
Audibleって実際どうですか?~オーディオブックなら読書家はさらに冊数詰め込める。そうでない人はよく寝れる

紙の本から電子書籍になったと思ったら、今度はオーディオブックなるものが登場した。自分で字を読むのではなく、朗読を音声で聴く読書のことだ。
以前は「なんかあるな…」程度の認識だったオーディオブックだが、最近じわじわと流行り始めている気がする。ちょっと興味が出てきたところで、ライター陣の中に愛用者がいることが判明。どんな感じかきいてみました。
(編集:編集部 石川)
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Amazon Audible ってどうなんですか
今一番メジャーなオーディオブックのサービスといえば、Amazon Audibleだろう。書店やKindleで買えるのと同じ本をプロのナレーターや声優さんによる朗読で聴くことができる。
そんなオーディブルの初心者2人が、ヘビーユーザー2人に使用感をきいた。

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自転車乗りながら本読んでた少年がたどり着いたオーディオブック
石川:ちょっと流行ってるじゃないですか。ずっと使ってるお二人はどう思ってますか?いいところ悪いところひっくるめて。
安藤:僕はジョギングするから、走りながら聴くのに最高だと思ってたんだけど、小説はダメだった。この人誰だったっけ、って思ったときに戻れないじゃん。
きだて:わかる。人物紹介のページが欲しいのよ。翻訳もの小説だとだいたいいちばん最初にあるじゃないですか。
安藤:そうそう。オーディブルでも最初に読まれるけど、忘れちゃうよね。だから小説やめて新書を読んでます。あと、漫才とかお笑い。
石川:本だけじゃないんだ。
安藤:オーディブルにしかないやつがあるの。ナイツの漫才とか。
このサービスそういうとこ金かけてるよ。
きだて:書き下ろしの小説も出てるね。
最初はオーディブルでだけ出て、後から本になりますっていう。
安藤:三浦しをんとか。それは聴いた。
大北:じゃあ安藤さんは走りながら?
安藤:主にそう。
きだて:俺は逆で、小説なんだけど、移動中は大体聴いてる。音楽まったく興味なくて聴かないんですよ。でも歩いてる時にちょっと情報入れたいなっていう思いはすごくあるの。
石川:はいはいはい。
きだて:どのくらいかっていうと、高校の時とかチャリ通学で自転車乗りながら本読んでた。※編集部注:マネしないでください。
大北:ハハハ、曲芸。
安藤:やってたよ。こう本開いて、ハンドルに乗せて。
きだて:琵琶湖沿いの車も人もだれも通らない道だったから。田舎だとできたんすよ。※編集部注:ダメです。
だけど、危ないじゃないですか。
大北:うん、普通に。
きだて:だから今はオーディブル聴きながら歩いてる。その前はラジオの録音したやつ聴いてた。
石川:ラジオから乗り換えたんですか?
きだて:ラジオもいいんだけど、聴きたい番組聴き終わっちゃうと次の週まで聴くものないじゃない。
石川:ラジオは有限。なるほどねー。
聴きながら寝ると寝つきがいい
大北:寝るとき聴かないんですか。
安藤:聴かない。
石川:僕は1週間前から使い始めて、寝る時に毎晩聴いてます。スマホの画面見ると目が冴えちゃうじゃん。これは見なくていいから。すぐ寝ちゃって本が全然進まないけど。

