特集 2019年2月8日

またまた!小さすぎる公園めぐり

ここも小さすぎる公園?

公園とは、元気な子供が遊びまわり、疲れた大人がちょっと休憩する公共の場所のことだと思う。しかし世の中には、遊びまわることも休憩することも難しそうな「小さすぎる公園」が存在する。

どうしてそんなに小さいのか、なぜそこにあるのか、どんな使われ方をしているのか…といったことは気にせず、ただ圧倒的な小ささだけを味わってきた。

1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。
(動画インタビュー)

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小さすぎる公園というものがある

以前に住んでいた家の近所であまりにも小さすぎる公園を見つけて以来、「小さすぎる公園」を探し歩いている。当サイトで過去2回記事にしているのでぜひ読んでほしい。

小さすぎる公園めぐり

小さすぎる公園めぐり(渋谷・新宿・池袋方面)

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すべてはここから始まったファーストインパクト公園

 

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あれ以上はないかと思いきや出現したセカンドインパクト公園

今回は特にエリアを決めず、ここ最近に見つけた公園をめぐった。前回の記事で、最後に訪れた豊島区のところで「訪れるべき小さすぎる公園はただ1つ」と書いたのだが、それは大きな間違いだった。

豊島区/東池袋の辻広場/日光広場

池袋から地下鉄有楽町線に乗り、ひとつ隣の東池袋駅で降りた。この駅の東側は、池袋サンシャインシティのすぐ外側ながら狭い路地と密集した家が立ち並ぶ、下町風情が色濃く残る地域である。

地域である、なんて知った風に書いたけど行って初めて知った。

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目の前にサンシャイン60がそびえる東池袋駅前
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その目と鼻の先からこんな感じの路地が続いている

このエリアには「辻広場」なる小さな公園が点在していて、その中に目を見張るほど小さな公園があるらしい。

最初に向かったのは「日光広場」。きっと陽光がぽかぽか当たる爽やかな公園なのだろう、と想像しながら路地を進む。

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このへんのはずなんだけど
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えーと、どこかなー
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こ、れ、かぁー…

ここはストリートビューでも見られなかったので、最初は視界に入っても公園と気づかなかった。ふと看板に「日光広場」という文字を見つけた瞬間、意図せず「フフッ」と笑いが漏れてしまった。それほどインパクトのある小ささ。

これは間違いなく、過去2本の記事に出てきたいちばん小さい公園と肩を並べる存在だ!

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まじかー
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日光、って陽光のイメージではなく地名の日光だった
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いろいろモチーフの由来が書かれている

日光広場の「日光」は有名な観光地名の日光だった。この小さすぎる公園は全体が日光国立公園をテーマにして作られているという。なぜ!

しかし、下町の小さな町工場で作られた微妙に似ていないネズミのキャラクター商品、というような物悲しさはそこにはなく、これはこれで良いのではないか...と妙に納得させられるポップさがある。

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たとえばこの消火栓や防火水槽の上のオブジェは東照宮の陽明門がモチーフ
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この陽明門、階段がついていて登れるがサイズ的に大人は無理!
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このフェンスは男体山で、1000分の1の高さ(2484mm)らしい
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看板には「三猿ベンチ」と描かれているのだが
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実際のベンチは二人掛け。交換されたときに意図が汲まれなかったのだろうか
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窪みは1000分の1の大きさの中禅寺湖とのこと。確かに形は似ている!
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よく見ると「日光へ115km」と描かれている

とにかくこの小さなスペースに、どこからそんなに持ってきたのか、と驚くほどのこだわりと熱意が詰まっている。看板によると、窪み部分のタイルは住民が工事に参加して造ったという。赤いタイルはもしかして中禅寺湖に映る紅葉の男体山だろうか。三猿ベンチの茶色い足はもしかして猿の足かも知れない。こんなに小さいのに情報が多すぎて謎が謎を呼ぶ。

しかし、日光観光のハイライトとも言える華厳の滝をモチーフにした噴水らしきものは朽ち果てていた。

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当初は循環式ポンプにより勢いよく水が飛び出していたらしいのだが
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謎の植物が植わり変わり果てた姿に

