだ…)。今日だけは映画を見ない方が良かった気がするが、いつもの休日を過ごすことが大事なのだ。

『デッド・マンズ・ワイヤー』は70年代アメリカで実際に起きた事件をもとにした作品で、約100分間、常に緊張状態が続く作品だった。しかし常に曲のことを意識している私は、終始違う意味の緊張感を強いられていた。せっかくの映画鑑賞が台無しだ。

だが図らずも「映画にとって音楽とは何か?」ということをあらためて学ぶ機会にもなった。曲が流れる、止まるタイミングを意識していると、監督や映画音楽作曲家の演出意図が理解できる。でもそんなこと考えずにのめり込んで見たいので、もう二度とやりません。

結局『デッド・マンズ・ワイヤー』では約27曲カウントしていた
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13:20 コメダ珈琲の意外な一面

次の予定まで2時間ほどある。腹も減ったし書いておきたい原稿もあったので、コメダ珈琲に入った。

まずは腹ごしらえ

店内BGMが変わるたびにカウンターを押していると、意外なことに気付いた。例えばドトールは選曲のセンスの良さがたびたび話題になるが、コメダもボサノバを中心に適当な選曲をしていないのが伝わってくる。コメダって意外にブラジル感を大事にしてるんだな。

しかしカウントが忙しくて、ノートPCを出す暇すらない。結局カツサンド食ってカウンターをカチカチ押してるだけの90分になってしまった。

90分間で20曲。単純計算で1曲4分半くらい。納得のいく数字である

⏩ 美容院で悩ましい事態に

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