大塚の街で名物を探せ!
パリ:
というわけで、大塚へ行ってきましたね。
ナオ:
はい!
パリ:
事前にふたりで「どこの街がいいですかね〜?」なんて話してたんですよね。それで、「たとえば山手線だったら……」という流れになったら、ふたりほぼ同時に「大塚?」って。失礼な話ですが。
ナオ:
はは。でも“大塚名物”って、イメージないですもんね。
パリ:
「『ぼんご』のおにぎり」とか、個人店単位ではあったりするんだけど。
ナオ:
うんうん。そんな大塚を舞台に、我々なりの名物を探そうと。
パリ:
「酒の穴印の新名物」をね。
ナオ:
がんばりましょう! と、大塚駅改札前に集合したのが、20時を少し過ぎたころでしたね。お互いの都合があうタイミングがそこしかなかったという感じで。
紆余曲折の末、“大塚”メシを発見するも……
パリ:
で、それから1時間ほど、ふたりで大塚の街の、北口側を徘徊したんですよね。
ナオ:
はい。立ち飲み屋に入ってオリジナルメニューがないか探したり、「ひょうたん島」という昔ながらのアミューズメント施設でバッティングやゲームに興じたり。
パリ:
はは。時間ないわりにけっこうのんきに遊んだ。
ナオ:
他にも、駅前一帯の繁華街をくまなく、看板に「名物」の文字がないか探してね。
パリ:
けっこう足を使って探したけれども、「これぞ!」というものはなかった。ただそのあと、南口へ移動してからの流れがすごかったんですよね。
ナオ:
はい。これぞ街取材の醍醐味だと感動するできごと連発で。
ナオ:
南口、駅前にどーんと鳥居があって、その手前を都電が走ってて。
パリ:
風景的には完全に東京名物です。
ナオ:
ね。で、せっかくだからと駅近くの「天祖神社」をお参りし。
パリ:
「おじゃまします」とね。毎回言ってますが、街歩きをしていて、その土地の神様に挨拶をしたあとって、ぐっと流れが変わる。
ナオ:
ホント、今思えばそう。先に行っておくべきでした。
パリ:
実際、そのあとすぐに前を通りかかった、
という店で、ついに「大塚」の名を冠したメニューを発見!
パリ:
ゴールですよ!
ナオ:
また、とろとろチャーシューをのせた天津飯って、最高にうまそう。
パリ:
ね! ついにやったぞと。ただ、いったん、入らなかったんですよね。
ナオ:
はは。そうなんです。ここを見つけたからにはもう安心だ。でも一応、もうちょと他も見ておこうと。
パリ:
保険もできたことだし。
ナオ:
ホッとしてね。
パリ:
欲が出てしまって。で、けっきょく、けっこう歩き回りましたよ。
パリ:
で、徘徊の末、最終的に「ここ入ってみましょう!」と決めたのがこの店。
パリ:
なんでだよ! という話なんですが。
ナオ:
はは。最初、パリッコさんが「ここに入ってみたい。1杯だけでも行きましょう」と言うので、「さっきの幸龍飯は!?」と思いましたが。
パリ:
ははは。
ナオ:
まあ、1杯飲んでもまだ間に合うかなと思って、ついていきました。
パリ:
謎めいた佇まいがどうしても気になってしまって。
ナオ:
吸い寄せられていた。ただ結果として、この店がすごかったんですよね。
続々登場! 大塚名物
パリ:
先客はいなくて、明るいママがひとりでやられてるカウンター酒場で、お酒以外は基本おまかせでね。
ナオ:
うんうん。一瞬で落ち着いた気分になれました。
パリ:
で、間髪を入れずに出てきたのが、
パリ:
優しい〜味の、おぼろこんぶ入りの、だし豆腐というんだろうか。これがうまいのなんのって!
ナオ:
そうそう。
パリ:
完全に大塚名物。
ナオ:
決定ですよ。
パリ:
そっからが怒涛の展開でした。とにかくママの話がおもしろくて。
ナオ:
ちょっとあれですよね。あまりに情報量が多いから箇条書きにしたほうが伝わるかもしれない。
パリ:
ですね!
