ところでパンプキンスパイス、自作も可能だ。
シナモン小さじ2・ジンジャーパウダー小さじ1・クローブとナツメグ各小さじ1/2の比率で混ぜるのがベーシックっぽい。
なんとなくスパイス買って余らせてるタイプの人は、こちらでぜひ。
ちなみに今回買ったパンプキンスパイスは1.94oz瓶(約55g)なので、当分使い切れる気がしない。自作した方が良かったな。
日本人にとって秋の味覚というと、おおよそ栗だのサンマだのキノコ類といったところだろう。
対してアメリカの秋の味覚といえば、ハロウィンに食べる定番のパンプキンパイらしい。で、実はパンプキンパイの味付けに絶対に欠かせないのが「パンプキンスパイス」である。
いや、“である”なんて言い切ってみたけど、知らないよパンプキンスパイス。なにその専用感バリバリのスパイス。これも食べてみないと分からんやつかな。
アメリカ人がハロウィンの時期にカボチャを使ったパンプキンパイを食べる、というところまでは話に聞いたことがあった。あれだけカボチャ押しのイベントなんだから、そりゃ食べるだろうというのも納得できる。
なんだけど、パンプキンパイにはパンプキンスパイスが必須です…と言われた途端に、事態が謎めいてくる。
この謎は、先日たまたま入ったスタバで、秋の限定メニューとして「パンプキンスパイスラテ」なるものが並んでいたことから始まる。
「パンプキンラテ」ならまだ「あー、なんかカボチャ風味なのかな」と思うんだけど、製品名は「パンプキンスパイスラテ」だ。なんだ、パンプキンスパイス。カボチャ専用ってことなのか。
試しに飲んでみると、なんかシナモン強めでクローブの香りもある。全体的な雰囲気は、インドのチャイに近いようなスパイス感だ。
とりたてて違和感があるわけじゃないし、むしろ美味しい。でも日本的な味覚からはだいぶ遠いところから持ってきたなー、という印象である。
で、そもそもパンプキンスパイスってなんなの?とその場でググってみて、冒頭の「ハロウィンのパンプキンパイに欠かせないスパイス」だとか「アメリカのザ・秋の味覚である」という情報に辿り着いた次第。
へー、アメリカのパンプキンパイってこういう味付けなのか。単にカボチャをそのままパイに入れただけのものだと思ってたよ。
以前に「マッケンチーズ」について書いたときも思ったけど、よその国の味覚って、知らないこと多いなー。
件のパンプキンスパイス、ネットで探してみたら日本でも買えるところはいくつかあるんだけど、今回はiHerb経由で買ってみた。
フタをあけてひとまず香りを嗅いでみると、甘くて、ちょっといがらっぽいような…。成分的には、シナモン・ナツメグ・クローブ・ジンジャーを配合したものになっているようだ。
先にも述べたが、チャイ用スパイスをもうちょっとマイルドにした感じ、というのが近いだろうか。
で、アメリカの人はこのパンプキンスパイス味で「あー、今年ももう秋だね」とか季節の移り変わりを感じるわけだ。
試しに「pumpkin spice flavor」で検索すると、お菓子やドリンク、果てはカップヌードルやスパムなどにまで期間限定パンプキンスパイス味が存在するので、それは間違いないところだろう。
他には、パンプキンスパイスの入浴剤やドッグフードもあった。
どこまで好きなんだアメリカ人。
ところで冷静に考えてみたら、パンプキンパイ、食べたこと無いかも。
というか、大半の日本人の「これまでなんとなく興味が持てず手を出しそびれていた食べ物リスト」に入ってそうだな。
いちおう本場アメリカのレシピをいくつか検索してみたが、おおよそのところ
①加熱したカボチャをピューレ状にする。
②砂糖・卵・生クリーム・パンプキンスパイスを混ぜる。
③冷凍パイ生地を下焼きし、そこに②を流し込んで低温でじっくり焼く。
…で終了。お菓子としてはほぼ失敗する要素のないやつで、かなり簡単だ。
なんならカボチャをピューレ状にするのが最大の山場と言えそうだが、これも大半のレシピサイトで「カボチャピューレの缶詰を使え」と指示されてる(そんなのあるのか)。
