広告企画 2022年11月7日

「ビートボクサーはなぜ戦うの?」「サビはあるの?」ヒューマンビートボックス初心者がプロに疑問をぶつけてみる

最近、注目を集めつつあるヒューマンビートボックス。

おうち時間が長いいま、短い動画との相性のよさから、急激にファンが増えつつあるという。

ビートボックスとはなんなのか。なぜ戦うのか。どういうビートボックスが”いい”ビートボックスなのか。

東京カルチャーカルチャーで開催されるヒューマンビートボクサートーナメント「ラボ杯」開催にあわせて、ビートボックスのプロに初心者ならではの疑問をぶつけてみた。

どうでもいいことを真剣に分析してみる記事をたくさん書いているエンタメライター。音楽や映画が特に好き!

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質問に答えてくれたのは「ラボ杯」主催の合同会社Beatbox Lab.のビートボクサー、ZU-nAさん。

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ZU-nAさん

20歳でプロとしてヒューマンビートボックスでのパフォーマンス活動をスタート、日本大会で上位入賞を果たすなどで培ってきたノウハウを元に「日本初のヒューマンビートボックス専門スクール "BEATBOX LAB."」を2015年に設立。日本で数少ないビートボックス講師のうちのおひとりだ。

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オタク気質の人に人気のビートボックス 

まい:今回はビートボックスの大会を開催されるということですが、まずビートボックスとはどういう人に人気なのでしょうか?

ZU-nA:オタク気質の方ですね。

まい:オタク気質?!

ZU-nA:ビートボックスってヒップホップのひとつの要素なので、ダボっとした服装でキャップ被っていて…などB-BOYやB-GIRLのイメージがあると思うんです。
でも、実際のビートボクサー(ビートボックスをプレイする人)は、自分の部屋でYouTubeを見ながら一生懸命練習しているオタク気質の人が多いし、あまり音楽には興味がなくてビートボックスだけを聴いているという人も多いんですよ。

まい:そうなんだ!ビートボックスって「どんな音でも出せる」というイメージがあるんですが、ビートボクサーに特に人気の音などはありますか?

ZU-nA:もともとビートボックスという、ドラムなどのリズム音を流し続ける機械があったんですよ。

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本来のビートボックスはこんな感じ。写真は1980年頃のもの(大きい)(wikipedia Drum machineより)

ZU-nA:それを人がマネしたところから始まった音楽なので、初心者の方は(機械のビートボックスが鳴らしていた)ドラム音から練習を始めることが多いですね。

まい:人が機械をマネしたんだ!上級者しか出せない音もあるんですか?

ZU-nA:うーん、ピアノのような音は難しいです。
ただ、数年前まではそういう「すでにある楽器の音をマネする」というのが多かったんですが、いまは「ビートボックスならではの新しい音を作る」というのが増えています

まい:ビートボックスならではの音?!

ZU-nA:いまはもう毎日のように新しい音が作られていますよ。それを探すのがビートボックスの楽しみのひとつでもあります。

まい:新しい音が出てくるとやっぱり盛り上がるんですか?

ZU-nA:そうですね!あと、新しい音の場合はどうやって音を出しているのかわからないので、みんなで「こうやったら再現できる」「これで似ている音を出せた」と試行錯誤してだんだん広まっていくんですよ。

まい:初歩的な質問なんですけど、ビートボックスって楽譜のようなものはないのでしょうか?

ZU-nA:それが面白いところで、ビートボックスに全員共通の楽譜はないんですよ。YouTubeを聴いて口頭伝承で広まるんです

まい:民話みたいだ...

ZU-nA:そのせいで初心者がビートボクサーになるのが難しいという問題はあるんですが、「どういう音でも正解になる」というビートボックスの良さにもなっていると思います

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ビートボクサーはなぜ「戦う」の?

まい:今回の「ラボ杯」はバトル形式になっていますが、ビートボックスをあまり知らない人からすると「なぜ戦うんだろう」という疑問があるのですが...

 過去のバトルの様子

ZU-nA:これは難しい質問ですよね

まい:そうなんですね

ZU-nA:はっきりした答えはないんですが、ビートボックスは歌詞がないので、長い時間じっくり聴くスタイルはあまり合わないというのはあります。ころころ展開が変わるバトルスタイルが今は流行っているんですね。

あとは、ビートボックスのイベントはだいたいバトルなので、出演するビートボクサーもバトルの方が参加しやすいというのもありますね

まい:初心者最大の謎が「どうやって勝敗が決まっているのか」という点です

ZU-nA:審査員のセンスです

まい:そうなんだ!

