意外と大人向け
佐伯:「タンタンの冒険」シリーズ、知ってますか?
唐沢:歯医者さんとかに置いてある!
佐伯:いい歯医者ですね(笑)。
この3冊が特別おすすめってわけじゃないんですけど、シリーズで推してます。
佐伯:幼稚園の時に読んだきりだったんですけど、最近読み返したら 「こういう話だったんだ!」って、大人になってわかることがけっこう多かったんです。
石川:そうなんだ。僕は読んだことなくて、子ども向けのイメージだった。
佐伯:なので、読んだことない人も、子供の頃読んだけど大人になってから読んでないって人もぜひ、と思ってます。
主人公のタンタンは、私ずっと冒険家の少年だと思ってたんですけど、読み返したらルポライターだったんです。
唐沢:無職じゃなかった。
佐伯:ポケモンのサトシみたいな、趣味で冒険してるのかと思ったら。
安藤:仕事だったのか!
佐伯:年齢は14歳から17歳ぐらい。その子が事件に首突っ込んだり巻き込まれたりしながら、冒険をして事件を解決していく話。24作ぐらいあって、どこから読んでもいいんです。「表紙が可愛いから」で選んでもいいし。
でもお話が意外に大人向けなんですよ。
唐沢:私はそういうイメージあります。小さいころに読んで挫折しました。
佐伯:これ(金のはさみのカニ)なんかアヘンの話なんですよ。カニ缶の中にアヘンを詰めて密輸してるのをタンタンが発見しちゃって、その密輸組織を追い詰めていく、みたいなお話。
安藤:おもしろそう。
佐伯:面白いんです。だから大人が読んでも面白いし、子供が読んだらちょっとわかんないかも。
それだけじゃなくて、他のも薬の話とかカジュアルに出てきたり、 バンバン銃で撃ち合ったりとか、酒もめちゃめちゃ飲むし、けっこう大人向け。
石川:こんなに絵本みたいな見た目なのに(笑)。
唐沢:福音館書店なのに。
マンガとしても画集として楽しめる
佐伯:で、絵がやっぱめっちゃいいんです。読み返して改めて思って。
話の展開も早いので、長セリフとかわからなくて読み飛ばすと、その後わかんない(笑)。子供のころは絵だけ読んでたんですよね。こういう船の絵とかめちゃめちゃかっこよくないですか。
石川:ほんとだ。
安藤:こんなにちゃんと描き込まれてるんだ。
佐伯:そのうえマンガとしてもよくできてて、このシーンは過去の回想をしてるんですけど、
佐伯:この青い服の人が出てくるのが現在、紫の服着てる人が出てくるのが過去で、現在で語りながら過去を回想してるのを並行して見せてるんです。
そういう描き方もすごくかっこいい。
佐伯:こういう構図もめちゃめちゃかっこいい。
安藤:飛行機のシーン?
佐伯:はい、これは飛行機に乗って氷山の海面に突っ込んでいくっていうシーン。
その途中のコマなんですけど、コックピットに乗ってる人の、ここ(後頭部を指して)からの視点なんですよ。
一同:
はい、はい、はい
佐伯:これすごいなって思って。めっちゃかっこよくて。
唐沢:正面で表情見せるでもなく
佐伯:外側からの遠景でもなく
安藤:後ろからっていうかっこよさ。
佐伯:単純に、イラストとしてよくて、ほんと画集みたいな感じで楽しめます。
唐沢:(パラパラめくって)またお酒飲んでる(笑)。
佐伯:そう。めちゃめちゃアルコール出てきます。
大判本だからこそからの良さ
佐伯:で、なんでこれがこんなに画集みたいな感じで楽しめるのかって言ったら、やっぱりこのサイズ感だからなんです。
一同:あー。
佐伯:最近の漫画ってめっちゃ小さいじゃないですか。あの小ささではあんま伝わらない。
唐沢:たしかに。
佐伯:文庫だともっと小さく。電子で読むともっともっと小さくて、ちょっと無理あるなって感じるんです。前に魔夜峰央先生(※)の原画展に行ったら、もうめちゃめちゃ綺麗だったんですよ。
※漫画家。「パタリロ!」「翔んで埼玉」など
本当にすごい繊細で、めっちゃ綺麗で、こんな書き込みしてたんだ!ってすごい感動して。それと同時に、それをこんなにちっちゃく印刷するのって、伝わらないよなーって。
石川:なるほどね、そうかそうか。
佐伯:この本も、「このサイズで読めることの豊かさ」みたいなのを感じたんですよね。
石川:さっき「絵本みたいな見た目」って言ったけど、それが大事なんですね。
佐伯:そうなんですよ。私もKindleとか読んでますけど、やっぱりこのサイズでこの紙じゃないと良さ伝わらないなっていう作品はある。それがこのシリーズです。1コマ1コマほんとうに超おしゃれ。
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