今回はライターの米田さんと、わたくし編集部の古賀がこの世をエンジョイするTODOを試しています。すぐ読みたい方はどうぞずずーっとスクロールしてください。
その前に、今年のカレンダーってどういうこと? という方はまずはお付き合いを……。
「エンジョイこの世カレンダー」とは
冒頭でご紹介したカレンダー、文字だけだとちょっとピンとこないですよね。こういうことになってます。
こんな具合で365日! やると面白い、やんなくてもちょっと面白い、世界が広がるTODO集になっています。
このTODO、実際やるとどんな感じなんだろう? ということで、米田さんと私で実践したのがこの記事、というわけなんです。
なお収録したTODOは関係者と、サイトを支える有料の会「はげます会」の会員さんに考えてもらいました。 米田さんも私も、自分で提案したTODOを責任もって回収する記事でもあります。
「好きな食べ物はなに?」と聞くためだけに、愛知に住む両親に電話をかけた。
以前から聞いてみたいとは思っていたが、電話で聞く用件にしては唐突すぎる。それに、普段から親に電話をかけないことが相まって、妙に緊張する。
これはTODOだ。TODOを消化するために行うのだ。
「親に好きな食べ物を聞く言い訳」を自分に言い聞かせていると、スマートフォンの向こうから父の声が聞こえてきた。
父の好きな食べ物はステーキ
米田:お父さんの好きな食べ物を教えて欲しいんやけど。仕事(TODO消化)で聞かないかんくって。
父:なんやその仕事。好きな食べ物なあ、なんでも食べるけどなあ……ステーキかなあ。
米田:なんでなん?
父:おいしいし、お酒にも合うし。
米田:好きな部位は?
父:ロースかなあ。
米田:ステーキといえば、お父さん「ハードロックカフェ」好きやんね。
緊張からなる誘導尋問のようなやりとりに耐えられず話題を曲げた。ステーキといえば、アメリカ。
「ハードロックカフェ」とは、世界各地に店舗があるアメリカンレストラン。父は洋楽が好きで、昔はよくこのカフェのロゴが背中にデカデカと入った革ジャンを着ていたことを思い出したのだ。
父:ああ、ハードロックカフェな、好きやね。
音楽もハンバーガーもあるし。あと、どこの国のお店もだいたい同じ雰囲気なのがいい。
米田:音楽とハンバーガーがあって、どこのお店も同じ……それ、愛知県民でいうところのコメダを好きな理由と同じだがね。
母の好きな食べ物はたくさんあった
父から無事好きな食べ物を聞けたので少し緊張がほぐれた。流れに乗って母の携帯に着信を入れる。
米田:仕事(TODO消化)のために聞きたいんやけど、お母さんの好きな食べ物ってなんやった?
母:ごはん?おやつ?
米田:好きな食べ物ならなんでもええわ。
母:なんやろ。甘栗?落雁?羽二重餅?こしあん……あ、ソバ!
あわただしく食べ物の名前だけが飛んでくる。
母:昔はよく1キロの袋のあんこを買って食べとったがね。
ムカついた時に、あんこを「ガーッ」と食べて、コーヒーを「ガーッ」と飲んで、それからフランスパンを丸々一本食いちぎって……。
爆食いすると何か成し遂げたような気持ちになるから。
米田:なんでそんなにムカついとったんやっけ。
母:ワンオペだったからだが。
米田:あー、子育て。
子どもが成長して今はそこまで怒ることもなくなり、爆食いもしなくなったそう。ほっとする。
通話の合間に「私の好きな食べ物って、なんやったかなあ」と、電話の向こうにいる家族に尋ねていて、そのクセの強い話し方に自分との血のつながりを感じた。
あたらしい発見となつかしい発見があるTODO
緊張しながらかけた電話。終えてしまえば達成による爽快感と、久々に両親とコミュニケーションを取れて良かったという気持ちが残った。
普段したくてもできない行動の言い訳に「エンジョイこの世カレンダー」、いいと思います。
衣類をなんとかするのは手っ取り早くおもしろい
ちょっといつもと違うこと、自分じゃやらないこと、人生にあらたな発見を得て楽しむのに衣類をなんとかするのは手っ取り早い方法だ。
今回のカレンダーにも衣類ミッションは多数収録された。たとえばこんなの。
おしゃれじゃないレベルのオーバーサイズの服を着る(4/25)
あえて後ろ前に着る(6/28)
半年先の服装を決める(1/12)
半年前に決めた服を着る(7/12)
そのなかで私が提案したのが7/25のミッション、「10年前に着ていた服を探す、あれば着る」というわけだ。
ちょっといつもと違う、自分じゃやらないこと、でもそれは、10年前の自分にとっては普通だったことだなんて、時空を超えたロマンではないか。
10年前に生まれてない読者のみんなは羊水を着る
ここで謝らなくてはならないのは、このミッションはローティーンの方が対象外になってしまったこと。10年前に生まれてないみなさん、すまん。
さらに10代の方にはちょっと難しいかもしれない。
15歳でも10年前は5歳。5歳のときの服を誰かがとっておいてくれたらそれはシンプルに良い話なのでどうか存分に泣いてください。
20代のみなさんはどうだろう。学生時代の服、あるだろうか。制服とかあったりするのかな。
30代、40代以上になってくると10年さかのぼってもすでに大人のみなさんですね。
私もそうです。
なんて変わった柄のズボンだろう
というわけで、探してました。結構ある! 10年前だと我々大人にとっちゃあ案外こないだなんですよね。
ドンズバで10年前にめちゃめちゃ良く着てた服で、最近は全く着ていないやつ、ありました。
これ、2009年にあの「FOREVER 21」が日本に大々的に再上陸してすぐに買ったもの。
タンスで生き続けるFOREVER 21
FOREVER 21といえば昨年アメリカ本国で運営会社が倒産し、日本でも全店が閉店した。
でもこうして、世界各地の家のタンスには最後の1着が廃棄されるまで残り続けるのだと思うともう感慨だ。
タンスを時間軸で眺めるの、おもしろい。
それにしても変わった柄だし、当時はサルエルパンツと呼ばれる股下にゆとりのあるズボンがもてはやされはじめた時期だということを組み入れてもなかなか独特の服だと思う。
今になってみればなんでヘビーユースしていたのかちょっとよくわからない。
着てみた。
あー、そうだそうだ、ストレッチがきくんだ、それにとても軽い。動きやすいので重宝したんだ。
そう! 洗濯しても化繊ですぐに乾いて楽だった。そうだそうだ。
ちなみにトップスは20年以上前、当時通っていた学校の学園祭に出展していた古着屋で買ったもの。
来年の7/25はみなさんもぜひ、10年前に買った服を探して再開してください。とくに感慨もなく過去が思い出されて可笑しいです。
思いもしないことをやろう
ひょっとこなTODOばかりのカレンダーだなーと思っていましたが、米田さんのTODOはハードルを極限まで下げた「ファミリーヒストリー」みたいなことになってました。
先週も井上マサキさんとトルーさんのTODOやってみた記事を公開して、こちらは「やってみたかったけどやるきっかけがなかったこと」と「思いついてはいたけどやるほどでもなかったこと」をわざわざやった恰好でしたが、今回の米田さんと私のTODOはいよいよ「思いもしないことをやる」のに近かったです。
なんでこんなことしてんだろ? がおもしろいカレンダーです!
ぜひぜひみなさま、ジョイナスです~。