ZU-nA:スポーツのようにスコアが決まっているわけではないので、初心者の方からすると本当にわからないんですよね

まい:「あの審査員の採点に納得がいかない!」みたいなことは起きないんですか?

ZU-nA:起きますよ

まい:起きるんだ

ZU-nA:審査員も人ですから。イベント終了後に、観客から審査員のジャッジについてコメントが来ることもありますね

まい:イベントページに、マイクの性能についてかなり丁寧な説明が書いてあったのが印象的だったのですが、マイクの性能が勝敗に影響することもあるんでしょうか?

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イベントページのマイク説明。めちゃくちゃ丁寧。

ZU-nA:すごくありますね。今回は感染対策でマイマイク持ち込み制になっていますが、本当は全員同じマイクを使う方がいいです

まい:どういうマイクが良いのでしょうか?

ZU-nA:高ければいいというわけではなくて、自分の音域にあったマイクを使うのが大事です

まい:「練習してもなかなかうまくいかなかった人が、マイクを変えた瞬間によくなった」ということもあるんでしょうか?

ZU-nA:なくはないですよ。マイクの頭を手で覆い口に近づけてプレイするので、手や口のサイズに合ってないマイクを使っているとすごくやりにくいことがあります

まい:マイクの物理的なサイズも大事なんですね!

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サビで盛り上がるのはJ-POPもビートボックスも同じ

まい:ステージ上でのプレイについてもお聞きしたいんですが、ビートボックスって即興というイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか?

ZU-nA:特にバトルでは前もって構成を考えている人が多いですね。制限時間にあわせて、自分のネタ(準備してきたプレイ内容)を何本か持っていくのがいまの主流です

まい:そうなんだ!アドリブを入れることもあるんですか?

ZU-nA:ありますよ。上手なビートボクサーだと、相手のプレイにあわせてアドリブをいれてきます。

あとは、トーナメントイベントだと後半はネタがなくなってきて、自然とアドリブが増えますね

まい:それって「お、アドリブ入れたな!」ってわかるものなんですか?

ZU-nA:わかります!逆にネタのときもわかりますね

まい:アドリブとネタならどちらの方が盛り上がるんでしょうか?

ZU-nA:流れ次第ですね。相手のプレイをアドリブでマネしたら盛り上がるし、そのプレイヤーならではのネタが来ても盛り上がりますし。

まい:なるほど。ちなみにバトルスタイルの場合、相手がパフォーマンスしているときちょっと暇になると思うんですけど、そのときは何をしているんでしょうか?

ZU-nA:相手のプレイを聴いて、どう返すか考えていることが多いと思います。あとは観客に向けてハンドサインをするビートボクサーもいますね。

相手が1回戦でやったネタをもう一度やっていたら「2回目だな」ってハンドサインを出したり、「パクリ?!オリジナルじゃないじゃん!」ってハンドサインを出したりします

まい:初心者からすると、ハンドサインの意味がわからずポカーンとしてしまいそうですね...

ZU-nA:けっこうな数の観客がポカーンとしているので大丈夫だと思います

まい:急に安心しました

ZU-nA:ハンドサインはヒップホップカルチャーから生まれたものなんですが、意味がわからない人も多いので終わってからみんな調べてますね

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ちなみにさきほどの「2回目だな」のハンドサインが「リピート」と呼ばれるこちら
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こっちは「バイト」。「パクリ?!オリジナルじゃないじゃん!」の意味

まい:けっこうカジュアルに楽しめる空気なんですね!あと、ちょっと気になっていたのがビートボックスって、J-POPのようにAメロやサビはあるんでしょうか?

ZU-nA:ありますよ!構成はけっこうJ-POPに近いと思います。イントロ→Aメロ→Bメロ...と来てサビで盛り上がるイメージですね

まい:それを知っていると、だいぶ初心者でも聴きやすくなりますね!

ZU-nA:そうですね。サビで沸かせられるかどうかがひとつの勝負なので、楽しんで観てもらえるといいと思います


ストーリーで楽しむには「最初から観る」

まい:最後に、ラボ杯に来られる方におすすめの楽しみ方があれば教えてください!

ZU-nA:トーナメントイベントの場合、やっぱり最初から観るとストーリーが楽しめると思います。

ここまでどう勝ち上がってきたか、どう苦労してきたかを知ると、決勝もより楽しめると思います。ビートボックスがわからない方でも、ぜひ会場の雰囲気を楽しんでください!

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あらためて「ラボ杯」は2022年11月12日開催!
詳細はこちらへどうぞ!

 

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