昔の自分とは違う
八仙果に動揺しただけの10年前とはちがい、2026年の私はしっかりとその味わいを感じることができました。少しだけ誇らしげでいさせてください。
台湾の友達に「八仙果好き?」と聞いたら、「昔は小腹が空いたときの『点心』(おやつ)として家で出てたけど、最近はあまり食べない」と言っていました。
とりたてて「独特な味」とは言っていなかったので、日本でいう納豆ポジション(クセのある味だが好きな人は好き)という訳でもなさそうです。
中華圏の漢方のど飴「八仙果(パーシエンクオ)」。
10年前台湾で口にしたとき、いまだかつて経験したことのない味の総体にバチバチに面喰らってしまい、何一つ言語化できませんでした。
そんな八仙果をライターのみなさんと一緒に試食することに。さあ、あのときなし得なかった言語化をするんや・・・!
10年前、はじめて台湾を旅したの時のこと。
一緒に行った大学の友達が「テニス部の先輩から『珍しい食べ物を買ってきて』って頼まれている」とかで、観光地・九份であれこれ珍味を探すことに。
そこで出会ったのが八仙果でした。
「私も食べてみたい」と店員さんに無邪気に試食させてもらったところ、
なんか味と刺激が多すぎる…!
「おいしいorおいしくない」の価値判断にたどりつけず、「この味が存在していることを信じるor信じない」という段階であたふた…。(食べ物に対してふところが深い自負があったのに、しっかりパンチをくらいましね…。)
「台湾の人はほんとうにこの八仙果を食べるのかな…」と懐疑を抱いてしまったのですが、次の日、1月頭の寒い台北の町中を歩いていると、
昨日の八仙果の味に度肝抜かれてほやほやの私は「八仙果を日常生活で自主的に食べてる人おる!!」とダバダバ驚いてしまいました。
あの時の怒涛の経験を整理することなく、長い年月が過ぎました。
そして去年の台湾旅行で、チェーンのスーパーマーケット「全聯福利中心」のキャンディ売り場を何気なく冷やかしていると、
あの八仙果と再会しました。
この前見たときとはかなり違うパッケージです。
漢方医のおじさんの左隣に「沁涼回心(さっぱりリフレッシュ)爽聲潤喉(のどにうるおい、声もさわやか)」の惹句、そしてダメ押しの「生津潤喉(のど・口潤う)」…!のど飴としてのポテンシャル、大アピールです。
いろいろ経験を積んだ今なら、私も八仙果を真正面から受け止められるかもしれない…!味わいを言語化、できるかも…!
震える手で購入、そして帰国。
実はこの直前に、高級食材・はばのりの試食会をしていたのですが、そのまま謎めいた飴の体験会にスライド…!「試食会の抱き合わせ」という技です。
まいしろさんは、北欧の独特なテイストの飴・サルミアッキの試食会で苦い思い出があるそう。八仙果は大丈夫なのでしょうか⁉
それでは開封です。
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西村さん「おお!」
石川さん「ああ~!」
唐沢「古い漢方薬局そのものみたいな香りですね…!」
年季の入った薬屋に足を踏み入れたときのような、さまざまな漢方がからみあう強いにおい…!
まいしろさん「台湾の匂いがする!」
西村さん「台湾の迪化街とか、バンコクの中華街を歩いている気になる」
香りは上々、さてお味は…⁉
おそるおそる舐めると、最初は金柑のふんわりとした甘みがメイン、次第にレモンやハッカのスッとした清涼感とちょっとした苦味、そして桂皮(シナモン)の風味が一気に押し寄せてきます。
「たくさんの野菜が入ってます!」と謳いつつ、ほぼトマトとにんじんの味しかしない野菜ジュースとはちがった体験。
それぞれの植物の味がわかるようになり、複雑な風味の内訳がわかるようになったからでしょうか…!(もしくは10年前に食べたものがガツンと来るやつだったからかも)
つづいて西村さんが試食。
なんだか雲行きが…。
橋田さん「ダメっぽい…?」
西村さん「いや、大丈夫です…!」
わかります。いろんな味が展開してくるので、「一旦様子見よう」ってなるんですよね
西村さん「かんきつ系がつよいんだけど、あとから甘草の味がしてくる。仁丹噛んだときみたい。」
仁丹の成分を調べてみると、甘草、陳皮、茴香など、八仙果と同じ生薬がふくまれていました。
唐沢「噛んだらコアからめっちゃ強い味が出てきますね…!」
八仙果はソフトキャンディのような食感。やわらかさに誘われて噛んでみると…
一言で表すと、苦爽やか甘くさい!(お寺の本堂を濃縮したみたいな口内になります。)
やはり、みかん系の安心感は揺るぎないようです。個性的なメンバーのばかりのクラスでも、みかんがいれば1年やっていけそう。
ここまでの3人は八仙果にあまり抵抗がありませんでした。
さて、まいしろさんです。
まいしろさん「先、水用意していいですか?」
ダメだったときの準備も万端。果たして⁉
ちょっとダメだったようです。
ただ、かんきつ系ファーストインプレッションだけはよかった模様。
まいしろさん「食べたことない味が順番に来ます…!」
石川さん「シャッターを切る度、違う表情になりますね」
味覚と健康のコスパを考えざるを得なかったよう。生薬の感想と同じです。
石川さんはどうでしょうか。
石川さん「漢方の味のみだったらきついかもしれないですけど、こんなにかんきつ系の味がするんだったら全然いけますね」
異名まで授与していただきました。八仙果の間口を広くしてくれてありがとうございます…!
これで全員の試食が終了。5人中4人はあまり抵抗はなく、まいしろさんも「ぜったい無理」という感じではありませんでした。
石川さん「噛むと、すべての花がブワーっと開きますね」
まいしろさん「集中してみかんの味だけ探し続ければ大丈夫かも」
唐沢「私は好きです。結構食べ続けられますね」
西村さん「口の中がかなりさわやかになるから水飲んでみたい」
橋田さん「んー怖くて噛めない」
八仙果は、「おいしいorおいしくない」の二択にとどまらず、味の展開・食べ方などなど感想が百出する食べ物でした。
八仙果に動揺しただけの10年前とはちがい、2026年の私はしっかりとその味わいを感じることができました。少しだけ誇らしげでいさせてください。
台湾の友達に「八仙果好き?」と聞いたら、「昔は小腹が空いたときの『点心』(おやつ)として家で出てたけど、最近はあまり食べない」と言っていました。
とりたてて「独特な味」とは言っていなかったので、日本でいう納豆ポジション(クセのある味だが好きな人は好き)という訳でもなさそうです。
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