「卵が好きだ」という気づき
振り返ってみると、『スタバ』以外の全メニューに卵が入ってた。そうか、自分はかなり卵が好きなんだ。無自覚だったが。
そしてもしかしてこの企画、どんなチェーン店でもいけるのでは。まだまだ今後も可能性がある気がしてきた。
チェーン店で、カスタムの範疇を超えたカスタムってどの程度できるんだろう。
たとえば、コーヒーのメニューからコーヒーの成分を抜いたり、カレーのメニューからルーを抜いたりしてみたい。
見慣れたメニューから重要なものを抜いてアレンジしてみたら、なにか発見できるかもしれない。どうにか新しい美味しいものを探し出したい!
以前『スタバ』のカスタムメニューの話をしてたときに、読者の方からこんな投稿をもらった。
コーヒーメニューのはずなのに、メインを抜きすぎでコーヒーですらなくなってる。カスタムって、そんなにもしてよかったのか!
「キャラメルマキアートのエスプレッソ抜き」ができるなら、逆はできるんだろうか。
逆というと…… 「キャラメルマキアートのミルク抜き」?
まずは「エスプレッソ抜き」から飲んでみた。味は予想通りの「キャ ラ メ ル ミルク!!」って感じの味だが、ふわっとしてるし、思ってたよりだいぶ美味しい。
問題はもう一方の「ミルク抜き」。ものすごく少量だが、どんだけ濃いんだろう。
苦い。苦いがキャラメルっぽさも強い。あれと似てるな……そう、プリンのカラメル部分が濃いときの感じ……?
編集部の古賀さんにも試飲してもらおう。
えっっ、このリアクションはどういうことだ。苦味か!!? 濃さの衝撃でアゴが……!?
最初に口にしたときは思いのほか苦く感じるが、慣れてくると意外とクセになる。みんな口々に「プリンですね、これ」と言ってる。やっぱそうだ、濃厚なカラメルっぽいんだ。
「キャラメルマキアート」から重要なものを抜いても、意外と美味しいと分かった。
抜くものを間違えると「ただの味が違うコーヒーミルク」になってしまう。それだと変わり映えがなく面白くない。
もし抜きすぎたとしても、トッピングによって更なる変貌も楽しめそうだ。
上の図をもとに、メニューを分解してみると「重要ポイント」「味」「トッピング」に分けることができた。どれをどうするかで、かなり印象は変わる。
「キャラメルマキアート」の場合は、「エスプレッソ」か「ミルク」のどちらかを抜くと、かなり変わる。
ほかの店のメニューでも、重要なところを変えてみたら味や印象がガラッと変わるんじゃないか。試してみよう。
まずは『ココイチ』でカレーメニューのカスタマイズをしてみたいが、それってどの程度できるんだろう。
「カレー抜きのチーズハンバーグカレーって、できますか?」と聞いてみた。
思いのほか店員さんが戸惑ったところを見ると、「カレーを抜きたい」って注文自体珍しいのか。
どうやらこの場合、「ライス(150g)」と「チーズハンバーグ」を単品ずつ注文することになるらしい。(ちなみにカレーの普通盛りの場合のライスは300g。)
「カレー抜き」という扱いではないにせよ、カレーを抜いたのと同じものを注文できた。
なんとなく「ライス+チーズハンバーグ」だけだと物足りない気がしたので、「半熟タマゴ・タルタルソース」(※これでひとつのメニュー)をトッピングすることにしてみた。
ここで注文したものは、さっきの表に当てはめるとこうなる。
タルタルが乗ったご飯(タルタル丼?)ってあんまり聞かないけど、普通に美味しい!
これはかなり有益な発見じゃないか! けど実際、カレーの匂いが充満した店内で、敢えてカレーを頼まないのは結構難易度が高い。
つぎはこちら。『サブウェイ』でもカスタム注文してみよう。
『サブウェイ』では、サンドイッチの「パン抜き」という裏技が有名だったが、どうやら去年から「その場合は増額で、サラダ増量」となったようだ。
なので「ターキーベーコンエッグ」のサラダ、という注文の仕方をした。
これだと「パン抜きじゃなくたっぷりとサラダを購入しただけ」ような感じではあるが、実質まあ「パン抜き」と同じということにしよう。だって同じだから。
「パン抜きを買ってみた」ということになってはいるが、何も知らない人から見たら「ただのサラダの差し入れ」でしかないんじゃないか……
とか思いつつ、食べてみる。
ただの「美味しいサラダ」で、サブウェイっぽさはほぼ感じられない。敢えて言うならピーマン多めなのがちょっと「サブウェイっぽい」が……。
せっかくならもっと「サブウェイっぽさ」を感じたくないか。
サンドイッチの歯ごたえを再現できれば「サブウェイ」っぽさがでるかも? それならかたまり感があればいいのでは? と話がまとまり、よし……それならこの方法で……
おおっ、いきなりサブウェイ感が増した! 歯ごたえと味に覚えがある。
ただ手で食べるだけじゃなく、具で層を作らないとサンドイッチ感は出ない!!
なぜかいつの間にか「サラダをサンドイッチだと思い込むため方法」を考える展開になっていた。本筋からは外れたが、新しい知見だ!
最後は『すき家』だ。シンプルに「牛丼」を選ぶことにした。
今までのルールに従って重要なところを抜く場合、「肉抜き」か「米抜き」となるが、なんとなく「米」より「肉」のほうが重要じゃないか、「牛丼」って。
なので、「牛肉抜き」のつもりで来店したのだが、途中で「米抜きでもいいのでは?」と思えてきた。
い……いやだって、肉が美味しそうだったから、つい。
トッピングは、キムチ、高菜、温泉卵。かなり盛ってみた。
一応、パンを抜いたサブウェイと同じ抜き方ではあるか。炭水化物抜きのダイエットメニューっぽさがある。
例の表に当てはめるとこうなった。(一応説明しておくと、たとえば元のメニューが「キムチ牛丼」なら、「味」の欄に「キムチ」がくるが、元が「牛丼」なので「キムチ」は「トッピング」にしてある。←細かいルールで分かりづらいかもしれないが)
全部がかなり濃い味なので、全体的に味と味がぶつかりまくってる。とにかく濃い。
美味しい。けど食べてるうちに米が欲しくなってくる……。それかビール。
いつかこれを家飲みのつまみとしてテイクアウトしよう、と心に決めた。
結局のところ、どのアレンジのがよかったのか振り返ってみよう。
だいたいの食べ物・飲み物は「軸となる味」と「それを薄めるもの」で構成されている。
味の軸となるものを抜く代わりに全く別のものを投入すると、印象がガラリと変わって、変化も大いに楽しめた。
「カレーを抜いて、タルタルソースが代わりに来た」ことでかなりの意外性を感じたあの『ココイチ』のメニューが、個人的には一番成功したアレンジだったなと思う。
大きなアレンジをしたい場合、店で一番目立ってるものを我慢する必要があり、修業みたいでもある。(『ココイチ』ではカレーを我慢できたが、『すき家』では負けた……。)
意外性のあるメニューは、その我慢に勝った者のみがありつけるんだ……! と思うと、ありがたみを感じてきた。
振り返ってみると、『スタバ』以外の全メニューに卵が入ってた。そうか、自分はかなり卵が好きなんだ。無自覚だったが。
そしてもしかしてこの企画、どんなチェーン店でもいけるのでは。まだまだ今後も可能性がある気がしてきた。
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