・ママはかつて歌舞伎町で大きなお店をやっていたが、ひとりで気楽にできる店をと今の場所にお店を開いた。
・大塚の街が特に大好きだというわけでもないけど、若いころから池袋周辺で遊んでいたからなじみはある。
・ママはもともと歌手をしていて、カラオケ用のガイドボーカルの仕事などもしていた。
・その血を受け継いでか、娘さんは現在タレント活動をしている。
・ママは料理上手で、かつてはこの店でもランチ営業をしていて人気だった。
・年下の旦那さんと仲良しで、よく一緒にあちこち飲み歩いている。
ナオ:
っていう感じで、まあこれもほんのひと握りという感じでしたけど。たとえば、何気なく出てきたコロッケひとつとってもすごいんですよね。
パリ:
ただごとじゃなかった。確か、ママは池袋育ちだから、ラーメン界の伝説、山岸一雄さんがやっていた東池袋の「大勝軒」時代から食べに行っていて。で、「今その味にいちばん近いのが〇〇店なのよ。その店から特別にチャーシューを仕入れてて、それを入れてあって〜」って。ストーリーがありすぎる。大塚名物がすぎる。
パリ:
それから煮物や。
ナオ:
どれも美味しかったなー。あと、ママが、習いはじめたばかりという三線を弾いてくれる一幕も。
パリ:
しかも三線を習ってるのが、元「フィンガーファイブ」の人なんでしたっけ? 昔歌手をやっていた関係で知り合いで。
ナオ:
そうそう! MASAOさんという方かな。「フィンガーのMASAOさんに習うことになってー」とさらっと言ってたけど、情報量多い!
パリ:
そのエピソードだけでも記事にできるんだよな。
ナオ:
カラオケの見本歌唱の仕事をしていたという時代のCDも聴かせてもらいましたね。
パリ:
あの時間も良かったな〜。声、松田聖子そのものでね。なんかうるうるしちゃいましたよ。
パリ:
あとそう、ちょうど仕入れた日本酒があると。銘柄を失念してしまったんですが、せっかくなんでいただいたんですよね。
パリ:
今の我々には致死量でしょ。
ナオ:
はは!たっぷり過ぎる!
パリ:
これも美味しかった〜。
パリ:
夢のような時間でした。
ナオ:
ちなみにユミさんのうしろに「あんたはえらい!!」と書いてある小さな賞状が飾ってありますが、それをくれたのが、ママが大阪に行ったら必ず飲みに行くという居酒屋の常連さんらしく。その店が、今の私の家のすごく近所で驚きました。
パリ:
そうだ。大阪で一緒に飲む約束してましたよね、ナオさん。
ナオ:
はは。最終的にそうなりました。
ついに大塚名物決定版にたどり着く
パリ:
もはやじゅうぶん、お腹いっぱい胸いっぱいなんですが、童夢はまだまだ我々を許してくれません。
ナオ:
さらなる怒涛の展開がね。
パリ:
お店の常連に、「餃子の王将 南大塚店」の店長さんと店員さんが、いて、「今日もこれから来るよ〜」と。そりゃあ、会ってみたいじゃないですか。
ナオ:
うん。貴重な機会だし、なにしろこの流れをもっと楽しみたい。
パリ:
で、待っていたら本当に会えて、めちゃくちゃ気さくないい人たちでね。だって、写真を見返したらふたりとも、酒の穴史上かつてない笑顔ですよ。
ナオ:
ははは。最高だなー! しかも数時間前までは全員知らない人だったっていうのがおもしろい。
パリ:
そうそう。そしてこれまた偶然にも、店長さんが山形出身で、東海林さんという。
ナオ:
山形出身のうちの母の旧姓と同じで。
パリ:
「しょうじ」さんじゃなくて「とうかいりん」さんと読むそうで。
ナオ:
そうなんです。その読みのほうが珍しいみたいなんですが、そこも一緒でね。
パリ:
絶対遠い親戚じゃん。
ナオ:
はは。山形には割と多いのかもしれないけど、でもすごい。
パリ:
と、いろいろな話をさせてもらって。そんで、ママの旦那さんがかなりお若いらしく、りょうちゃんでしたっけ?
ナオ:
そうそう、りょうちゃん。
パリ:
そのりょうちゃんと店長とママが、ふだん一緒に飲みに行ったりするくらい仲良いんですよね。
ナオ:
そうらしい。で、以前その3人で飲んだ帰りに、油そばを食べに行っことがあって、それが美味しかったんだそうですね。
パリ:
そうそう。で、「油そば、王将でも出しなよ!」っていう。
ナオ:
「そうするか!」ってなって。店長さん独自にメニューを開発して。
パリ:
餃子の王将って、チェーン店ながらけっこう自由に限定メニューとか出してる店、多いですもんね。
ナオ:
そうなんです。その店にしかない独自のメニューっていうのがけっこうある。
パリ:
という流れで、なんと、南大塚店限定メニューとして生まれたのが「から玉そば」というオリジナルメニューらしいと! 大塚名物、確保! ですよ。
ナオ:
やった! これ以上の大塚名物はないですよね。まさか餃子の王将にあったとはな。
パリ:
独自配合したラー油を使った、辛さの選べるまぜそば。まさか王将にね〜。
ナオ:
思いもよらぬ展開でした。
パリ:
絶対食べたいでしょ。
ナオ:
食べないわけにはいかない。
パリ:
けど、店長、すでにもう一緒に飲んでるし。
ナオ:
はは。隣にいるし! お店が終わったから飲みに来たわけでね。
パリ:
これから行くのは無理だと。そこで翌朝……。
ナオ:
今日も大塚にやってきたぞー!
