特集 2024年8月28日

ベビーチーズの、味じゃなくて栄養のやつはプレーンと味が違うのでしょうか

アルミで個包装されたチーズがビニールパッケージに4つ並ぶ。スーパーのチーズの陳列棚には必ずこの手のベビーチーズがある。

プレーン味に加えて、いろいろなフレーバーの商品が横展開されて、スーパーにある小さなお楽しみコーナーだと思っている。

この展開に、いつからか、味ではなく鉄分やカルシウムといった栄養をかかげる商品が登場するようになった。

単に気になる。栄養のやつはプレーンと味が違うんだろうか。栄養の味って、あるのか。

東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

前の記事:料理の見た目を均一にしたら味わいに影響は出るのか? 〜サイコロ食研究〜(デジタルリマスター)

> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

縦に並べるか横に並べるか

ベビーチーズはQBBがそのシェアのトップを力走しているそうで、私の住む東京だとあとは雪印メグミルクの商品をよく見かける。

QBBは短辺をくっつけて縦に並んでおり、手に取ったときちょっと棒っぽいのが特徴だ。

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長くならぶ

いっぽう雪印のは長辺をくっつけて横に並べる包装。

同じような商品を作るのだから並べ方だけでも変えとこうか的な、小さな配慮というか工夫が感じられてもう味わい深い。

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短く並ぶ
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ベビーチーズの「味」と「栄養」

私のイメージだと、ベビーチーズのフレーバーといえばアーモンドだ。

昔からあるし、今も脈々とプレーンの隣に堂々と並ぶ。QBBにも雪印にもアーモンド味はある。

そのほか、カマンベールやクリームチーズ、モッツァレラといったチーズにチーズを盛ってくるタイプのラインナップもQBBは精力的だ。

QBBには他に期間限定でアボカド&わさび醤油風味なんてのがあったり、プレミアムタイプとしてトリュフ味というのも見た。

対する雪印にはわさび味とかサラミ味といった、徹底的におつまみをやらんとしてパッケージにビールのイラストまで描いている商品がある。

なにしろ、プレーンと、なんかの味、というのがベビーチーズのラインナップ手法だと思っていたから、栄養バージョンがあるのに気づいたときは、なるほどそうかと思わされた。

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味ではなく栄養という切り口

鉄分もカルシウムも常々不足を感じる栄養素だからありがたくって、最近はよく鉄分の商品を買っていた。で、買うときにいつもちょっと「ベビーチーズの鉄分味買おうっと」と思うのだ。

アーモンド味とかスモーク味とかと並んでいるから、鉄分は鉄分味と頭が自動的に再生する。

でも鉄分って味、あるのか。

身近すぎて疑問を疑問とすらも思わず、食べて比べずにもう何年もそのままになっていた。

このままだと寿命を迎える。こういったことは気づいたらやっておかねばなるまい。

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ビタミンB₁は苦く、ビタミンB₆はすっぱいらしい

食べくらべる前に先に知っておきたい。そもそも栄養に味ってあるんだろうか。

あれこれ調べてみたところ、ある、らしい。そういえばビタミンBのサプリメントには苦味をおぼえた経験がある。

このページでは管理栄養士の方がビタミンB群の原料を舐め比べ他結果、ビタミンB₁には苦味を、ビタミンB₆には酸味を感じたと書いている。ベビーチーズに鉄分と一緒に入っている葉酸にもふれていて、これは無味だそうだ。葉っぱの味、しないんだな。

ただ、サプリメントや栄養食品は食べた時に感じる味わいを調整すると他のいくつかの資料にはあって(人に食べさせるんだからそりゃそうだ)、ベビーチーズの栄養味の味は、やはり食べてみないとわからない。

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ところで、ふつうのパッケージのいかにもベビーチーズという商品が欲しいときにかぎってキャンペーンのパッケージになってたりする(でもかわいいね)
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文字をたよりに栄養を実感する

さて、QBBのプレーンと鉄分+葉酸、カルシウム+ビタミンD、雪印のプレーンと毎日骨太というカルシウムの商品を買ってきた。

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雪印のはいつものパッケージ。すっとたたずむ白い四角のイラストがかわいい

ところで、この手のベビーチーズ、QBBでは1972年に発売が開始され、1985年ごろから人気が出はじめたと公式サイトにあった。つまり13年くすぶっていたのか(くすぶっていたわけではないかもしれないけれども)。シンパシーが湧く。

子どものころはこの四角いのじゃなくて、給食で出た動物とか乗り物とかの形をしたプロセスチーズのほうを食べたのをよく覚えていて、こっちも「型抜きチーズ」という名前で現役で販売されているそうだ。

検索したらきだてさんがツイートをバズらせにバズらせていた。おお、これこれ!

 

いまは四角いベビーチーズの、鉄分味をよく食べていることは書いた。

単体で食べると、プレーン味とあまり変わりがないように感じて、ただパッケージにある鉄分の文字を頼りに鉄分を補給しているのだという実感を得ている。

いよいよ食べ比べることにより、味の意味でも鉄やカルシウムを感じられるようになれば、メンタルを介して栄養もよりいっそう体に染みわたるというものだ。

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色とカロリーがちょっと違う

この人なかなか食べないなとお思いかもしれない。もう少々お待ちください。

パッケージの表示を見ると、重量は同じだけれど、QBBも雪印もカルシウム入りのほうがプレーンよりもほんの少しカロリーが低い(鉄+葉酸はプレーンとまったく同じカロリーだった)。

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カルシウム入りが1個34kcal、プレーンが1個37kcal
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鉄+葉酸はプレーンと同じカロリー値

この違い、味になにか影響するだろうか。

お皿に出してみる。あ、色がほんのちょっとだけど違う。

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写真だと分かりづらいかもしれないのだけど、カルシウム入りの方が少し白っぽい
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やはりカルシウム(左)が白い。鉄分(中)はやや濃い

そうして助走をつけて、いよいよ味だ。

予想通りではあるのだけど、ほとんど味はチーズであった。

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正座で食べた

正座をし、しっかりとクーラーで冷やした快適な温度と無音の集中できる環境を用意したうえでできる限りの精神統一をして挑んだ。

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少量を口に含んだり、咀嚼したりした

それでつかみとった、かすみレベルでのプレーン味との差異としてはこんなところが挙げられるだろうか。

雪印メグミルク 毎日骨太
やや出汁感がある気がした。プレーンよりもしょっぱみが抑えめ。

QBB カルシウム+ビタミンD
やっぱり出汁のうまみを感じる。カルシウムの、これが味なのか? こちらもプレーンよりは塩味がマイルドに感じられる。

QBB 鉄分+葉酸
プレーンよりもしょっぱい。結果的に一番しょっぱい。

信じて聞き分けよく食べる

実質的にはほぼ同じ味であり、私たちは無味としての栄養を文字情報として、やはり摂取しているのだ。

ここには栄養がある、その事実を私たちは確かめられないままにただ信じるしかない。

栄養入りのベビーチーズは信頼の味がするということなんだろう。聞き分けよく食べて、私たちは健康になろう。

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アルミに残った部分も私はしつこく食べます。栄養をとりたいので……
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