きだて:はいはいはいはい。
大北:あと夜中に目が覚めちゃったときとか。ありだなって。
きだて:聴きながら寝ちゃうと最後まで流れちゃって、どこまで聴いたかわからなくならない?
石川:設定で、パートの最後で止まるようにできるんです。細かくパートが分かれてる本だと、寝ちゃっても次の日どこまで聴いたかだいたいわかる。
きだて:そんな機能、今初めて知った。
安藤:知らなかった。俺ら、何年も使ってるのに。
石川:いま植物の雑学本を聴いてるんですけど、だいたい1つの知識が3分ぐらいなんです。それが終わったら勝手に止まる。まだ起きてて聴きたかったらボタン押せば次行ってくれるし、逆に寝ちゃってたらそこで終わって次の日つづきから聴ける。
大北:スリープタイマーもありますよね。
紙から音声へじゃなくて、紙も音声も
安藤:倍速再生は使ってるよ。1.2倍で。
きだて:俺も1.2倍。あれも慣れみたいよ。知り合いは1.7倍で聴いてるって。
安藤:速いな。確かに1.2だと行間がね、もうちょい詰めてもいいんじゃない?って思う。
大北:脳内のディレクターが(笑)
石川:本で読むときってもっと速いですよね。
安藤:それはそう。スピードでいえば紙で読んだ方が速い。
石川:タイパだ。
安藤:でも本好きには、今まで読めなかったタイミングで読めるってのはいいですよ。僕はとにかく数読むんですよ。1日1冊読んでるけど、プラス1日1時間走る時に聴けたら、上乗せできんじゃんっていう。
石川:じゃあ紙の本やめてオーディブルに切り替えますじゃなくて、家では紙の本を読む前提で、それ以外にさらに詰め込みたいときにオーディブルなんだ。
きだて:そう。駅について電車に乗ったら紙の本に切り替えたり。
で、面白いのが、紙の本を何冊か並列で読むとごちゃごちゃになるんだけど、オーディブルと紙の本だとあんまごちゃごちゃになんないんですよ。
石川:へー。
聞き流しを恐れてはいけない
安藤:「銃・病原菌・鉄」を紙で最初読んで、どうも難しくて上滑りだったのをオーディブルで聴いたんですよ。そしたら良かった。
きだて:耳から聴くと頭に入りやすいのはある。
安藤:読んだ後の2回目だったからかもしんないけど。あれってさ、途中で寝ても別にいいじゃん。話が繋がってなくても。歴史ものはいいよ。
大北:僕も「サピエンス全史」聴いて、途中飛ばしてもいい前提のは向いてるかもと思いました。
きだて:紙で読み飛ばすより、オーディブルで聴き飛ばす方が罪悪感薄いよね。ちょっと意識逸れてる間に流れちゃったけど、まあしょうがないか…ぐらいで。わざわざ戻って聴き直さないときもある。
大北:紙の本読んでても目で追ってるだけで意外と読んでないときありますよね。
安藤:あるある。
きだて:それ自分で気づくとなんか恥ずかしくなって、読むの自体をやめたくならない?
大北:俺、何してんねやろっていう(笑)
安藤:意識がちゃんと向いてないんだよ。オーディブルでも意識が抜けた瞬間はすごいもう、こっちから入って、逆から抜ける、みたいな。スーッと。
大北:で、そこはもう取り返さない?
安藤:それはそうですね。俺、結構もう聞き流しちゃうかな。あんまり迷ったりしない。
大北:それぐらいなら付き合える気がしてきたな。
安藤:最初ね、エドガー・アラン・ポー名作選を聴いたの。
安藤:で、一行も聴き逃さないぞと思って真剣に聴いてたら、すごい疲れた。
石川:そういうのは向いてない?
きだて:俺はそっち側メインですよ。小説。ミステリーとかもいっぱい出てるし。
石川:聴き飛ばしちゃったら?
きだて:普通に戻って聴き直す。「30秒戻る」ボタンがあるから、ピッピッピッと何べんか押して。
安藤:電車で寝ちゃったりすると、寝てる間に殺人が起きちゃったりするんですよ。
きだて:
寝そうになったら止めようよ!