パリ:
2日連続!
大塚名物「餃子の王将 南大塚店のから玉そば」
ナオ:
私たち、真面目ですよね。ちゃんと午前中に大塚駅に再度集まって。
パリ:
言ってみればサービス残業。1日で終える予定の取材だったのに。
ナオ:
でも、ママと店長のその話を聞いて食べないわけにはいかないものな。
パリ:
結果、行って本当に良かったですね! あんなに王将を楽しんだのは生まれて初めてでした。
ナオ:
すごかった。
パリ:
というか、王将に入っていって店長に「お待ちしてました」って言われたのも初めてですよ。
ナオ:
はは。数時間前まで一緒に飲んでた店長に。ではいよいよ、ご覧いただきましょうか! 大塚名物「から玉そば」を。
パリ:
はい!
パリ:
まず、右のは玉子入り中華スープで、左がメインの油そば。なんとこのセットで、税込み660円。
ナオ:
本来は「ピリ辛」「中辛」「大辛」から味を選ぶんですが、頼むと特製のラー油こと「バカ辛タレ」を別皿で出してももらえて。
パリ:
なぜいきなりそんな通っぽいことをしているかというと、ママが「おすすめよ」って教えてくれたから。
ナオ:
そう。なのでこれを餃子につけて食べたりもできるという。
パリ:
つーか、餃子がうまかったな。王将の餃子ってこんなにうまかったっけ? という。
ナオ:
美味しかったなー!
パリ:
焼き加減なりなんなり、いろいろあるんだろうけど。
ナオ:
美しい。店長、天才ですよ、間違いなく。
パリ:
ね! これに、どっぷりラー油をつけて食べるのがまたいいんだ。
ナオ:
パリッコさん、辛いのいけるって言って、タレを使いきってましたもんね。
パリ:
僕、辛いものに関しては本当に、もうバカなんです。
パリ:
でもこれが、単なる辛いだけのラー油じゃなくて、旨味があってクセになるんだよな。
ナオ:
一味と砂糖とラー油をあえてるって言ってたかな、店長。
パリ:
さすがにそこは深くは教えてくれなかったですけどね。
パリ:
で、から玉そばなんですけど、まず、ラー油を別で頼むと、いったん辛くない油そばも味わえるという特典があります。
パリ:
まずこれが超〜うまくて!
ナオ:
今また食べたい!
パリ:
中太のちぢれ麺に油とうまいタレが絡むことによって、もちもち、むちむち、とろとろの、なんとも言えない美味しさになるんだよな〜。ただ、僕はごぞんじのとおりバカなので、途中から、
ナオ:
麺が真っ赤でしたもん。私はそこまで辛くできなかったです。
パリ:
ナオさんはかなり慎重派ですよね。辛いものに関しては。いくらなんでも少しすぎるようにも見えたけど。
ナオ:
よわし!
パリ:
「この量でもかなりくるなー!」って。
ナオ:
いや、けっこう辛かったですよ。
パリ:
そりゃそうか、唐辛子だもんね。ちなみにもう1皿、店長から、
パリ:
バカ辛タレに山椒を足したもので、これまたシビレが加わってうまかった。たぶん、店長に言えば出してもらえるものだと思います。
ナオ:
とにかく、めちゃくちゃ美味しかったし楽しかったですね。
パリ:
本気で、またすぐにでも行きたい。王将の南大塚店。
ナオ:
行きましょうよ!
パリ:
で、そのあとは童夢へ。
ナオ:
そのコースは外せませんね。しかし、ふらっと入ったお店からいろいろな人のつながりが見えて、本当にいい取材でした。
ナオ:
というわけで、大塚で見つけた酒の穴印の新名物は「餃子の王将 南大塚店のから玉そば」に決定でいいでしょうか!
パリ:
もちろんです! いや〜楽しかった。また、他の街に行ってみたいし。
ナオ:
ね。〇〇名物を食べに行く! とかじゃなく、探してみようくらいの心の構えがちょうどいいのかもしれない。
パリ:
そうそう。あくまで「あればいいな」くらいで。
ナオ:
なきゃないでなんとかなりますし!
パリ:
自分が住んでる街でやってみるのも楽しそうですよね。今回、ものすごく大好きなお店がふたつも増えてしまったし。今も大塚に行きたすぎるもんな。
ナオ:
早くあのから玉そばをまた食べたい。
パリ:
いや、本当に。