のっけから今回のベストでは、という小さすぎる公園を見てしまい、もういいか、という考えも頭をよぎったけれど、この近くにはほかにも辻広場がいくつかあるので行ってみた。

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豊島区/東池袋の辻広場/日傘広場

日光広場から歩いて2分。細い路地の角にある空き地に大きな傘が建っていた。ここが東池袋の辻広場のひとつ、「日傘広場」だ。

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誰がどう見ても日傘広場だね
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どのくらい歴史があるんだろう
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いろいろな理由で豊島区はふくろう推し
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辻広場サミットを開催するときはここに座りたい

 

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辻広場が造られたのはこういう理由らしい
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こんな名所なら大歓迎である。区民じゃないけど

日傘広場は日光広場に比べるとだいぶ広く、ちょうど家1軒分の土地くらい。小さすぎる公園界ではかなり広大な部類である。日光広場と同じように地下には防火水槽があるみたいだけど、園内にあるのは真っ赤な日傘のオブジェとベンチがいくつか、それと放置自転車とバイクのみ。あと地面に大きなふくろうのタイルアート。ネーミングの元となっている(たぶん)オブジェは、日傘と言ってはいるもののスケルトンなので日除けにもならないけれど、真っ赤なカラーリングが印象的である。

しかし日傘のオブジェ、なぜ日光、というのと同じくらい疑問である。なぜ日傘。

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パラソルではなく雨傘でもなく、なぜ「日傘」なのだろう
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これのせいで少し裏ぶれてしまっている

豊島区/東池袋の辻広場/鎮守の森

次に向かったのは、同じブロックの中にある「鎮守の森」。広場という表記はなかった。

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途中で辻広場候補地を見つけた
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ここが鎮守の森
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鳥居?

ほかの辻広場と同じく、ここも一角に防火水槽や防災機材置場があるけれど、それより目立つのは鳥居のような形の入口。そして鎮守の森という名前だけど、社のようなものは見当たらなかった。

園内には水の流れていないミニチュアの滝のような水路、そして植物が植えられた花壇など。狭くはないが、何かして遊ぶようなスペースはない。でもかわいらしい公園である。

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この看板は比較的新しかった
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しかしこっちはほぼ解読不可能
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中心にある滝のような水路。夏は流れるのだろうか
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その脇にあった、こういう何の用途か分からない階段好き
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奥の方は花壇がたくさん

豊島区/東池袋の辻広場/さんさん広場

続いては5分ほど歩き、「太陽広場」と書いて「さんさん広場」と読ませる公園へ。それが目に飛び込んできた瞬間、いったい何なのか分からなかった。

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マンションの1Fが爆発したようにも見える太陽(さんさん)広場

太陽広場には、巨大な半円の太陽のようなオブジェがあった。そのほかテーブルやベンチもカラフルな色に塗られ、賑やかな公園だった(誰もいないけど)。

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面積の割にベンチやテーブルが多い
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これはオフィシャルの備品だろうか
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目の前に高層マンションが建設中だった。ここに入る家族はここで遊ぶだろうか

辻広場はまだまだあるけれど、キリがないのでまったく別のエリアの小さすぎる公園へ。地下鉄を乗り継いで、向かった先は大江戸線の蔵前駅である。

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台東区/蔵前/三筋児童遊園

蔵前駅から歩いて数分。マンションやオフィスビルが立ち並ぶ大通りを歩いていると、こんな光景に出くわした。

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なんか、この場所に似つかわしくないものが…
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さすがにこれは草

道路に面して建っているビルのエントランスかと思った場所が公園だった。ここは台東区の三筋児童遊園。よくマンションの敷地内に小さな公園があったりするけれど、なんと区立の児童遊園なのだ。これもかなりの出物である。成り立ちとか気にせず、と冒頭に書いたけれど、さすがにこれは気になる。近所で常連の子とかいるんだろうか。

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まごうことなき児童遊園の看板
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お気付きの点、めっちゃあるんだけど連絡して良いだろうか
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唯一の遊具。これまで何人の子供が遊んだだろうか

台東区/合羽橋道具街脇ポケットパーク

次はその道を1kmほど北上。しばらく歩いて有名なニイミの巨大なコック像が見えてくると、合羽橋の道具街のアーケードに入る。アーケードをしばらく進んで、その中心地である合羽橋交差点に差しかかる直前に、目指す合羽橋道具街脇ポケットパークがある。

ポケットパークと言えば、街中にあるごく小さな土地に木を植えたりベンチを置いたりして、ほんのひと休みができるような小さな公園だと思うけれど、ここのポケットパークはまたそれとは一線を画していた。

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アーケードの一箇所がぽっかり空いている。中は…
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金の河童像が鎮座!

