ラピュタ感から得られるものもあるけれど
古い建物が緑に覆われるとなんだかイイ感じに見えてしまうものだ。
一方、千代ヶ崎砲台はリアルだからこそさまざまな感情を掻き立てられて面白かった。
ここを見た後なら、他の砲台跡もよりリアルに想像できるかもしれない。
楽しみがまた増えた。
暗く細い交通路を抜けると、まず弾薬庫につく。ひんやりとした内部。一気に雰囲気が変わる。
これだけそのまま残っていると、弾薬を取り扱う日本兵の緊張感みたいなものまで漂ってくる気がする。胃がキリキリしそう…
暗い道を通ってきた分、開放感がすごい。清々しさすら感じてしまう。
ここから遠く、海の上の戦艦を狙うのだ。最大射程距離は7.8km。
全然見えないじゃん…と思うも、実はこの上に観測所があり、そこで距離や方角を計算して砲座に伝えるそうだ。
当時はまだ飛行機がない時代。
敵船から見えないように砲座を隠しながら、狙い打つという戦略だった。
ただし命中率はあまり高くなく、幸運にもこの砲台が実戦に使われることもなかったそうだ。
実は見学した第一砲座以外の第二・第三砲座はつい最近まで埋められており、上部は自衛隊のテニスコートになっていたそうだ。
だからこんなに芝生がきれいなんだな。
他にも観測所が撤去されていたり、土塁が改変されていたりと、すべてがそのまま残っているわけではないようだ。
実戦には使われることのなかった千代ヶ崎砲台。
その竣工以前、この山の上には平根山台場という江戸時代の砲台があったそうだ。
1811年に作られたという平根山台場は、実は日本史の暗記項目のひとつ、モリソン号事件の現場なのだ。
日本人漂流民を乗せたアメリカ船モリソン号を、1837年に幕府が異国船打払令によって砲撃した事件。その砲撃が行われたのがこの山の上だそう。
言葉の響きだけで覚えていた単語がふとした瞬間に実体験に結びついて、ゾクゾクっと身震いした。
古い建物が緑に覆われるとなんだかイイ感じに見えてしまうものだ。
一方、千代ヶ崎砲台はリアルだからこそさまざまな感情を掻き立てられて面白かった。
ここを見た後なら、他の砲台跡もよりリアルに想像できるかもしれない。
楽しみがまた増えた。
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