デジタルリマスター 2024年3月21日

姉妹都市はどのくらい姉妹なのか(デジタルリマスター)

「姉妹都市」という関係。

よく聞く言葉だけれど、考えてみるとちょっとおかしい。なんだ姉妹って。そこに住んでいる人たちは「あの都市、姉妹なんだよなー」と感じることとかあるんだろうか。

実際に姉妹都市として交流のある二つの市を訪れ、その姉妹っぷりを探してみました。

2011年2月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

前の記事:ファミマの生パンを焼く

> 個人サイト むかない安藤 Twitter

姉妹都市はどのくらい姉妹なのか

「姉妹都市」という言葉がある。一般的には都市同市の自然環境が似ていたり、住民同士の交流があったりするのが姉妹都市の条件なのだとか。

僕が生まれた愛知県の大府市というところはオーストラリアに姉妹都市を持っていて、年に何度か物産展みたいなことをやっていた。

でも生活していて「実はいま姉がオーストラリアにいまして」みたいな実感はまったくなかった。オーストラリア側でもたぶん似たようなテンションだったんじゃないか。

今回、たまたま訪れた新潟県上越市と北海道室蘭市が姉妹都市であることを知った。姉妹都市の関係を暴くチャンスである。この二つの都市がどのくらい姉妹なのか、比べてみようと思う。


まずは市役所から見てみよう。 

307-topaz-standard v2-640w.jpg
室蘭市役所。4階建ての庁舎は貫禄十分。
044-topaz-standard v2-640w.jpg
対して上越市役所。5階建て!
いったん広告です

歴史的には圧倒的に室蘭が姉

室蘭市役所の4階建てに対し、上越市役所は5階建てだ。

階数だけで見ると上越が姉ということになるかと思う。しかし建物自体の貫禄で判断すると室蘭市役所の方がだんぜん姉っぽい。

歴史をひもとくと、1922年に市制施行した室蘭市に比べ、上越市が誕生したのは1971年である。室蘭が50年も年上なのだ。そんな姉妹いない。むしろ親子、いや孫くらいの年の差ではないか。

そんな年の差姉妹の特産品を見比べる。

245-topaz-standard v2-640w.jpg
室蘭市、臼。
140-topaz-standard v2-640w.jpg
上越市、酒。

臼と酒。どちらもなんとなくめでたい感じがするのも姉妹たる所以であろう。

これは観光局の展示にあったものなのだけれど、室蘭市は臼だけでなく、カレーラーメンや豚肉の焼きとりなんかも有名なわけだが、これら全部でかかっても上越市の酒には勝てないような気もする。

curry-topaz-standard v2-640w.jpg
カレーラーメンは「カレー味のラーメン」というよりも、カレーライスのライスがラーメンに替わったという感覚。ちょっと甘くてコクのあるカレーが最後までおいしい。
yakitori-topaz-standard v2-640w.jpg
室蘭の焼きとりは豚肉が一般的。肉と肉の間にはネギではなくタマネギが刺さっています。タレ、そして洋辛子付き。やわらかい肉、タレと洋辛子のハーモニー。間違いのないうまさ。

 外に出るとどちらも寒い、という共通点は言わずもがなである。

284-topaz-standard_v2-640w.jpg
室蘭市にて。風が強くて飛ばされそうな寒さ。寒いというより、痛い。
041-topaz-standard v2-640w-faceai.jpg
対して上越市。室蘭のように肌を切るような寒さはないが、雪の量は圧倒的に上越が多い。歩道横に平気で2メートルくらいの雪の壁が出来ている。
いったん広告です

気候は確かに似ている

室蘭市と上越市、今回2月の同じ時期に訪れた感想からすると、どちらも信じられないくらい寒かった。

雪の量は圧倒的に上越市の方が多いのだけれど、室蘭のハードでエッジの効いた寒さには北海道の底力を見せつけられた気がする。

285-topaz-standard v2-640w.jpg
室蘭市。町中がスケートリンク状態だ。
048-topaz-standard v2-640w.jpg
上越市役所前の歩道。歩くところだけ雪がどけてある。凍ってはいないので意外と歩きやすい。
281-topaz-standard v2-640w.jpg
街路樹がハードな樹氷みたいになってる。突っ込んだら車が壊れそうなほどに硬い。室蘭市。
042-topaz-standard v2-640w.jpg
上越市。雪の量は多いが、ソフトさを保っている。