前書きの長さに気づく
石川:単純に時間が長いのはどう思います?
きだて:入り始めはちょっと抵抗あった。「じゅ、15時間!?」とか。
大北:15時間聴けるのちょっと想像できないんですけど、いける?
きだて:いける。聴いてると、え、もう残り30分なの!?みたいな。
石川:すきま時間って寄せ集めると意外に長いってこと?
安藤:うん。15時間だったら大丈夫でしょ。いける。
石川:あと聴いて思ったのが、前書きってなげえなって。
きだて:わかるわかる。
石川:本読んでるとそんな気にならないけど、オーディブルで聴くと「早く本題入れよ」ってなる。
きだて:前書きのみスキップとかあればいいのにね。
大北:前書きってYoutubeの概要欄じゃないですか?
きだて:もあるし、なんか頭からなんか謝辞入れてくるやつとかあるじゃん。
石川:ははは。
大北:乾杯の前みたいな。
石川:そうそうそう、部長の挨拶がすごい長い(笑)
いい朗読、気になる朗読
大北:いい声で読まれるんでしょ?
安藤:いい声。モノによりますよ。
きだて:正直、うまい下手はけっこうある。あと、アニメの声優さんが読んでるやつで、やりすぎって思うのもあった。その息遣いまで再現しなくていいよっていう。情報が多すぎるのかな。
石川:へー。
安藤:村上春樹を、中井貴一が朗読してるんです。
安藤:僕、両方好きだから絶対いいと思って聴いたんですけど、どうしても合わなくて。
大北:ハハハ。「中井貴一です」って人格が漏れてきちゃう?
安藤:村上春樹に渋く寄せてるんだよね。でも一回読んだ本だったから、自分の頭の中でもうイメージできちゃってて、ここに中井貴一出てこないよなと思って。
大北:どうしてもミキプルーンが浮かんじゃうから。
きだて:一回読んだ本はそれあるよね。
安藤:その点、海外のハードボイルド小説はすごくいいっすよ。レイモンド・チャンドラーとか、 長くて硬い小説。あれはもうBGMとして聴けるぐらいの良さ。
大北:確かにそれは朗読として聴きたいです。
安藤:古いスパイものって、話もそんな複雑じゃないから。聴きやすいよね。
大北:今日聴いてたのは「最強の哲学書」みたいなので、朗読が声優さん。カジュアルめの哲学書で「哲学っていうのはいろんな強い人のナンバーワンを決めるみたいなものだから」っていって、バキ風に紹介するんですよ。そしたら声優さんも「これやらないといけないんだな」ってなって迫真の演技が始まって。
きだて:ははは。
大北:カロリーが高い!
きだて:オーディブルに期待するの、そこじゃないんだよな、って。
石川:僕、ラノベを1冊聴いたんですよ。青ブタっていうシリーズの一冊目。
石川:アニメ化されてて先にそっちを見たんですけど、たぶんアニメよりあとにオーディブルが出たんですね。
大北:うん。
石川:読んでる人はアニメの声優とは別人だけど、セリフの部分でアニメ版のそれぞれのキャラクターの演技を完コピしてて、めちゃくちゃ高度なひとりモノマネ大会みたいな感じになって(笑)
きだて:ははは。すごいけど、そっちの方に気とられるなやっぱり。
石川:うまかったんですよ。それは面白かった。
安藤:1冊、ナレーターが声ガサガサでわかんなかったのがあったんです。どれだっけな…。聴き取れないぐらいガサガサ。
きだて:ちょっとね、チェックにお金回せてないのかなっていうのがたまにあって。地名の読み間違いとかは平気である。アクセント間違いとか。やっぱりコスト面なのかな。
安藤:まえに「きらい国家」だったかな、知らない言葉を言ってるのがあって、なんだろうそれと思ってよくよく考えたら、あ、たぶん「傀儡(かいらい)国家」だ!って。
石川:クイズが始まっちゃった。
安藤:あと聴く側の問題として、紙の本なら知らない言葉が出てきても漢字見たらなんとなく意味わかることってあるじゃない。
音でしか入ってこないからわからないということはある。
きだて:はいはいはい、文字なしで音で聴いちゃうとね。
映画版感覚で聴くのも良い
石川:さっき収録始める前に、本でを読んだやつをもう1回聴くとか、聴いたやつをもう1回読むみたいな話をしてましたよね。なんで?
安藤:単に好きだからかな。
大北:映画版見るようなもんですか?
きだて:映画見た後に原作小説読んだりもするじゃないですか。ちょっと角度変えて味わいたいな、みたいな。
俺、つい最近やったのは、「プロジェクト・ヘイル・メアリー」って、すごい話題のSFなんだけども…
安藤:それ、僕は本で読んだんですよ。
きだて:俺、最初にオーディブルで聴いて、あまりにも面白かったんで、紙で読み直した。
安藤:さっきその本の話聴いて、オーディブル絶対聴こうって思った。

石川:やっぱ違うんですか。印象っていうか。
きだて:ネタバレになるから言いづらいな。登場人物の…
(※ネタバレのため割愛)
…朗読がものすごいうまい人がやってるから、異星人のキャラクターも、ものすごいキュートに表現できてて。
安藤:岩石でできたクモみたいな、そういう気持ち悪いやつでしょ?
きだて:それをすごくかわいらしくやってて。紙で読むと、また印象違うのかなと思う。
石川:それはやっぱ紙とオーディブルと両方体験する価値はあるんだ。
きだて:そう、価値はあった。
安藤:それは俺も聴こうと思います。
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