特集 2019年12月11日

タイ・バンコクにおもしろ寺が増えている理由

素敵なお寺だが、実は怪しさ満載

仏教国タイにはお寺が沢山ある。

タイのお寺というと、有名観光地となった白や金色の大きくて豪華なお寺の印象があるかもしれない。しかしすべてがそうというわけではなくて、タイのお寺は日本の寺社くらい身近な存在なので、小規模のお寺も無数にある。豪華絢爛なものもあるが、B級スポットもすごく多い。 たとえば寺の中がドラえもんだらけの通称「ドラえもん寺」なんてお寺がある。

たくさんあってそれぞれに個性があるタイのお寺に惚れた日本人がいた。首都バンコクの中でもとっておきマル秘スポットに連れて行ってもらった。

変なモノ好きで、比較文化にこだわる2人組(1号&2号)旅行ライターユニット。中国の面白可笑しいものばかりを集めて本にした「 中国の変-現代中国路上考現学 」(バジリコ刊)が発売中。

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タイのお寺マニアのたーれっくさんと行く

タイ在住日本人男性「たーれっく」さんはタイのお寺にはまっている。たーれっくさんはタイのお寺が好きでお寺漫画を描くまでに至っている。漫画では定番のお寺からマニアックなお寺まで様々なお寺を紹介している。

そんなお寺巡りを邁進するたーれっくさんと合流し、首都バンコクで気軽に行ける通なスポットを案内してもらうことに。

ありがたや!

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たーれっくさん。タイ発行のフリーペーパー「Weekly WiSE」にて「漫画で学ぶタイのお寺」を連載中。ほかにも電子書籍でタイを紹介する漫画を描いている。

B級スポットなお寺を気軽に見たいとお願いして、向かったのは、チャオプラヤ川沿いにある「ワットパリワート(WAT PARIWAT)」というお寺。専用レーンを走るバス「BRT」で「ワットパリワート」下車すぐのお寺だ。

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この建物まで来たらもうすぐ。
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野良犬が寝転がっている。タイは野良犬にやさしい。
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そしてお寺の中へ。風格がある感じがする。
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門をくぐるとお寺がドーン!とある

あまり聞いたことのないお寺なのにこの豪華さに驚かされる。観光客らしい人もおらず、ローカルな普通の寺なんだろうけど、それでもこの規模。なんともすごい。

たーれっくさんに合わせて歩いていく。トイレも含めて効率の良いルート取りをしていた。「何度も来たことがあるのですよ」というだけはある。

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実はあやしい

こりゃあすごいお寺じゃないですか。というと、「よくみてください」とたーれっくさんは壁の一面の前に立ち、細かいところを指し示した。

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壁をよーく見てみると、、、
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ピカチュウがいた!
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スパイダーマンがいた!
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ドラゴンボールの亀仙人がいた!

なんだこれは!?キャラクターのオールスターだ!仏教ってなんだ!お寺ってなんだ!

頭がぐるぐる回る中で冷静になる。まずはさすがお寺マニアのたーれっくさん、ぐっとくるお寺を紹介してくれる。

いろいろ見たくなった。当然片面だけでなく全ての面に何かがあった。何かが。

何かを求めて、ウォーリーを探せのようにくまなく見ていった。

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ドラゴンボールに出てくる極悪な魔人ブウがいる。悪でもいいらしい。
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ルフィである。
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ベッカムがいてモヒカンが糸の子で作業している。すごい彫刻だ
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ケロロ軍曹もある。なぜお寺のチョイスがケロロ軍曹なのか。
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お寺とは

たーれっくさんいわく、「タイでは21世紀に入ってからユニークなお寺が爆発的に増殖しているんです」とのこと。

近年B級なお寺が増えたというのだが、その訳は?

「タイのお寺は日本のような檀家制度がないので、信者・参拝者のお布施(タンブン)で経営が成り立っている。つまり、お布施がないとすぐ廃寺となってしまうんですよ」

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靴を脱いで中に入る。ここにもよくみると見たことがあるキャラクターばかり。


たーれっくさんは続けて言う。

「一つの地域に目立って人気のあるお寺ができると、周辺のお寺は存続できなくなるので、競うように特色のある新しい仏教施設を作り出しています」

ふむふむ。生き残るための特色。

「もともとタイ人は歴史や伝統を重んじない傾向があるので、それが人々に受け入れられ、また最近のインスタ映えブームもあってタイ中が「すごい寺」ブームになっているのです。ただし、それに眉をひそめるタイ人も多くいます」

なるほど、映えブームの流行に合わせてB級のお寺が誕生していて、だから最近はタイの変わったお寺のレポートをよく見るようになったのか!

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実際ウケがいいのかタイ人家族のお母さんが写真を撮っている。
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まだまだ建設作業は続く

実はワットパリワートには2つの建物がある。

紹介した建物とは別の、もうひとつの建物はまだ完成していない。

バンコクは気温30度くらいで、タイ在住者からすると過ごしやすい季節だ。そんな気温の中で作業員の人たちが作業に勤しんでいる。

こちらでもたーれっくさんと一緒にキャラ探しをした。

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もうひとつの建物はこんな感じで
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カリブの海賊もいる。
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…し、孫悟空もツタンカーメンもいる。
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関羽もにらみを利かせている。ごちゃごちゃ感はこちらも負けていない。
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屋根にはどうも中国系の像がずらり。中国のスポンサーに期待してるのだろうか。
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作業してる人はみた限りでは1人しかいなかった。まだまだ完成まで何が出てくるかわからない。

タイのお寺ウォッチは楽しい

「まだまだ完成まで時間がかかるでしょうね」「お金を彫刻士の人件費にもあてるので、長く給料がもらえるよう、ゆっくり作業をするでしょう」「どんなキャラクターが出てくるか楽しみですよ」とたーれっくさんは語った。

もうひとつの建物の次のベールが脱げるとどんなキャラクターが出てくるのか想像もできない。何度も来ているたーれっくさんでも、楽しみにしているのだ。

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