ただ、日本ではパンプキンスパイス以上に入手しづらいとか、買えても量が1kgからで消費の目処が立たないとか、いろいろ面倒くさい。
なので、普通にカボチャを蒸してフードプロセッサーにぶっこんでおこう。
あとはもう混ぜて焼くだけでハイ完成。手っ取り早い。
食べてみると、あー、なるほどこういう感じか。美味しいなー。
これ、要するにカボチャのもったりした感じと甘味を楽しむお菓子なんだろうけど、そこにパンプキンスパイスが入ることで、味がグッと複雑化する。シンプルにカボチャだけじゃない、手を加えたお菓子っぽさが出るという仕組みだ。
あと、アメリカのカボチャは日本のものより水っぽく、甘味も少ないそうで。その辺りをいい感じにスパイスの風味でカバーする、という意味もありそうだ。
本場パンプキンパイの雰囲気はこれで掴めたので、いちおうのところ満足はできた。
なので、次に気になるのは「パンプキンスパイス、パンプキンパイ以外に使うとどうなのよ」というところだろう。甘いお菓子だけじゃなく、他のカボチャ料理に転用が効くのか、という話である。
で、試しにカボチャサラダにかけてみると、これが想像以上に美味しい。
パイのときにも感じた、手を加えた調理感のプラスがかなりデカい。単にもったりと甘いだけのカボチャに複雑みが加わって、食べ飽きないのである。
全体的にスパイス系の甘い香りがついて、後味がダラけずシャキッと締まる感じ。これいいな。
ではザ・和食であるカボチャの煮物はどうだ。
カボチャを醤油・酒・みりん・砂糖で煮込んだお馴染みのアレに、パンプキンスパイスは合うや合わざるや。
正直、まったく予想はつかないので、やってみるしかない。
こたえは「合う気がする」だ。
まず一口目に、やや違和感を感じたのは否定しない。一瞬、ウッと喉に詰まる感じすらあったぐらいで。が、そこを押して二口三口と食べ進めると、なんか悪くないのである。
食べ慣れたいつものカボチャの煮物の味が突然に複雑化したわけで、どうもその辺りに脳が混乱をきたしているんじゃないか、という印象だ。
ただこれ、絶対にまずくはない。というか、美味くなるポテンシャルを持ってる気配が強いのである。
現状ではまだ見つけていないが、醤油の塩味や砂糖、スパイスの分量を最適化することで、パンプキンスパイスカボチャの煮物の正解が絶対にあるはずだ。(将来性◎)
対して悲しい結果に収まったのが、カボチャの天ぷらだ。
スライスしたカボチャに衣をつけてカラリと揚げたものを、抹茶塩ならぬパンプキンスパイス塩でいただこう、という趣向である。
ぶっちゃけ、これはいけると思ってたのだ。
漠然とだけど、天ぷらの油っぽさをスパイスの風味が打ち消して、かつカボチャの甘味を活かしてくれる的な効果があるんじゃないか、とか予想してたのである。
いやー、これはダメだ。
まずなにがダメかって、パンプキンスパイスと塩が口の中でうまく混ざり合わない。まず塩の味が来て、それが消えたぐらいの頃合いでスパイスの香りが来る。完全にタイミングがズレるのだ。なにこれどういうことだ。
味がすごくブレるため、食べててひどく落ち着かないのである。ザワザワする味、とでも言うのだろうか。
パンプキンスパイス塩で食べるカボチャ天ぷら、気分的に良くない、という思いも寄らぬ結論である。
とはいえ、カボチャの煮物とパンプキンスパイスの可能性はさらに突き詰めてみたい。
ひとまずハロウィンはやりすごすとして、本番は冬至にカボチャを煮るときである。それまでにはぜひレシピを完成させるつもりだ。
ところでパンプキンスパイス、自作も可能だ。
シナモン小さじ2・ジンジャーパウダー小さじ1・クローブとナツメグ各小さじ1/2の比率で混ぜるのがベーシックっぽい。
なんとなくスパイス買って余らせてるタイプの人は、こちらでぜひ。
ちなみに今回買ったパンプキンスパイスは1.94oz瓶(約55g)なので、当分使い切れる気がしない。自作した方が良かったな。
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