特集 2020年9月14日

瀬戸の藤井聡太ブームがすごい熱意

瀬戸は焼き物の街だがゆるさもある

将棋で若き棋士、藤井聡太さんが勝ちまくっている。

 野球でどこかが優勝すると優勝セールをやるように、藤井さんが将棋で勝つたびに盛り上がる場所があると聞いた。

そこに行けば年に1度ではなく何度もめでたいセールを味わうことができるじゃないか。

その場所は焼き物で知られる瀬戸。行ってみた。

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つくばエクスプレスかと思ったら池上線みたいだった

ところで焼き物の瀬戸はどのようなところなのか。瀬戸物の瀬戸とは知っているけど。

名古屋の知人に聞くと「瀬戸は雰囲気がいいんだなぁ」と言う。何がいいのかというと、時間の流れがゆったりなのがいいんだという。

ともするとシャッター街に聞こえるけど、混んでもなければ空いてもなくてそれがいいんだと。

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終点の貫禄漂う名鉄の尾張瀬戸駅。

名古屋の中心「栄(栄町駅)」から、名鉄瀬戸線に乗る。急行に乗って終点の尾張瀬戸駅へ。

地下で大曾根というターミナルを通り、そこから地図で右上のほうに進むあたり、最初はつくばエクスプレスみたいだと思ってた。

実際に乗ってみたら、頑張って速く走ろうとする東急池上線という感じがしっくりきた。なんか自分しかわからないような説明でごめんなさい。

誰が見てもフィーバーだった

終点の尾張瀬戸駅の駅ビル。そこは早くも藤井聡太さんで染まっていた。

「第61期王位戦勝利」「ヒューリック杯棋聖戦初・史上最年少タイトル獲得」「おめでとう藤井聡太棋聖」と大きく手書きのメッセージが貼られていた。

先日は谷川浩司名人に勝ったのだからまた書き換わりそうだ。大変である。

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藤井二冠、駅ビルを制す。
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瀬戸には何人か似顔絵絵師がいるらしい。

AIも予想不可能な応援メッセージ

壁には一面のメッセージが貼られている。AIを超えた!と報じられる藤井聡太さんだが、藤井聡太さんへの応援メッセージもAIを超えているかのごとく突飛なものもあった。

藤井聡太さんを直接応援するメッセージから、直接は応援してないメッセージまで貼られている。紙から熱気を感じる。

通行人こそ少ないが、対局のたびに変わる駅ビル。変化は爆速だ。

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数えきれないほどの特製将棋の駒メモへの書き込みに圧倒される。熱意だ。
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そしてインターナショナルだ。アイラブマム。

さらに周りの喫茶店を見ると、応援クレープと称した「二段クレープ」や、最年少8段昇段を祝った「8段カツ」がサンキュー価格3900円で売られていた。これはすさまじくボリューミーだ。

9段に昇段した日にはカツが9段になるがサンキュー価格は据え置きなのだろうか。藤井聡太さんには頑張ってもらいたい。

スーパーでの優勝セールを待ち望む主婦の気持ちになった。

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マカロンの中まで二冠だった。

高頻度すぎる勝利セール

駅ビルを超えるとすぐに、小川を挟んで焼き物屋が並ぶのどかな光景になる。名古屋から30分で行けるところとは思えないほど癒される光景だ。

ある店は棋聖二冠お祝いセールと称して全商品半額で売られている。太っ腹だ。

瀬戸物というと聞いたことのあるブランドで高そうだが、100円から売られていてしかも半額なのだからお買い得感が半端ない。

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街が渋い。そして空が広い。
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お買い得に弱い人は食器を買いに瀬戸にいくしかない。

小川を挟んで反対側には大きな現代風の建物がある。名前は瀬戸蔵と渋い。

入口のホールでは藤井さんのプロフィールと将棋の星取表が瀬戸市の地図並みに大きく立てられていた。

18歳にして年表まで書かれているのだからすごい力の入り方だ。そして瀬戸市初の市民栄誉賞受賞なんだそうだ。

市初の市民栄誉賞受賞ともなるとここまでプロ野球チーム優勝以上に推されるのだ。すごいぞ。

ちなみにここもお店の瀬戸物は全品1割引となっていてお買い得で、お財布の紐が緩むので危険だ。

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ここもまた人こそあまりいないが藤井さんフィーバーしている。
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例によって焼き物が安くなっている。
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渋すぎる商店街で将棋の焼き物を買う

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せと銀座。味のある商店街が瀬戸にはある。

瀬戸といえば知人が推す商店街だった。行ってみると確かに渋い。結構シャッターは閉まっているが、でも生きている商店街だ。昭和の雰囲気を残しつつも、観光客もちょっといるけど、でも沢山はこない。瀬戸の良さみが詰まる。

商店街もまた藤井さんの王位・棋聖おめでとう!の垂れ幕やポスターだらけだ。対局で勝つことに垂れ幕は変わるのだろうか。

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必勝駒キーホルダー
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二冠限定湯呑み。これは売り切れていた。
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焼き物の駒や湯飲みなど

各お店が瀬戸物の限定湯呑や限定箸置きを売っていた。今でしか買えないグッズであり、期間限定だが瀬戸は将棋会館よりも将棋グッズを売っているかもしれない。

店のおじさんは「藤井さんはちっちゃいときはきてたねぇ。最近は来てない」と小ネタのエピソードを挟みつつ、「将棋の猫の箸置きをすぐに作った。ここにしかないっ!」と力強く推された。
今しか買えないから、買った。

昭和の変わらない渋い雰囲気に激動の変化が起きている。

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商店街は観光客向けの店もあれば下町庶民も利用する店もある。
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そんな娯楽場の下には渋すぎる顔ハメもある。
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こう見えて店には客もいるのだから商店街は地元民に愛されている。不思議だ。

瀬戸は恐ろしいことに喫茶店が実にいいのだ。名古屋も喫茶店文化で、その影響もあるのだろう。名古屋よりも時間がゆっくりすすむ瀬戸だからより味わいがあるらしい。

どうも瀬戸の喫茶店はどこも評価がよく、入ってみたら確かに雰囲気はいいし美味しいし至高だった。

商店街のブティックで買い物をしたおばさま方が喫茶店に入り一服していく。見た目だけでなくライフスタイルまで昭和だった。

僕は瀬戸の魔力にすっかりはまっていた。

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カフェにも二冠応援がちらり。
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藤井さんにひかれて入ると贅沢な喫茶店の空間があった。たまらない。

瀬戸への行きどき

普段から愛知県民に評価の高い瀬戸だが、今は藤井聡太さんのおかげで瀬戸は渋さに熱さと面白さが混ざった。

静かな商店街だけど熱い瀬戸の不思議空間。藤井聡太さんが最年少記録を打ち立ててる今、唯一無二の商店街が瀬戸にある。

藤井聡太さんが買ったら、その週末は瀬戸旅行を思い出そう。

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名鉄瀬戸線のペン立てと将棋猫の箸置きをお土産に買った。
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