室蘭市出身の編集部工藤さんいわく、室蘭は風が強いこともあってそんなに積雪量は多くないのだとか。おおらかに積もる妹上越を尻目に、並外れた低温で雪をも凍らす姉室蘭、という感じか。

商業施設はどうか。

277-topaz-standard v2-640w.jpg
室蘭市で就活するならまずここであろう、「はるやま」。
086-topaz-standard v2-640w.jpg
一方、上越市では「マスカット」。
279-topaz-standard v2-640w.jpg
半額スーツは9000円から。室蘭市、はるやま。
089-topaz-standard v2-640w.jpg
スーツはマスカット!2着目1000円。上越市。

紳士服=マスカットという唐突さにも妹上越市の茶目っ気を感じる。正直なところ、緑色の看板を遠くから見てスーパーだと思ってやってきたらスーツを売っていたのだけれど。

287-topaz-standard v2-640w.jpg
室蘭市ならばカット2100円。
107-topaz-cgi-2x.jpg
上越市、3675円。これは単にお店の差、という気もする。
290-topaz-standard v2-640w.jpg
室蘭市のメガネ、一式4980円。
083-topaz-standard v2-640w.jpg
上越市、一式5000円。ほぼ互角。

室蘭市の個性は自動販売機にも色濃く発揮されていた。

240-topaz-standard v2-640w.jpg
室蘭市。当然のようにサッポロである。
117-topaz-standard v2-640w.jpg
上越市。いたって普通。
242-topaz-standard v2-640w.jpg
リボンシトロン。北海道を中心に飲まれている炭酸飲料ですね。室蘭市。
308-topaz-standard v2-640w.jpg
室蘭市のコーヒーたちは「生粋」と書かれていた。

シトロンは北海道でよく飲まれている炭酸飲料。これについても室蘭出身の工藤さんに聞いたところ、こっちではシトロンよりナポリンである、と言われた。ごめんどっちも知らない。

ここで注目したいのは、室蘭市の自動販売機がほとんど「冷た~い」であることだ。対して上越では半分がホット。姉室蘭のどん欲な寒さ欲がかいま見える。

249-topaz-standard v2-640w.jpg
室蘭市のラギュラーガソリン、138円。
100-topaz-standard v2-640w.jpg
上越市でも同じく138円。ガソリンの価格ってあまり地方差ないんだっけ。
235-topaz-standard v2-640w.jpg
室蘭市で見かけたプリンセス天功さんのポスター。
060-topaz-standard v2-640w.jpg
上越市では戦場カメラマンだった。

上越市は僕の妻の実家があるので、義父に室蘭が姉妹都市であることを知っているかどうか聞いてみたところ。

「そういえばそんな話をきいたことがある」

いたって平温の反応だった。まあそうだろう。僕だって実家の町がオーストラリアの都市と姉妹都市だって知ってるか、って聞かれたらたぶん同じような答えしかできない。

日常の中で何かの拍子にふと思い出すことはあっても、常にいっしょにいるわけではないのだ。それが姉妹都市。

この関係性、思わず自分の姉のことを思い出してしまいました。

227-topaz-standard v2-640w.jpg
室蘭市役所でみつけたレルヒ少佐の象。
147-topaz-standard v2-640w.jpg
この人、実は上越市のヒーローなんです。日本に初めてスキーを持ち込んだ人。

遠くにいる血縁、くらいの感覚

室蘭市と上越市、姉妹都市とはいえ互いの市民生活にそれが浸透しているという実感はなかった。

でもどちらの都市に対してもよそ者である僕から見ると、町に流れる雰囲気にどこか似たところがあるように思えたのも事実だ。

自分の町の姉妹都市にもいつか行ってみたいなと思いました。

196-topaz-standard v2-640w.jpg
室蘭の観光スポット、地球岬。
168-topaz-standard v2-640w.jpg
上越市の圧倒的な積雪。どちらもいい町ですよ。

 

▽デイリーポータルZトップへ

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