特集 2026年5月15日

奄美大島と徳之島にだけ生息するアマミノクロウサギを激写する

数が増えた理由

アマミノクロウサギの先祖は大陸と陸続きになっていた1000万年前に奄美大島にやってきた。100万年前に島になり、ある意味では島に閉じ込められ、独自の進化を遂げることになる。そのためにアマミノクロウサギは他の地域では見ることができないわけだ。

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「わきゃあまみ8アマミノクロウサギブック」奄美自然体験活動推進協議会 環境省奄美野生生物保護センター 2009

上記を読むとアマミノクロウサギは「生きた化石」と書かれている。しかし、先にも書いたように一時期は数を減らしていた。レッドデータブックを読むと森林伐採、道路建設、河川改修などが存続を脅かす要因に上がっている。 

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そしてフイリマングースです!

1979年にハブを退治するために30頭の「フイリマングース」が奄美大島の赤崎公園で放たれた。日本環境衛生センターが発行する「生活と環境No.4 2022年7月号」を読むと、沖縄で増えていたマングースが持ち込まれたけれど、誰がどういう意図で放したのかについての記録はないとあった。

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赤崎公園です

このマングースが結局ハブではなく、在来動物を襲った。つまりアマミノクロウサギなどだ。鹿児島県立博物館発行の「鹿児島の自然だより第149号」を読むと、マングースは一時は一万頭を超えたと書かれている。30頭が1万頭にまで増える。すごい、としか言葉が出てこない。

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マングースを捕まえる罠

2000年から鹿児島県と環境省によるマングース駆除事業が始まる。その結果、2013年からアマミノクロウサギは増加傾向になり、2024年には奄美大島でのフイリマングースの根絶の宣言がなされる。

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2005年にはマングースバスターズも結成されました

フイリマングースの影響はアマミノクロウサギだけではなく、たとえばルリカケスにもあった。ルリカケスは奄美大島とその周辺の島にだけ生息する固有種だ。こちらも現在は数を増やし、絶滅危惧種から外れている。

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ルリカケスです!

ルリカケスも撮影したのだけれど、見た目が本当に美しい。木の温もりを大切にするタイプのバーのような配色をしている。ただこれカラスなのだ。カラス科だからそうなのだけれど、鳴き声が見た目に反して野太くて、まさにカラスだった。そのギャップも素敵に感じた。

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ギャップが素敵

 

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固有種だらけ

奄美大島は本当に固有種だらけで面白い。次々に動物が現れる。アマミノクロウサギを見ることもできたし、ルリカケスも見ることができた。アマミハナサキガエルも見た。こちらも奄美大島と徳之島にのみ生息する固有種だ。

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アマミハナサキガエル

一番の感動はやはりアマミノクロウサギだった。数が回復したからこそ、私のような素人でも観察できるのだ。最近はアマミノクロウサギによる農作物への食害も問題になっているようだ。共存へのいい解決法があればいいなと思う。

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次々出てきたよ!

鳥類に詳しくないのだけれど、おそらく「オーストンオオアカゲラ」も見た。奄美大島にだけ生息する固有種だ。ちょっと自信がないのだけれど、たぶんそう。奄美大島は固有種が多すぎて、全然わからないのだ。それだけ自然豊かな場所ということだと思う。

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(たぶん)オーストンオオアカゲラ

まだ見ぬ動物を

子供の時から数が減っていると聞かされていたものが、目の前に現れ、動き回ることは本当に嬉しいことだった。奄美大島に行って良かったと思う。奄美大島へは羽田空港からも飛行機が飛んでいるので、ぜひまた行きたいと思っている。

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気をつけましょう!

参考文献
・「鹿児島の自然だより第149号」鹿児島県立博物館 2018
・「生活と環境2022年7月号(p12-18)」阿部愼太郎 一般財団法人日本環境衛生センター 2022
・「わきゃあまみ8アマミノクロウサギブック」奄美自然体験活動推進協議会 環境省奄美野生生物保護センター 2009
・「アマミノクロウサギ及びアマミヤマシギの個体数が推定されました!」環境省沖縄奄美自然環境事務所奄美群島国立公園管理事務所 2023
・「レッドデータブック2014 1 哺乳類」環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進 ぎょうせい 2014
・「アマミノクロウサギ生きた化石シリーズ日本の野性動物〈5〉」桐野正人 汐文社 1977
「世界遺産一覧表記載推薦書 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(仮訳)」日本政府 2019 

編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
絶滅危惧種、がんばればここまで回復するんですね。縁起の良い……と言っていいのかわからないですが、希望……という感じの記事だと思いました。耳の短いウサギ、若干ネズミっぽさもあってユーモラスです。

ルリカケスがカラスっていう話は笑いました。名前は聞いたことありますが、そうだったのか…(石川)

 

ささやかなおまけ
記事で使わなかった写真

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