 

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謂れを読むと「河童には優しくしなきゃ…」と思わせる

ポケットパークの奥には金色に輝く河童の像が置かれていた。まさにこの商店街の守り神だ。しばらく眺めていたら、合羽橋に買い物に来た外国人観光客が何人も入ってきて写真を撮っていた。ある意味、日本で外国人観光客がもっとも多く訪れるポケットパークかも知れない。

彼らの会話を聞いていたら、英語で何言っているか分からないけれど、会話の端々に「Kappa」という単語が出てきた。彼らにはどう見えるのだろう。

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地面にも巨大な河童が

河童橋から歩いて浅草に行き、バスに乗って東へ。隅田川を超えて本所吾妻橋駅に来た。ここが今日最後の「小さすぎる公園」のある目的地だ。

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墨田区/しいのき児童遊園

本所吾妻橋駅前からはすぐ奥に東京スカイツリーが見える。

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「そびえ立つ」という表現がこれ以上ピッタリあてはまる建造物もそうない

駅前から北のほうに2、3分歩くと目的の小さすぎる公園が現れる。墨田区立しいのき児童遊園だ。

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背景にスカイツリーが入る小さすぎる公園
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入口もかなり小さい!
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しかしこの小さい中にすべり台、砂場、ブランコという公園三種の神器が揃っている!

しいのき児童遊園、これまで見てきた小さすぎる公園からすれば別段小さくない。広くはないけどまあ、なくはない大きさだろう。しかし僕がここで気になったのはこれだ。

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なんとこの小さな公園が災害時一時集合場所なのだ!

「地震などの災害時にはここに集まって指定された場所に避難しましょう」と書かれている。ここには近隣の人がいったん集まってくるのだ。不謹慎だけど…、見たい…。この中に10家族くらいぎゅうぎゅうになって集まっているところを見てみたい…。

墨田区/横川一丁目こども広場

今回最後に向かったのは、本所吾妻橋駅から南に10分ちょっと歩いた場所にある公園。ちょうど錦糸町駅との中間地点くらいだ。

スカイツリーを背に歩いて行くと、目指す公園が現れた。看板は特になかったけど、事前調査によると横川一丁目こども広場というらしい。

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えーっとこのへんのはずなんだけど…(お約束)
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なんだ…これは…
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丸く段々になっている砂場のみの公園

ビルの谷間に、巨大な五右衛門風呂のような砂場とベンチが1つのみ。僕はこれを何と表現すれば良いのだろう。歓喜だろうか、それとも恐怖だろうか。そのどちらでもあり、どちらでもない気がする。こんな公園、想像したこともなかった。完全に価値観の外からやってきた小さすぎる公園。

これは、とんでもないものを見つけてしまった。もはや小さすぎるとか関係ない。僕はいま最高に興奮している。

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この砂場の誕生経緯を猛烈に知りたい
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あれかな、砂遊びじゃなくて相撲とかやるのかな
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電気設備設置のため一部削られたようだ。少し残念
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スカイツリーと1枚の写真に収めることができる。カースト上位と下位が如実に
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ちなみに公園の目の前がスカイツリーからの距離が高さと同じ場所

まだあった

毎回、小さすぎる公園を探し歩くたびに「これ以上はないだろう」と思う公園が出てくる。でもそれで終わりではなく、さらに上回る公園が出てきてしまう。まだ見ぬ小さすぎる公園もきっとあるだろう。いったいゴールはどこにあるのか。僕はどこに向かっているのか。また数年後にお会いしましょう。
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今回もどの公園でも子供が遊んでいるところを見なかった
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