特集 2022年10月21日

日本人が知らないパンプキンスパイスとはなにか

日本人には謎のパンプキンスパイス、カボチャの煮物にどうだろうというチャレンジ。

日本人にとって秋の味覚というと、おおよそ栗だのサンマだのキノコ類といったところだろう。

対してアメリカの秋の味覚といえば、ハロウィンに食べる定番のパンプキンパイらしい。で、実はパンプキンパイの味付けに絶対に欠かせないのが「パンプキンスパイス」である。

いや、“である”なんて言い切ってみたけど、知らないよパンプキンスパイス。なにその専用感バリバリのスパイス。これも食べてみないと分からんやつかな。

1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

パンプキンスパイスとはそもそもなんなのか

アメリカ人がハロウィンの時期にカボチャを使ったパンプキンパイを食べる、というところまでは話に聞いたことがあった。あれだけカボチャ押しのイベントなんだから、そりゃ食べるだろうというのも納得できる。

なんだけど、パンプキンパイにはパンプキンスパイスが必須です…と言われた途端に、事態が謎めいてくる。

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パンプキンスパイスラテ、昨年も秋シーズンに発売されてたらしいけど、知らなかった。

この謎は、先日たまたま入ったスタバで、秋の限定メニューとして「パンプキンスパイスラテ」なるものが並んでいたことから始まる。

「パンプキンラテ」ならまだ「あー、なんかカボチャ風味なのかな」と思うんだけど、製品名は「パンプキンスパイスラテ」だ。なんだ、パンプキンスパイス。カボチャ専用ってことなのか。

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ホイップの上にかかってるのがパンプキンスパイスか?

試しに飲んでみると、なんかシナモン強めでクローブの香りもある。全体的な雰囲気は、インドのチャイに近いようなスパイス感だ。

とりたてて違和感があるわけじゃないし、むしろ美味しい。でも日本的な味覚からはだいぶ遠いところから持ってきたなー、という印象である。

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おっかなびっくり飲んでみたけど、美味しいじゃん。

で、そもそもパンプキンスパイスってなんなの?とその場でググってみて、冒頭の「ハロウィンのパンプキンパイに欠かせないスパイス」だとか「アメリカのザ・秋の味覚である」という情報に辿り着いた次第。

へー、アメリカのパンプキンパイってこういう味付けなのか。単にカボチャをそのままパイに入れただけのものだと思ってたよ。

以前に「マッケンチーズ」について書いたときも思ったけど、よその国の味覚って、知らないこと多いなー。

話はひとまずパンプキンスパイス買ってみてからだ

件のパンプキンスパイス、ネットで探してみたら日本でも買えるところはいくつかあるんだけど、今回はiHerb経由で買ってみた。

フタをあけてひとまず香りを嗅いでみると、甘くて、ちょっといがらっぽいような…。成分的には、シナモン・ナツメグ・クローブ・ジンジャーを配合したものになっているようだ。

先にも述べたが、チャイ用スパイスをもうちょっとマイルドにした感じ、というのが近いだろうか。

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注文して3日でアメリカから届いたパンプキンスパイス。iHerb早すぎないか。

で、アメリカの人はこのパンプキンスパイス味で「あー、今年ももう秋だね」とか季節の移り変わりを感じるわけだ。

試しに「pumpkin spice flavor」で検索すると、お菓子やドリンク、果てはカップヌードルやスパムなどにまで期間限定パンプキンスパイス味が存在するので、それは間違いないところだろう。

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完全に知らない文化だけど、アメリカ人がやたらパンプキンスパイスを愛してるのは分かる。

他には、パンプキンスパイスの入浴剤やドッグフードもあった。

どこまで好きなんだアメリカ人。

これが本場の味だぜ!パンプキンパイ

ところで冷静に考えてみたら、パンプキンパイ、食べたこと無いかも。

というか、大半の日本人の「これまでなんとなく興味が持てず手を出しそびれていた食べ物リスト」に入ってそうだな。

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カボチャは気分を盛り上げるためにちょっと加工しておく。どうせすぐ切るんだけど。

いちおう本場アメリカのレシピをいくつか検索してみたが、おおよそのところ

①加熱したカボチャをピューレ状にする。
②砂糖・卵・生クリーム・パンプキンスパイスを混ぜる。
③冷凍パイ生地を下焼きし、そこに②を流し込んで低温でじっくり焼く。

…で終了。お菓子としてはほぼ失敗する要素のないやつで、かなり簡単だ。

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このあとピューレにすることを考えて、水分をプラスする意味でも蒸して加熱する。レンチンの方がラクなんだけど。
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砂糖や卵などを混ぜてカボチャピューレと合わせる。ここで満を持してパンプキンスパイス投入。

なんならカボチャをピューレ状にするのが最大の山場と言えそうだが、これも大半のレシピサイトで「カボチャピューレの缶詰を使え」と指示されてる(そんなのあるのか)。

ただ、日本ではパンプキンスパイス以上に入手しづらいとか、買えても量が1kgからで消費の目処が立たないとか、いろいろ面倒くさい。

なので、普通にカボチャを蒸してフードプロセッサーにぶっこんでおこう。

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パイ生地にカボチャピューレを注いで、あとは30分ほど焼く。すでに甘い匂いはしてる。
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焼き上がったパンプキンパイ、作業工程だけじゃなくて見た目も超シンプルだな。

