うまいのは、過程をぜんぶ知っているから
タイ米を炊いて、ルーとともに皿に盛り付ける。
あー、これはひどい。露骨にうまいです。外国の食べ物で、もの珍しくておいしく感じるのとは、まったく別種のうまさ。
チーズのフレーバーを中心にしつつ、バターの風味や香味野菜のさわやかさも感じられて、複雑な味が楽しめる。こんなにもおいしかったか…。現地で食べたときは多分、こんな繊細な味わいは感じなかった。自分で調理した過程で得た知識が、料理をさらに美味くしてくれているのだろう。
恐ろしいことに、乳脂肪分をどばどば投入しておきながら、食べくちがまったく重くない。これはどういう魔法なのだろうか。粘度が高めのソースに、硬めのタイ米のほうがよく合う。夢中でわしわしと食べてしまう。
10数年ぶりに食べても、やっぱりこれはアメリカNo.1料理。というか、自炊史上、最高傑作といって差し支えない出来になってしまった。
犯人は現場に戻ってくる
普段はこってりした食べものをあまり好まない妻も、エトフェは口にあったようでたくさん食べてくれた。「おいしいよ。何シチュー?」と聞かれたけど、「え、チーズとか」とあいまいに笑ってごまかした。チーズもバターも、死ぬほど入ってるよとは言えず、こそこそと証拠を隠すように、残ったエトフェはすぐに冷凍してしまった。
抜群においしいけど、コストと手間と健康を考えて、あまり頻繁につくっていいメニューではないな。でも絶対にまた思い出して食べたくなるだろう。うーん、次回は4年後くらいがちょうどいいだろうか。