足利の人が「渋谷」って呼んでいた(n=2)
行く前にコンビニに入ったらいきなり店員さんに話しかけられた「渋谷、行きました?」。スタジオの一般公開に行きたいけど仕事があるから行けないんだと言っていた。帰りに乗ったタクシーでもまず「渋谷、すごい人ですよね」と話しかけられた。
「渋谷のオープンスタジオ」ではなく、「渋谷」と呼んでいるそうだ。
足利で渋谷が愛されている。渋谷以上かもしれない。
でも年内でクローズでもう一般公開もないので本稿で足利の渋谷を味わってください。
足利市に渋谷のスクランブル交差点を再現した「足利スクランブルシティスタジオ」がある。
年内で閉まってしまうのだが、その最後の一般公開の日に行ってきた。
予想以上に渋谷でした。
渡良瀬川の河川敷に渋谷のスクランブル交差点が再現されている。
スタジオといっても屋外なので言ってみれば太秦や日光江戸村のようなものだ。入るとそこは渋谷だ。
建物は合成できるようにグリーンの壁でできており、再現されているのは横断歩道の模様や信号など、地面にあるものだ。
歩いているとかなり渋谷なのだが、写真だとちょっと分かりにくいかもしれない。
センター街の左右だけのゲートがきちんとある。本物よりもエイジングされているがむしろこのほうが渋谷のイメージに近い。
人々が堂々と車道を歩いているフリーダムな渋谷になった。あと、私の後ろの方でタクシーが埋まっている。
適当に撮った写真を合わせているのでビニール傘が緑だったり、街路樹と柵が二重になっているが、きっとプロのデータとツールを使ったらきっちり合成されるだろう。
べつやくさんだけ合成しても同じかもしれないが、ロマンが違う。
上の写真を見比べてみると、べつやくさんの左側にある街路樹がY字になっているところがきちんと再現されている。このような細かいところがいちいちよくできているのだ。
渋谷のさんずいが本当にとれてしまったのか、狙ってとったのだとしたら震える細かさである。こうやってセットの細かいところをまじまじと見るので、実際の渋谷で気づいてなかったものに気づく。
後日、渋谷で見てみると確かにこの形だった。
このスタジオができたのが2019年、本物の渋谷は変わり続けているので少し前まで渋谷にあったものがここには残っている。
電光掲示板の下の「改札内には階段しかありません」とA4の紙を並べた案内のリアルさ。後世に残らない生々しさだ。
なんだったのか知る前になくなってしまった。
あの枯山水、誰が嬉しいのだろうと思ってずっと気になっていたら最近撤去されてしまった。あの枯山水が足利に残っていたのはとても嬉しい。
この動画の51秒ごろです
このスタジオで撮影された作品のファンや近所の人が集まって思い思いに写真を撮っていた。
渋谷で車道まで人が溢れるときって(ワールドカップやハロウィンとか)厳戒状態になるが、この渋谷は穏やかだ。子どもの頃、ストライキで電車が動いてないときの駅前のようでとてもいい。
行く前にコンビニに入ったらいきなり店員さんに話しかけられた「渋谷、行きました?」。スタジオの一般公開に行きたいけど仕事があるから行けないんだと言っていた。帰りに乗ったタクシーでもまず「渋谷、すごい人ですよね」と話しかけられた。
「渋谷のオープンスタジオ」ではなく、「渋谷」と呼んでいるそうだ。
足利で渋谷が愛されている。渋谷以上かもしれない。
でも年内でクローズでもう一般公開もないので本稿で足利の渋谷を味わってください。
取材協力:足利スクランブルシティスタジオ
私事ですが、本を出しました。コンクリ枯山水のような面白いものを見つける本です。
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