あとはもう混ぜて焼くだけでハイ完成。手っ取り早い。

食べてみると、あー、なるほどこういう感じか。美味しいなー。

これ、要するにカボチャのもったりした感じと甘味を楽しむお菓子なんだろうけど、そこにパンプキンスパイスが入ることで、味がグッと複雑化する。シンプルにカボチャだけじゃない、手を加えたお菓子っぽさが出るという仕組みだ。

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あ、でも美味いですな。これがアメリカの秋味か。

あと、アメリカのカボチャは日本のものより水っぽく、甘味も少ないそうで。その辺りをいい感じにスパイスの風味でカバーする、という意味もありそうだ。

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和のカボチャ料理はパンプキンスパイスで輝くのか

本場パンプキンパイの雰囲気はこれで掴めたので、いちおうのところ満足はできた。

なので、次に気になるのは「パンプキンスパイス、パンプキンパイ以外に使うとどうなのよ」というところだろう。甘いお菓子だけじゃなく、他のカボチャ料理に転用が効くのか、という話である。

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潰したカボチャをマヨネーズで和えただけの、シンプルなカボチャサラダにふりかける。

で、試しにカボチャサラダにかけてみると、これが想像以上に美味しい。

パイのときにも感じた、手を加えた調理感のプラスがかなりデカい。単にもったりと甘いだけのカボチャに複雑みが加わって、食べ飽きないのである。

全体的にスパイス系の甘い香りがついて、後味がダラけずシャキッと締まる感じ。これいいな。

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甘辛醤油で煮込んだカボチャにも、容赦なくパンプキンスパイスをふりかける。

ではザ・和食であるカボチャの煮物はどうだ。

カボチャを醤油・酒・みりん・砂糖で煮込んだお馴染みのアレに、パンプキンスパイスは合うや合わざるや。

正直、まったく予想はつかないので、やってみるしかない。

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仕上げに追加でふりかけたスパイスがとんでもない色になって、食べるハードルを上げてきた。

こたえは「合う気がする」だ。

まず一口目に、やや違和感を感じたのは否定しない。一瞬、ウッと喉に詰まる感じすらあったぐらいで。が、そこを押して二口三口と食べ進めると、なんか悪くないのである。

食べ慣れたいつものカボチャの煮物の味が突然に複雑化したわけで、どうもその辺りに脳が混乱をきたしているんじゃないか、という印象だ。

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馴染んでくるとかなり美味しく感じられるように。いけるぞ、煮物にパンプキンスパイス。

ただこれ、絶対にまずくはない。というか、美味くなるポテンシャルを持ってる気配が強いのである。

現状ではまだ見つけていないが、醤油の塩味や砂糖、スパイスの分量を最適化することで、パンプキンスパイスカボチャの煮物の正解が絶対にあるはずだ。(将来性◎)

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次はカボチャ天ぷら。結論から言うとダメでした。

対して悲しい結果に収まったのが、カボチャの天ぷらだ。

スライスしたカボチャに衣をつけてカラリと揚げたものを、抹茶塩ならぬパンプキンスパイス塩でいただこう、という趣向である。

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「パンプキンスパイス塩で天ぷら、どうよ?」と思いついたときは、すごい勝確気分だったのだ。

ぶっちゃけ、これはいけると思ってたのだ。

漠然とだけど、天ぷらの油っぽさをスパイスの風味が打ち消して、かつカボチャの甘味を活かしてくれる的な効果があるんじゃないか、とか予想してたのである。

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コンセプトは間違ってなかったはずなんだけど、どこかで良くないことが起きたっぽい。

いやー、これはダメだ。

まずなにがダメかって、パンプキンスパイスと塩が口の中でうまく混ざり合わない。まず塩の味が来て、それが消えたぐらいの頃合いでスパイスの香りが来る。完全にタイミングがズレるのだ。なにこれどういうことだ。

味がすごくブレるため、食べててひどく落ち着かないのである。ザワザワする味、とでも言うのだろうか。

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口の中でカボチャ・衣・塩気・スパイスの全てがバラバラに感じられる。なにこれ。

パンプキンスパイス塩で食べるカボチャ天ぷら、気分的に良くない、という思いも寄らぬ結論である。

 

とはいえ、カボチャの煮物とパンプキンスパイスの可能性はさらに突き詰めてみたい。

ひとまずハロウィンはやりすごすとして、本番は冬至にカボチャを煮るときである。それまでにはぜひレシピを完成させるつもりだ。


ところでパンプキンスパイス、自作も可能だ。

シナモン小さじ2・ジンジャーパウダー小さじ1・クローブとナツメグ各小さじ1/2の比率で混ぜるのがベーシックっぽい。

なんとなくスパイス買って余らせてるタイプの人は、こちらでぜひ。

ちなみに今回買ったパンプキンスパイスは1.94oz瓶(約55g)なので、当分使い切れる気がしない。自作した方が良かったな。

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アメリカの意識高いサプリとか食品系、全ての原料に「オーガニック」ってついてるのがちょっとウザい。

 

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