エクセルもエンターテイメントに
エクセルのオートフィルを台車マウスでやってみた。
台車を引くと十二支の動物が現れるなんて古事記のようである。
地味と思われたソリティア、エクセルまでエンターテイメントにしてしまった台車マウス。来年の確定申告は台車マウスを使って必殺技のように叫びながら電子申告しよう。
「扶養控除、あり!」とか。
イメージクラブのサイト https://i-m-a-g-e.club/
マウスをでかくしたいと思っていた。
マウスが大きいと動かす人とクリックする人が分かれることになる。ソリティアだってエクセルだって、あらゆるPC操作が協力プレーになるのだ。
「右いくぞ!」「よし、クリック」「(声を揃えて)ドラッグ・アンド・ドロップ!」
まるでキャプテン翼のようになるだろう。まさにeスポーツである。
ベースは台車でいいだろう。
台車の底にマウスを貼り付ければマウスになるのではないか。
しかしマウスは2ミリ浮いただけでも動かなくなってしまう。凸凹した床の上で、常に2ミリ以内でマウスを浮かしておく必要がある。
バネで押し付けるか…、マウスが床の上のホコリを全部とることになって考えただけでぜんそくになりそうだ。
そのうち頭が良くなったらやろうと思っていたら救世主が現れた。
イメージクラブはブラジルにつながってる穴を作ったりウェブメディアびっくりセールに出展している愉快な技術集団である。
イメクラと略すと一気に違うものになるのがいい名前だ。(本当にイメクラではないです)
そこのプログラム番長の高田さんがウェブカメラをマウスにするプログラムを書いたのでそれで台車マウスができるのではないかとのこと。
ふざけている入社1年目のようだが、これがなんとマウスになっているのだ。
原理は本記事後半で紹介するが、まずは動いているところを見ていただきたい。
マウスだからカーソルが動いて当然なのだが、でっかくなるだけで笑える。
ソリティアが二人同時プレイのゲームになった瞬間である。マウスの前後左右の動きは台車そのものを動かし、クリックは台車に乗った人が手元ボタンで操作する。
「ナースコール用のボタン、すごく丈夫にできてて引っ張ってもケーブルがぬけないようになっていました」
とのことだが、これは丈夫な部分をすべてスポイルして改造してある。
こちらが実際のプレー動画である。
「乗せます」
「はい、離しました」
というやりとりが引っ越しのスタッフっぽい。キャプテン翼ではない。
かつてうちに来たアート引越センターはタンスを二人で持って「次、右曲がります」「いったんおろします。はい、おろしました。」なとど声を掛け合って運んでいた。丁寧な言葉がプロっぽい。
いまソリティアをしながらそれを再現している。おれはソリティアのプロになった。
そして、酔う。
自分の意思とは別に前後左右に動かされ続けていると気持ち悪くなった。VRや3Dも酔うと言われがちだ。つまり、この二人ソリティアもVR並みの技術であることの証左である。
そして気づいたのが、ひとりゲームは言葉がきちんと統一されてないということである。
ソリティアはひとりでやっているので、♣を「もじゃっとしたやつ」とか脳内で勝手な呼び方をしている。
チームプレーになるとそれをうっかり人前で言うことになり、先生を”お母さん”と呼んでしまったような恥ずかしさがある。
野球でも「バント」を「なんかこつっとあてるやつ」と言わないように、チームプレーの第一歩は言葉の統一である。
そして体力を使うので手詰まりになったときの落胆が大きい。
身体を使っているせいか、パソコンでやるソリティアよりも全然うまくできないのだ。ホワイトボードに書いていると紙に書いているときよりも感じが出てこないように、だ。(この現象は僕だけかもしれないけど)
4回の手詰まりのあと、ようやくクリアできた。
クリアしても喜びがほぼ「あ”ー」である。
さて、このマウスはどのようにして実現しているか。図解するとこんな感じである。
台車にはカメラがついている。
このカメラは写るものがどれだけ動いたかを検出する。つまり、自らが(台車が)どれだけ動いたかが分かる。
この台車が動いた情報を、別のパソコンにマウスの動きだと勘違いさせる。
ということらしい。
きちんと理解できているかかなり怪しいが、台車は僕が選んだ。
たいていの台車は前が自在で、後輪は固定なのだ。だから真横には動かない。4輪が自在キャスタだとつるつると滑るように動いてしまって使いにくいのだが、マウスとしては最適だ。
きっとマウス用に売られているに違いない。
このしくみを作った高田さんのすごさを説明しようとしても技術的な話になって伝えられる自信がないのだが、カバンがシンプルで分かりやすい。
すべての持ち物がフィットする。花粉症の薬のCMで見る鍵と鍵穴のようだ。こんなちゃんとした人はそうそういない。
プロジェクターの映像が見えやすいように部屋を暗くしたのでライトを追加した。
しかしこのライトまでカバンからすぐ出てきた。アパート経営とかやっても成功するだろう。
エクセルのオートフィルを台車マウスでやってみた。
台車を引くと十二支の動物が現れるなんて古事記のようである。
地味と思われたソリティア、エクセルまでエンターテイメントにしてしまった台車マウス。来年の確定申告は台車マウスを使って必殺技のように叫びながら電子申告しよう。
「扶養控除、あり!」とか。
イメージクラブのサイト https://i-m-a-g-e.club/
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