デジタルリマスター 2022年9月16日

秋の花火大会(デジタルリマスター)

そういえば2ヶ月前は夏だった

秋に開催される花火大会の話を聞いたことがある。

その大会は職人のコンテストなのだそうだ。職人は新作花火を披露し、大会関係者は来年の花火大会に向けて新作を買い付ける場でもあるという。

そんな見本市のような花火大会をぜひ見てみたい。場所は茨城。ネットで調べたところ、「土浦全国花火競技大会」のことではないかと目星をつけた。今年は10月8日開催の予定だったが、雨のため10月14日に延期された。

見に行ってきましたよ。

2006年10月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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秘密じゃありませんでした

こっそりと行われているストイックな花火大会を想像して行ったのだが、この通りの人。土浦駅で電車から降りたところだ。

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臨時列車も走ってました。

花火大会のホームページの充実ぶりを見ても、ひっそりとした大会ではないことは薄々気づいていたのだが、ここまでの人出とは思っていなかった。隅田川の花火大会よりも多いんじゃないか。そう思って調べたら、隅田川95万人、土浦80万人だった。

………。まあ、どっちが上とはそういうことではなく、駅から出ることができないのだ。

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ごわー

駅を出て打ち上げ会場まで歩く。その途中の店がお弁当やお酒を出していたりして、ものすごい盛り上がりようだった。なあんだ、と思いながらも僕も花火団子とか買ってすっかり浮かれていた。花火会場の土手にも出店が並んでいた。

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海苔を巻いたしょうゆ団子にあんこが入ってる。
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土手沿いに並ぶ屋台。懐かしい、と一瞬思うけど知らない場所
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花火の写真を撮ろうじゃないか

花火大会の人出が多かろうが少なかろうが、花火が美しいことにかわりはない。

こんな知る人ぞ知る大会がありました、なんてエキセントリックな取り上げ方をしなくても素直に花火を楽しめばいいではないか。そうだ。きれいなものはきれいと言おう。空は青い。肉はうまい。

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準備完了

出発前に花火の撮影方法についていろんなホームページで調べておいたのだ。

かいつまんで言うと、あんまり光が入らないようにしておいて、シャッターを長くあけて光の残像を撮りなさい、ということらしい。具体的には

・バルブ撮影(1回押すとシャッターが開きっぱなしになり、もう1回押すとシャッターが降りる、という撮影方法)
・ピントはマニュアルでいちばん遠くにしておけ
・場所とりが命
(あといろいろあったが興味あるかたは自分で検索してください)

だそうだ。花火撮影は場所とりが命、などかなり真剣だった。団子を片手に登場するような男(僕のことです)が入る世界ではないように思えた。

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みな花火とは思えぬ防寒対策

花火が始まった

コンテストなので盛り上がる花火が最後、ということはなく、花火職人のエントリー順である。いきなり大きな花火があがって盛り上がる。たしかにこの花火大会、すごい。

興奮してシャッターをきった。その写真をご覧下さい。

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どどーん
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ひゅー
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どかーん
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どどどどどど

………。

花火の写真って難しいね。

僕の後ろの男なんて花火が上がるたびに「やっべー!やっべー!」と叫んでいた。「美しい」という意味らしい。

さて、若者の言葉遣いに嫌味など書いてないで、花火大会が終わるまでに撮影を成功させたい。

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とれた

1時間ちかく試行錯誤しているうちに写るようになってきた。せっかくなので少し大きく載せよう。

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どーん
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しゅぽーん

実はこの写真は一部を切り抜いたものだ。実際の写真はこう。

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しょぼーん

目の前で見ている花火の迫力にくらべるとちんまりしている感は否めない(その原因は主に僕の腕のせいだが)。でも、撮っているときは楽しかったのだ。

バルブ撮影は釣りのようなものではないだろうか。釣れたものよりもその過程が楽しいという。釣りに喩えたところで僕は釣りもしないのでこの気持ちが正しいのかよく分からない。

仕掛け花火はクイズのよう

空に文字やキャラクターが浮かび上がる凝った花火も多かった。さすがコンテスト。ただ、球状に開く花火と違って平面であるため、正面にならなかった席ではクイズ状態になっていた。

「なにあれ?」
「インベーダー?」
「絵文字じゃない?」
「クラゲだ!」

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ひよこだったみたいです

ほかにもハートが出てくる花火もあったのだが、心ない子供に 「尻!しり!」 と言われていた。

おじさんが沈んでいた

見ていた河原はところどころに前日の雨が残っていてぬかるんでいた。酔ったおじさんが気づかずに足を踏み入れてしまい

「おおっ?おっ?」

と言いながら沈んでいた。写真が撮れなかったので再現CGをどうぞ。

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こんな感じでした

寒さに耐えてぬかるみの前で花火の写真を撮る。

こういう淡々とした奇妙なできごとってあとから思い出すと妙に面白く感じるんだろうな、と思った。


知ったかぶろうぜ

この大会で高い評価を受けた花火は来年の各地の花火大会であがるのかもしれない。ひとあし先に見ることができて鼻が高い。

来年は花火大会でわざと人に聞こえるように「ああ、あれねー。知ってる知ってる」などと言おうと思った。

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たぶん年に一度だけ使われるコーン

ホームページ:土浦全国花火競技大会 https://tsuchiura-hanabi.jp/

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