出てこい、バーコードバトラー級のコペルニクス的発想
子ども心にも「これ、最高の発想だな!」と思えたバーコードバトラー。わずか2年程度の天下で終わったが、ただのバーコードがすごい遊び道具と化した記憶は今も鮮明だ。
令和にも、アッと言わせる驚愕のおもちゃが出て、トイザらスに行列ができるところを見たい。そしてその中の一人として、僕も加わりたい。
平成にブレイクしたおもちゃの中で、ひときわ異彩を放つのが平成3年(1991年)にエポック社から発売された、「バーコードバトラー」である。
これはバーコードの数値を生命力・攻撃力・守備力などのパラメータに置き換えて1対1で戦い、強さを競うおもちゃのこと。僕ら世代なら、いろんな商品のバーコードを勝手に切り取ってもれなく大人に怒られたものだ。
平成から令和に移り変わったいま。平成を彩った商品たちを、バーコードで戦わせてみるとどんな結果になるのか? 夢の対決を行ってみた。
※この記事は2019年のゴールデンウィークとくべつ企画のうちの1本です。
これが記念すべき初代・バーコードバトラーだ。定価は6800円だったが、いまはメルカリにて1000円で買える。
商品についている「バーコード」で戦う、そんな狂気の発想で爆発的にウケた。
中でも当時の月刊コロコロコミックは紙面で大々的に紹介され、愛読者だった僕はまんまと影響されて購入し、思いっ切り楽しんだ。
その熱中ぶりは、当時全国的に開催されていた大会に出場するほど(ちなみにあっさり一回戦で敗退)。
と、こんな感じで商品ごとの強さを競って楽しむものだった。
1992年には「バーコードバトラー2(7800円)」も発売され、そちらも人気を博す。
しかし、そもそもやりこみ要素が少ない上に、業者が強いバーコードを量産したり、バーコードをつぎはぎして強くするやり方が広まったりなどの理由で、1993年ごろから勢いに陰りが見られ、一気にブームは去った。
平成には、数えきれないほどのヒット商品や記憶に残る商品があった。それらの優劣を戦わせることなど普通はできないが、バーコードバトラーならできる。
ならば日経トレンディなどはまずやらない、「平成最強商品 決定トーナメント」を行おう。
GW終盤を生きる皆さんはお忙しいと思うので、さっさと試合をはじめる。
先制攻撃を決めたへぇボタンだったが、いかんせん生命力が300と低すぎた。次の攻撃を冷静にヒットさせた、たまごっちの圧勝。
10000もの豊富な生命力を誇るセガサターンに対し、バーチャルボーイはたった200。あっさり先制攻撃を受け、いきなりやられてしまった。たったの半年でソフトのリリースが途絶えてしまった、ボーイらしい末路だ。
平成No.1アイドル対決。接戦が予想されたが、「世界に一つだけ」の花の会心の一撃がいきなり炸裂し、LOVEマシーンはあえなく崩壊した。
先に攻撃を仕掛けたのはダンディ坂野。しかしあえなくミスでダメージを与えられない中、「白い雲のように」は会心の一撃でダンディに2500のダメージ。
ついにダンディ坂野は1ポイントもダメージを与えることができず、猿岩石の前に瞬殺負けした。まるで今の有吉&ダンディ両氏の芸能生活を比べているかのようだ。
準々決勝第1試合は同時期に発売されたアイテム対決。
たまごっちはWindows95の生命力をなかなか削れず、逆に守備力で上回るはずのたまごっちの生命力がどんどん減る苦しい展開に。Windows95がセーフティリードを守りながら勝利した。
会心の一撃やミスの応酬で非常に白熱した攻防戦だったが、最後は攻撃をミスなく決めたセガサターンがタッチの差で逃げ切った。だが生命力で下回る写ルンですの健闘も見事であった。
「世界に一つだけの花」がいきなり会心の一撃。MDから一気に4000のダメージを奪い、あっさり準決勝へとコマを進めた。
事実上の優勝決定戦ともいうべきパラメータの高い同士の戦い。
白熱の戦いは数分に渡って続き、お互いの生命力がたった200になるほどの大接戦となるが、最後は「白い雲のように」が、ビリーズブートキャンプに会心の一撃を浴びせて激勝。
電波少年が生んだスターが、優勝候補のビリー隊長を葬った。
ほぼ同時期に発売されたセガサターンとWindows95だが、その売上は雲泥の差だ。サターンの鼻息も心なしか荒い。
生命力で上回るセガサターンが終始リードを保つ有利な展開。Windows95も攻撃を加えていくものの、攻撃力の差を生かせない。
そんなこんなしている間にセガサターンが会心の一撃を連発し、見事マイクロソフトへの下剋上を達成。決勝へ進出した。
生命力に2倍以上の差があり、苦戦が予想された「世界に一つだけの花」は奮闘。会心の一撃で3600もの大ダメージを与えて食い下がるも、「白い雲のように」も相手の4500の生命力をジリジリ減らしていく。
最後は生命力を2500残して、「白い雲のように」が競り勝った。
決勝のカードはセガサターンVS白い雲のように。平成ヒット商品の頂点が、ある意味で決する。
なぜかセガサターンの攻撃がなかなか当たらず、命中しても相手へのダメージは1000ほど。
それを尻目に「白い雲のように」は会心の一撃攻勢で、2000~3000のダメージをどんどん食らわせる。
ラストも強烈な一撃が炸裂し、「白い雲のように」が見事チャンピオンに輝いた。
CD時代・平成を象徴するような幕切れで、平成商品トーナメントは幕を閉じた。
しかし最後に、どうしても戦っておきたい相手がいる。そいつは、ドン・キホーテにいた。
この記事の掲載日は令和になってからだ。ならば、令和の名を持つ「令和元年クッキー(税込540円)」を倒しておかなければ。
平成代表「白い雲のように」と、令和代表の令和元年クッキー、元号のプライドをかけた一戦。
なかなかお互いの攻撃が当たらない膠着状態になるも、最後は「白い雲のように」が高い攻撃力と守備力を活かして抜け出す。そして会心の一撃で3800の大ダメージを食らわし、見事平成代表が令和を沈めた。
思えば「令和が平成に負ける」のは何やら不穏な感じもするが、僕らが過ごしてきた平成が勝ったことを、まずはひそかに喜ぼう。
そして令和のヒット商品が今後充実し、いつの日か平成を破ってくれる日も待っている。
子ども心にも「これ、最高の発想だな!」と思えたバーコードバトラー。わずか2年程度の天下で終わったが、ただのバーコードがすごい遊び道具と化した記憶は今も鮮明だ。
令和にも、アッと言わせる驚愕のおもちゃが出て、トイザらスに行列ができるところを見たい。そしてその中の一人として、僕も加わりたい。
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