特集 2021年3月15日

世界の物価をビッグマック以外で比べたい

恩赦したもれドナルド。

日本は食事が安いのだろうか。これを知る手がかりとして、ビッグマック指数というのがある。

実際の通貨レートと比べてどれだけ割安か割高かを各国で違うビッグマックの価格から決めるというもので、イギリスの雑誌エコノミストが1986年に考案したものらしい。ビッグマック指数35周年であり、スーパーマリオ並みの歴史だ。

しかし今となってはビッグマックだけに頼らずとも、ECサイトで買い物もできるしウーバーイーツなどのデリバリーも身近である。

となるといろんな食で比較できるはずなのだ。

ビックマック以外でもいいのではないだろうか。

変なモノ好きで、比較文化にこだわる2人組(1号&2号)旅行ライターユニット。中国の面白可笑しいものばかりを集めて本にした「 中国の変-現代中国路上考現学 」(バジリコ刊)が発売中。

前の記事:ブラジル、パキスタン、ラオス…各国の店や寺院が集う神奈川県愛川町で外国旅行

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普及するデリバリーではどうだ

デリバリーサービスが世界で普及してきた。

外出せずにネットで比較できるに違いない!ビッグマックの代わりなんぞいくらでもある。と思いつき、UberEatsを活用して世界の物価比較してみることにした。

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インドのバンガロールで見かけたフードデリバリーで働く人

ところがUberEats、これがなかなかの値段だ。

吉野家の並盛牛丼が税込み387円のところが570円だ。これは普段の感覚とはけっこう違う。

世界各国で同じように手数料をとるにしても、高くなった並盛牛丼で日本人の物価を測ってよいものか悩ましい。例えば1時間ぶんの時給で3杯牛丼が食べられるはずが、2杯しか食べられなくなる。

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ウーバーイーツで吉野家を比較する。アメリカは高い…

そもそも吉野家の牛丼で比較していいのだろうか。

吉野家は日本のほか、アメリカ、台湾、中国本土、香港、シンガポール、フィリピン、インドネシア、タイ、カンボジア、マレーシア、ベトナムの11の国と地域で展開しているという。

ビックマックを提供するマクドナルドはアフリカと中東以外のおよそ120か国で展開している。

牛肉を食べないヒンズー教のインドでも展開している。マクドナルドおそるべしだ。

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インドで見かけたドナルド像は全力でリラックスしている。
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インドのマクドナルドはビーフレス。Tikkiバーガーは、コロッケバーガー。

そうそう、マクドナルドは北朝鮮には出店していない。それにカンボジアにも出店していない。ところが吉野家はカンボジアに出店してる。吉野家があるのにマクドナルドがないカンボジア、不思議な国だ。

カンボジアとアメリカを比較したいならマクドナルドではなく吉野家の牛丼並盛指数なのだ。

手数料を除くために吉野家サイトから牛丼の価格を調べて比較しようと思うのだが、ところが吉野家のサイト、国が違うとサイトデザインも違うし、牛丼の値段も表示されない。ハードルが高いぞ。

やはりビッグマック指数が最強なのか。

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カンボジアの市場。モールでのオシャレ飯もあるけど、市場飯が庶民に愛されている。
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吉野家の牛丼並盛で比較する。日本は並盛りが352円、税込みで387円だ。
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インドの壁

そもそもインドが高い壁だ。なにせフードデリバリーのサイトを見てもカレーやビリヤニばかりが売られている。今日は何を食べようかじゃない。どのカレーを食べるかな、なんて話になりそうだ。

ビリヤニは広くいえばチャーハンみたいなものだし、ナシゴレンだってチャーハンだ。ビリヤニやナシゴレンをチャーハンとして比較するのはありだろうかと考えた。

しかし振り返ればインドで出すビリヤニの物量が多すぎた。

サイズが違いすぎてビリヤニとチャーハンとナシゴレンを比べるのもアンフェアな気がするのだ。

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インドのビリヤニの量は明らかに多い。カロリー量が違いすぎる。

さらに調査を進めると、ヒンズー教徒が多いインドではマクドナルドはあっても、ビッグマックは出してないのだ。ビッグマック指数ができないじゃないか。

これだ。これがビッグマック指数の欠点だ。インドは食文化が独特で、独特ゆえにビッグマック指数が使えないのだ。

自分がインドに行ったときのことを振り返ると、インドにもピザがあったことを思い出す。

そして調べてみるとドミノピザが展開されていることがわかった。ドミノ・ピザ強い。インドを含め90か国で展開している。

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インドでは他の国と価格比較できるチェーン店の料理がないような気がする。
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インドのデリバリーサービス「zomato」にドミノピザが!

マクドナルドよりケンタッキー

この90カ国展開という数字は、ユニクロ(23カ国)よりもダイソー(26カ国)よりもメイソウ(80カ国)よりも多い。

しかし120カ国くらい展開しているマクドナルドよりは少ない。ビッグマック指数はやはり揺るがない。

一方で何かとライバル視されがちなKFCは何店舗なんだろうかと、調べると140カ国だった!

だったらケンタッキーのフライドチキン1個あたりの世界の価格比較が一番いいじゃないか。

イギリスのエコノミスト誌はケンタッキーでなくマクドナルドびいきだった。

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商品のイメージキャラクターも各店でがらりと変わる。
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日本はオリジナルチキンや骨なしケンタッキーが1個250円だ。

日本は細かい

世界各国のチェーン店やデリバリーサービスを比較した。

ケンタッキー・フライド・チキンや吉野家などのメニューを見比べて思ったのは、高い安いというより、日本のウェブサイトは値段を細かく表示するのだ。他の国では公式ページにそもそも値段を書かないことも多い。

ケンタッキー・フライド・チキンは日本だけだろうか、1ピース~6ピースまで丁寧に値段が書かれていて、日本は節約志向なのかなと思ってしまった。

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この表記が世界ではレアらしい。
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日本のKFC価格は他国と比べて激安というわけでもなかった
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