とにかく奇抜すぎるミステリー
安藤:ミステリーが好きでほんとにミステリーばっか読んでるんですが、中でも島田荘司は一番好きかも。みんな読んでますか?
一同:……。
安藤:そうなんですよね、なかなか読んでる人に出会えなくて。でもプロの小説家なんかが好きな作家をあげると絶対に入ってくると思うんです。
石川:ミュージシャンズミュージシャンみたいな。
安藤:そんな感じかも。多くのミステリー作家は影響受けてると思うんですよ。どれを読んでもめちゃくちゃ面白いですよ。
さだかではないですが、たぶん100冊以上書いてて、僕は50か60くらいは読んでると思うんですけど。一冊たりともハズレがないんです。
唐沢:へー
安藤:ミステリーってだいたい殺人事件があって、その謎を解く話なんですが
石川:はい。
安藤:この本は、起きる事件が奇抜すぎるんですよ。
島田荘司って大体そうなんですけど、トリックが壮大すぎて意味がわかんないんだけど、最後にはなるほどって納得しちゃう、っていう。
その中でもこれは特にすごいんです。まず浅草で老人が消費税12円を請求されたとこに腹を立てて女性店主をナイフで殺します。
佐伯:すごい小さい発端から。
安藤:そのあと起きることをネタバレしない程度に言うとね、まず電車の中でピエロが躍ってるんです。
唐沢:「まず」??
安藤:そして老人がハーモニカを吹いてます。で、さっきのピエロが拳銃自殺をする。そしたら今度はその電車が人を轢いちゃうんですよね、たしか。で、その轢いちゃった人を電車に乗せて、次の駅で警察に届けようとしたら、その人が生き返って電車の中を歩き回るんです。
唐沢:??
安藤:これ全部12円で人刺したところからの流れなんですよ。すごいでしょ?
唐沢:すごいですね。すごいけど納得はできないですよ(笑)
安藤:そうこうしてるうちに巨人が出てきて、電車を持ち上げて爆破します。
石川:……えっと、そのミステリーを解く人は誰なんですか?
安藤:警察ですね。
唐沢:警察なんだ。
佐伯:これ解けるの優秀だな。
安藤:警察がたまたま電車に乗ってて捜査するんだけど、あまりにも奇想天外なんすよ。起きることが全部わけわかんない。でもそれを1個1個解明していくんです。
……そうすると、最後には全部繋がるんですよ。
唐沢:えー
安藤:ピエロが自殺して、巨人が出てきて列車を持ち上げるのも、全部つじつま合うんですよ。壮大すぎるけど全部トリックなんです。
唐沢:消費税どこ行ったんですか?
安藤:それも最後にわかる。
石川:巨人とかピエロとかって、ファンタジー的な要素に思えるんですけど、現実的なトリックなんですか?
安藤:そう。全部それがね、繋がるんです、最後に。
そんなわけないだろ、そんなわけないだろ、ってどんどんとんでもない出来事が起きるんだけど、最後の最後、一気にそれが収束していくんですよ。そこがうまくまとまるのが島田荘司のすごいところで。
唐沢:もし新人作家が同じ筋書き持ってきたら、どうしよっかな……ってなりますよね。
安藤:編集の立場だったらビビるでしょうね。でも島田荘司はこうやって壮大なトリックをまとめていく天才で、中でもこれが1番すごかったと思いました。
本当に読んでない人はラッキー
唐沢:さっきのあらすじ、まだ信じてないんです。安藤さんが言ってるのぜんぶ嘘かもしれないなって思ってます。
石川:読んでみて、全部嘘だったら笑うな。
安藤:本当に!全部つじつま合うんですよ。最後。
石川:轢かれた人が生き返るのも?
安藤:轢かれた人は、頭がもうどっか行っちゃったから体だけ電車に積むんですけど、それが歩き出すんです。
石川:あー、そういうことか。
唐沢:わかったんですか!?
石川:いや(笑)。生き返ったなら推理しなくていいじゃんって思ったんです。でも頭がないから推理しなきゃいけないんだ。そのすごい小さいところがわかった(笑)
安藤:それもね、全部絡んでくるんですよ。全部まとまって1個の犯罪になって終わるっていう。島田荘司の本はだいたいそうなんですよ。
「水晶のピラミッド」っていうまた別シリーズの傑作があって、それは紀元前3,000年から始まります。
一同:ははは
安藤:壮大すぎるんす。でも、それが事件のきっかけになってます。
佐伯:ほんとに壮大すぎる。
安藤:本当に読んでない人はラッキーですよ、これからまっさらの状態で読めるんだから。絶対読んだ方がいいです。
唐沢:自分が生きてる間にこんな本が存在してたっていうのに、びっくりですね。なんで誰も言ってくれなかったんだ。
安藤:作家のインタビューなんかで「誰に影響受けてますか」って質問されると、けっこう高確率で島田荘司の名前が出るんです。
中山七里とか東野圭吾とかめちゃめちゃ面白いんですけど、ぜったい影響うけてるはずなんですよね。
そんな島田荘司の中でも一番やばいのが、この本だと思います。日本ミステリーの大傑作と言ってもいいくらい。なんとしてでも、これだけは読んでください。
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