このために始めたいといっても過言ではない
フェンシングは、もともと中世の騎士道から生まれた。「身を守る」「名誉を守る」ため、磨かれてきた競技だ。
挨拶や動作、審判用語はフランス語である。例えば、前進は「マルシェ(Marchez)」、後退は「ロンペ(Rompez)」だし、挨拶も「サリュ(Le Salut)」だ。
ここで思い出すのは、小さい頃見ていたアニメ、「ラ・セーヌの星」だ。普通の花売りの女の子が、事が起こればマスクとマント、剣を帯びて戦う、あれが大好きだった記憶がある。
フェンシング的なものへの憧れというのが生まれても不思議ではない。挨拶の動作など、これをやるために試合したいといってもいいくらいだ。
戦いの準備
「剣にキス」で自分にうっとりしている場合ではないのだった。今までは上半身はTシャツだったが、ユニフォームを着て突き合う練習に入る。
そしてマスク着用である。剣道の面は頭の後ろで固く結ぶ分、網に隙間があり、顔がかゆいときはこちょこちょとかく道具があった気がする(確か)。
でもフェンシングのマスクは、びっしり金網だ。まあすぐ外せるからいいのだろうか。
習うより慣れろといった感じで、先生がどんどん進めてくれるので、気持ちいい。よけ方を今日は2種類習い(実際は6種類)、先生との実習をしていく。
しかし、この時点で結構息が上がってきた。お腹がすいてスースーする。というのも、前日は徹夜で飲んで、朝はカップうどんしか食べられなかったのだ。
スポーツだから多少は動くことは覚悟していたが、これは「格闘技」なのだ。それを今さら思い知った。マスクをしているので余計に、周りの声が遠ざかっていくのがわかる。